2020年11月3日に予定されている米大統領選挙まで残り4ヶ月半となり、国内の報道でも現職トランプ大統領とバイデン前副大統領の選挙情勢についての報道が少しずつ増えつつあります。
たった4ヶ月前、好調な経済、低い失業率などを背景にトランプ大統領の再選が濃厚と言われていた状態から一点、新型コロナウィルスの感染拡大、黒人男性ジョージ・フロイドさん暴行死事件と抗議デモに対する対応への批判が高まる中で、トランプ大統領の支持率、当選予測は大きく下落傾向にあることも報じられています。
そんな中、英国の老舗週刊誌のエコノミストが先週新たにリリースした米大統領線予測サイト「Forecasting the US elections」はデータ分析と独自のモデリング技術を駆使したサイトで、今後の状況を伺う際にとても参考になりそうです。いくつかそのポイントをご紹介したいと思います。
エコノミストが公開した米大統領線予測サイト「Forecasting the US elections」
選挙予測サイトは既に数多くのものがあり、国内の報道では「リアル・クリア・ポリティクス」というサイトなどがよく引用され、ご存知の方も多いかもしれません。今回注目したのは、1843年創刊の老舗週刊誌であるエコノミスト誌が初めて米大統領選予測サイトを作成したという点と、その作成者が弱冠23歳のデータ・ジャーナリストのエリオット・モリスさん、という点です。
エリオット・モリスさんが選挙ウォッチャーの間で知られるようになったのは2018年の米国中間選挙の際、まだ大学生でありながら学校の試験期間中などにツイッターなどで独自の予測モデルを元にした分析を発信し、精度高く選挙結果を的中させたことでプロの選挙関係者を驚かせた実績があるからです。今回の予測サイトにはコロンビア大学の政治学者2名も参加しているものの、中心となったのは大学卒業後の2年半前にエコノミスト社に入社したモリスさんで、過去3ヶ月間に渡るコーディング作業を経て公開に至ったそうです。
私自身はデータ分析の専門家ではないので詳しいところまではその精度、分析モデルの評価までは出来ないのですが、サイトを見る限り一覧性に優れていて、各候補者の選挙情勢が各週毎、毎日更新される点はとても分かりやすいと感じます(サイトは無料で公開されています)。
例えば以下の各州の状況を示すマップを見ることで、アリゾナ、オハイオ、ノースカロライナ、ジョージアが拮抗している接戦州であることが分かります。
アリゾナ、オハイオ、ノースカロライナ、ジョージアが拮抗している接戦州であることが分かる各州の状況を示すマップ
アメリカ国民が投票する一般投票(Popular Vote)の獲得予測。6月18日時点では8ポイント差でバイデン氏が有利
エコノミスト誌の予測サイトの特徴的な点は、刻一刻と変化する選挙情勢、各種世論調査、経済指標などのデータを反映する形で、このサイトが毎日更新されている点です。さらに、モリスさん自身がツイッターで毎日どのような変化が起きているのかを解説してくれる点も、興味深い点なのではないかと思います。長年の伝統で署名記事を掲載しないエコノミスト誌にあって、このようなひとりのデータ・ジャーナリストが個人のブランドで重要な視点を発信している点もとても新鮮に感じられます。
I am going to use Twitter as a diary of sorts to explain what happened with our presidential election forecast (and why) on most days between now and November 3rd.
— G. Elliott Morris (@gelliottmorris) June 12, 2020
A thread:https://t.co/O6LknvFHBX
実際のモリスさんのツイート、こちらの投稿のスレッドという形で11月3日の投票日まで、毎日分析や解説が紹介されています。
2016年の大統領選の際にはこうした選挙予測サイトのほぼ全てが誤った予測をしてしまったために世界中が大きな衝撃を受け、世論調査などに対する不信につながった点も否めません。また、今から11月3日までには様々な予測不可能な出来事がきっと訪れることと思います。
ただ、そんな変化の様子を冷静に見つめ、4年前の驚きを繰り返さないためにも、今一度、今の段階から世論調査、選挙予測サイトに馴染んでおくことで、未来を予測する力を養うことができるかもしれません。
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