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【米大統領選】トランプ陣営が公式アプリをリリース!新型コロナ対応の国民投票としての米大統領選の行方は

2020/4/24

市川裕康

市川裕康

新型コロナウイルス対応の出口がまだ見えず混沌としている中、この秋に予定されている米大統領選の動向も全く予測がつかない状況が続いています。

選挙戦の焦点は、新型コロナウイルスによりもたらされている健康的な危機、そしてトランプ氏がコロナ危機直前まで誇ってきた株価に象徴される経済が直面する危機に際し、これら未曾有の事態を打開するためのリーダーシップが問われる国民投票のような形になるのではないかとみられています

連日の記者会見で露出が高まる現職のトランプ大統領ですが、一方でコロナウイルス対策に対する評価には否定的な見方が民主党や若年層を中心に拡がっています。歴史的な分断が懸念されているアメリカ社会の中で、フォックス・ニュースなどのトランプ大統領寄りのメディアを視聴する支持層に対し、トランプ氏やトランプ陣営のソーシャルメディアアカウントを通じて、今まで以上に結束を高める取り組みが拡がっているようにも見えます。

そんな中、4月23日にトランプ陣営公式アプリがリリースされました

トランプ陣営公式アプリの紹介動画

このアプリの特徴的な点は、支持者がトランプ氏のツイートをシェアしたり、アプリのことをシェアしたりすることで、それぞれ1ポイント、100ポイントを獲得できる仕組みになっていることです。5,000ポイントを集めると「Make America Great Again」と書かれた帽子やマグカップなどのキャンペーングッズの購入のディスカウントが可能になり、10万ポイントを集めるとトランプ大統領との記念写真を撮影することが出来ます。

前回2016年の大統領選の際にもソーシャルメディア、特にフェイスブックを「効果的に」活用することで当選を果たしたと言われるトランプ大統領ですが、今回新しくリリースされたアプリを見ると、今まで蓄積した知見を更に進化させる形で洗練された取り組みをしていることに驚かされます。

当初3月中旬にリリースする予定で半年前から構築をしていたこのアプリは、新型コロナウイルスの影響で全ての選挙活動がオンラインに移行せざるを得ない状況を踏まえ、大きな変更を施し、すべてのバーチャルイベントをサポートできるように作り直した、と選挙対策部長のブラッド・パースケール氏はCNNの記事で語っています。

数週間の間にバーチャルイベントを大量に行う機能を実装し、当初週に2〜3回のバーチャルイベントを行っていたのが、今では毎晩夜8時からキャンペーン・イベントを開催、その他にも1日に複数回のオンラインイベントを実施するまでのしくみの構築に成功しています。カトリック、女性、黒人、退役軍人など、それぞれのコミュニティ毎の専用のバーチャルイベントを開催、連日数十万から百万人以上もの動員に成功しています。

トランプ陣営のバーチャルキャンペーン活動を紹介する動画

アプリは現在日本からはダウンロードはできませんが、インストールするには有権者情報である携帯電話番号を入力することが求められています。なお、オプションとして求められている住所などの個人的なプロフィール情報をここで獲得することで、今までの選挙活動で蓄積してきた膨大な情報との照合が可能になります。共和党陣営が有している2億人近い有権者登録情報のうち、9割近い人にマイクロターゲット広告をSNS上で展開することが可能になる、とパースケール氏はCNNの記事で語っています。こうしたデータはいずれキャンペーンが佳境に近づいた段階において、投票行動を決めかねている候補者に対してカスタマイズしたメッセージの送付が可能です。その人一人ひとりの興味関心に基づいた説得のための広告を出稿することで、支持者を獲得しやすくなることが可能になることを意味します。

一方、対立候補であったバーニー・サンダース氏が撤退することで民主党候補の指名を先日獲得したジョー・バイデン氏。オバマ大統領、エリザベース・ウォーレン氏、アル・ゴア氏などから推薦の支持を取り付けたものの、デジタル戦略においては現在大きく差をつけられているのが現状です。バイデン陣営が提供している公式アプリは基本的な情報が提供されるのみで、トランプ陣営のアプリのようなダイナミックさはあまりみられません。

バイデン氏の主要SNSフォロワー数・いいねの数、チャンネル登録者数
Twitter (511万)、フェイスブック(176万)、インスタグラム(187万)、ユーチューブ(4.3万)

トランプ氏の主要SNSフォロワー数・いいねの数、チャンネル登録者数
Twitter (7,729万)、フェイスブック(2,735万)、インスタグラム(1,933万)、ユーチューブ(37万)

*いずれも2020年4月24日時点

デジタルメディア戦略だけを見る限り、トランプ陣営の盤石な組織力に優位性があることは否めません。ただ、今回生命と経済両面において未曾有の危機をもたらしている新型コロナウイルス対策におけるトランプ氏のリーダーシップへの評価は、次期大統領選びの際に決定的な重要性を帯びてくることが予想されます。今後の推移を注視する必要がありそうです。

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市川裕康

市川裕康

株式会社ソーシャルカンパニー 代表取締役 NGO団体、出版社、人材関連企業等を経て2010年3月に株式会社ソーシャルカンパニーを設立。メディアコンサルタントとして、国内外の政府機関、国際機関、企業、報道機関、NPO団体などに対し、海外デジタルメディアのトレンド調査・執筆・講演・コンサルティング活動に従事。『現代ビジネス』での連載(2010-2015)や著書に『Social Good小事典(講談社)』がある。1994年同志社大学(法学部政治学科)卒、1996年米国アマースト大学(Political Science専攻)卒。1970年静岡県浜松市生まれ。

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