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2018年の出生数は過去最低。少子高齢化の影響は選挙にも生じています

2019/1/18

原口和徳

原口和徳


昨年12月に厚生労働省から2018年に国内で生まれた子どもの数が過去最少の92.1万人となる見込みであることが発表されました。出生数は3年連続で100万人を下回っており、今後も少子高齢化の傾向が強まることが見込まれています。

今年は統一地方選挙と参議院議員選挙が重なる選挙イヤーですが、勢いを増す少子高齢化が選挙に及ぼす影響を確認してみましょう。

進む有権者の高齢化

図表1は2000年代に行われた衆議院議員選挙について、総務省の抽出調査を基に有権者と投票者それぞれの平均年齢(平均値)と中央値の推移を図示したものです。

少子高齢化の影響もあり、平均値と中央値ともに右肩上がりの傾向にあることがわかります。

図表1_衆議院議員選挙と参議院議員選挙における平均年齢の推移

同様に、参議院議員選挙も確認しておきましょう。

こちらも衆院選の結果と同様に右肩上がりの傾向にあることが確認できます。

なお、それぞれの選挙において、直近の選挙から18歳選挙権が導入されたこともあり右肩の上りの傾向は一度横ばいになっています。

若者の低投票率によってさらに進む投票者の高齢化

小さい方から並べたときにデータ全体のちょうど真ん中となる数値を表す中央値は、有権者年齢よりも投票者年齢の方が高くなっています。

このことの背景には、若年層の投票率が他の世代よりも低いことがあります。

図表2_第48回衆議院議員総選挙における年齢階級別ヒストグラム

図表2では、前回衆院選での有権者数と投票者数を10歳区切りでまとめています。(10代有権者は20代と合算)

有権者数をみると、10代・20代有権者の数は50代や70代の有権者とそれほど変わらないことがわかります。一方、投票者数を見ると、若者は少なくなり、60代を頂点として年齢が高い世代側に重心のある山型の構造になっていることがわかります。
例えば、10代・20代の有権者数は70代とほぼ変わりませんが、10代・20代の投票者数は70代の約半分となっています。

なお、今回は国政選挙のデータを基に分析を行っていますが、地方自治体の選挙では若者の低投票率はよりその傾向を強め、投票者に占める若者の割合はますます小さなものとなっていきます。

参考記事>>18歳選挙権ボーナスは全国で終了。それでも◯◯は投票率を確実に押し上げる!

少子高齢化の影響は有権者数、投票者数ともに生じており、特に投票者数では若年層の投票率の低さとあいまってその影響が強化されていることがわかります。

若者の低い投票参加は各国共通の課題

若者の政治参加の状況について他国とも比較してみましょう。

図表3_OECD加盟国における35歳以下投票率と55歳以上投票率の差

図表3では、OECD加盟国において2012年頃に実施された国政選挙を対象に35歳以下の投票率と55歳以上の投票率の差を比較しています。
55歳以上投票率の方が高い場合にプラスの値で表示していますが、多くの国で35歳以下の投票率が55歳以上の投票率よりも低くなっていることがわかります。
その中でも、日本は35歳以下の投票率と55歳以上の投票率の差が大きい国であることがわかります。なお、日本の35歳以下投票率は42.7%でしたが、日本の前後に位置する国での35歳以下の投票率は、スイス59.4%、アメリカ59.7%、イスラエル58.4%、イギリス44.7%でした。

今後も有権者の高齢化が進む中で求められること

日本の人口構造を見ると出産適齢期とされる年代(25歳~39歳)の女性人口は減少傾向にあります。(2016年は対前年17万人の減少。2015年は約35万人の減少。出所:日本の統計2018)そのため、今後も少子化の傾向は続き、有権者に占める若者世代の割合は低下していくことが予想されます。

世代の違いが政治に要求するものを決める唯一の要素となるわけではありませんが、当事者だからこそ鮮明に感じることのできる問題もあるはずです。

そのような中で、自分たちの世代の人数が他の世代よりも少ないということは、選挙に参加するためのモチベーションを下げる十分な理由となってしまいます。特に様々な政策課題に対して「選挙で示された民意」が強調されることの多い昨今の風潮の中ではその影響が強まります。

人口構成というすぐには変えられない条件によって最初から不利な立場に置かれることがわかっている若者に選挙への参加を促すためには、意識啓発に加えてより若者を優先した参加しやすい環境づくりが必要となります。

これまでの選挙でも、大学や高校、ショッピングモールなどの若者がいる場所へ投票所を設置することや投票所の運営に若者が参加する取組み、投票済証明書を使った各種割引サービスなど、様々な取組みが行われています。また、インターネット投票や、投票所をフォトジェニックな場所にすること等の提案もされています。

成功するものもそうでないものもあると思いますが、これからも有権者の高齢化が見込まれる状況において若者が参加しやすくなるための環境づくりは、構造的に強者の立場にいる世代が当然なすべき配慮と言ってもいいかもしれません。
例えば、アメリカでは極端に投票者が少ない状況では民主主義の基本理念である「一人一票の原則」が損なわれかねないといった問題提起をする活動も行われています。

今年は全国各地で多くの選挙が行われますが、その中から1つでも多く、若者を巻き込むことができるような新しい工夫が生み出されていくことが期待されます。

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原口和徳

原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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