新型コロナウイルス感染症の拡大で学校の入学や始業時期を9月に移す「9月入学」に関する議論に注目が集まっています。
今回は各党での議論や提言内容、選挙ドットコムが収集している国会議員・知事・政令市長のTwitterアカウントでの「9月入学」に対するコメントなどをまとめました。
【調査概要】
対象:国会議員・都道府県知事・政令市の市長のうちTwitterアカウントを保有する方の全アカウントのツイート
期間:4月1日~5月22日に投稿されたツイート
「9月入学」を巡り国会議員のTwitterでの言及が盛んになり始めたのは4月中旬からでした。
私がお話しした方も明確に9月入学制度を作るべきだと仰っていました。
— 藤末 健三 (@fujisue) April 16, 2020
文科省に検討してもらいます。
入進学を9月に移行すべき! 4月7日の地方創生委員会で質問、要請しました。一か月間にも厚労委(20200306)で提案しました。その後、一旦、休校は解除したところもありますが、再度休校は増えています。6月まで休校したら、7、8月は夏休みで、9月からの始業をめざす方が良いのではないですか?
— 白石洋一よういち 愛媛3区衆議院議員 (@shiraishiyoichi) April 18, 2020
(Google Trends 検索キーワード「9月入学」の検索インタレストの推移)
Googleの検索トレンドで「9月入学」が急上昇した4月下旬には、萩生田光一文科相が9月入学を「一つの選択肢として検討している」旨の発言や、小池百合子東京都知事や吉村洋文大阪府知事の発信で更に注目を集めるようになりました。
ペスト後にルネサンスが残ったこと同様、新型コロナから何を社会変革の成果として残せるか。
— 小池百合子 (@ecoyuri) April 29, 2020
この観点も今こそ大切と考えます。
ただしコロナ封じ込めが最優先です。
小池都知事、9月入学「行っていくべきではないか」 https://t.co/oAPyqTpUwn
世界の先進諸国はほぼ9月(8月)入学。今後、10年、20年先の日本の将来を考えた時、若者が世界で活躍しやすいように、日本も世界標準の9月入学にすべきだ。現在のコロナの休学に伴う学力格差を防ぐことにもなる。勿論、9月までの子供達の心のケアは当然担保する。明日の全国知事会で強くプッシュする。 https://t.co/6zxjQN00AD
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) April 28, 2020
一方で知事・政令市長の立場でも9月入学に慎重な意見や賛成であってもすぐには難しい、といった発信も多くありました。
9月入学には基本的には賛成だが、日本の社会経済に与える影響が大なので幅広く議論する必要がある。と、朝の全国知事会で申し上げました。今すぐは、難しいです。だから、十分に議論しないといけません。これからです。
— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) April 29, 2020
私自身、9月まで待って大学院に入学したため、就職の選択肢が限られて、大変不安な思いをしました。日本も9月入学にすべきとは思いますが、受験や学校運営のために、子どもたちの就職、クラブ活動、学生生活などに不安を残したまま、見切り発車だけはいけません。https://t.co/Ba9itImmAk
— 大野もとひろ 埼玉県知事 (@oonomotohiro) April 29, 2020
私は以前から申し上げてきたように9月入学には問題が多いと考えています。その問題を解決する手段が十分でなく、メリットがデメリットを上回ると現時点では考えられないので反対です。
— 熊谷俊人(千葉市長) (@kumagai_chiba) May 20, 2020
国会議員の間でも9月入学に対しては立場の違いが与野党の関係なくあるようです。
目次
9月入学大賛成。この機会を逃してはならない。
— 松川るい =自民党= (@Matsukawa_Rui) April 28, 2020
先進国の中で、9月じゃない入学タイミングの国なんて日本と韓国(3月)ぐらいだ。欧米のみならず、中国だって東南アジア諸国も9月入学。日本から留学する場合も、他国… #NewsPicks https://t.co/tAhxjPlYET
「#9月入学」の可能性を積極的に追及したい。秋入学は世界標準。新生日本🇯🇵創生のスタートになる。問題はコロナ終息の時期だ。安心して、よい準備を重ねて9月新学期を迎えるには、どんなペースでコロナを抑える必要があるのか。「9月に決めた」のにコロナがまだ暴れている、では話にならない。
— あいさわ一郎 (@ichiroaisawa) April 29, 2020
上のツイートのように自民党内でも9月入学に対して肯定的なツイートをしている議員も見られますが、慎重な意見の発信もあります。
9月入学は理念先行で進めるべきでない。単に入学月を合わせても1年遅れになること、制度変更時の入学生が1.5年分に膨らむ、学校現場の混乱など、マイナス面が大きすぎると思います。https://t.co/MiEmJXbFQb #9月入学
— こやり隆史(参議院議員/自民党) (@koyari_shiga) May 21, 2020
【9月入学の件】確かに9月入学の議論は今までもありましたが、それは「4月入学を9月に前倒し」する議論で「9月に後ろ倒し」ではなかったと思う。今の日本は「世界より半年早く義務教育を始めているのではなく、半年遅れてスタートしている」はずで、9月に後ろ倒しすると1年遅れになると思うのですが…
— 小野田紀美【自民党 参議院議員(岡山県選挙区)】 (@onoda_kimi) May 17, 2020
自民党と同じく与党の公明党では自民党の議員ほど賛否を明らかにはしていませんが、今すべきは現状と課題に関する議論と新型コロナウイルスの収束に注力すること、という立場での発信が多くみられます。
本日、「9月入学含めた子どもの学びの確保支援検討プロジェクトチーム」の第一回会合を開催。関係省庁より学校現場での現状、解決すべき課題等ヒアリング、質疑。事務局長として議論を進めます。
— 三浦のぶひろ (@miura_nobuhiro) May 14, 2020
「9月入学」含め検討へPT設置/党政調 #公明新聞電子版 2020年05月13日付 https://t.co/t64Ull1NPX pic.twitter.com/IlTI1DrMkE
「 #9月入学議論について」
— しもの六太 (@shimonorokuta) May 10, 2020
グローバルな視点からの9月入学を議論するのは否定しませんが、今はコロナ収束に集中すべき時だと思います。もし、子どもたちの学力保障のために9月入学を決めてしまったならば、社会の大混乱は避けられないでしょう。議論するならばコロナ収束後です。 #公明新聞電子版 pic.twitter.com/HWRWYWpkqa
このように与党内では9月入学に対してやや慎重な意見が多いようですが積極的な議員もいることがわかります。
次に野党の国会議員の発信を見てみましょう。野党では党によって「9月入学」に対して発信の程度や意見に大きな違いが見受けられます。
9月入学。
— 蓮 舫 ・ 立 憲 民 主 党 ( り っ け ん ) (@renho_sha) April 29, 2020
大いに議論すればいい。国民の声もよくよく聞いて。
でも、9月に収束させるための「いま」最優先の議論は命、生活、仕事を守るために何をするか、です。
コロナ危機による学校休業をきっかけに「9月入学」論が沸き上がりました。「9月入学の困難さとコスト」については多くの識者が論じているので、ここでは詳しくは述べません。私が強調したいのは「9月入学でグローバル化」という主張に根拠がない点です。 https://t.co/hU9JiWIcSk
— 山内康一事務所 (@yamauchiko1) May 11, 2020
これは僕も以前から日本の必須改革項目だと思っている。印鑑同様。災い転じて、の一例だ。#9月入学
— たじま要(衆議院議員) (@kanametajima) April 27, 2020
https://t.co/8ekcBJpP0e
立憲民主党の議員のツイートでは肯定的な意見から「議論をすべき」、「『9月入学でグローバル化』には根拠がない」など様々な意見があります。
これからはコロナに限らず大規模災害などで通常の授業ができないことも想定されます。そこで9月入学までの4カ月間を、オンライン授業導入の徹底準備期間と位置づけ、日本の教育を一気にアップデートすればいいと思います。
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) April 27, 2020
国民民主、9月入学提言へ コロナ休校の遅れ解消 https://t.co/ze1vQmyF5v
本日4月26日のNHK日曜討論で、国民民主党政調会長として「#9月入学」を各党に提案。党にはワーキングチーム(座長城井崇議員)も発足。
— 衆議院議員 泉ケンタ🌏国民民主党政調会長 (@office50824963) April 26, 2020
夏休みや冬休みの振替授業も、今後の展開を考えると限界です。#国民民主党 #つくろう新しい答え #NHK #日曜討論 #9月新学期https://t.co/OXTHoqUfpU
国民民主党の議員のツイートでは党として提言を行う・他党にも提案するなど他の党と比較すると積極的な姿勢が見受けられます。
賛成の意見もあるがコロナが9月に収束しているかわからず現場はコロナ対策で大変で9月入学という制度大改革にエネルギーを注げないとも聞きます。
— 福島みずほ (@mizuhofukushima) May 2, 2020
9月入学でますます加速する教育現場のブラック化!子ども・若者にいま政治家が果たすべき責任とは(末冨芳) – Y!ニュース https://t.co/wpQhCzvtCx
国会で統一会派を組む立憲民主党・国民民主党・社民党の議員のツイートでも「9月入学」に対して積極的な声や「議論はすべき」といった声、あるいは導入を図る立場への反論など、様々な意見があることがわかります。
自民、「9月入学」でワーキングチーム(時事通信) – Yahoo!ニュース
— 馬場 伸幸(ばばのぶゆき) (@baba_ishin) May 12, 2020
↓
最近のどの調査を見ても「9月入学」に対する賛成は過半数を上回っている。
いずれにしても今回がラストチャンス。
この件も「ハリーアップ」で答えを出して欲しいというのが当事者の皆さんの想い。 https://t.co/R2VgQEBBpd
月曜日に提出した維新の会のコロナ提言にも盛り込んだ「9月入学制」。
— 梅村みずほ【日本維新の会】 (@mizuho_ishin) April 29, 2020
このタイミングを逃せば導入は難しい。
確かに省庁を大きく横断しての大変革だが、望むらくは素早い決定。残る自治体と関係省庁、専門家に意見をあおぎ、より多くの時間を実務調整に使うべきだ。https://t.co/pNuHqPVh9F
吉村洋文大阪府知事や松井一郎大阪市長が「9月入学」に積極的ですが、両氏の日本維新の会の国会議員のツイートも同様に積極的な姿勢があらわれています。
9月入学は、簡単に解決できない課題が多すぎることは、もうはっきりしたのではないでしょうか。中長期的な課題として扱い、いま子どもたちの学び成長する権利をどう保障するのか、に文科省は知恵と力を集中すべきです。 https://t.co/CeeT7pvoDL
— 宮本徹 (@miyamototooru) May 20, 2020
(会見で「9月入学」を問われ)慎重な検討が必要ではないか。あらゆる体制の変更が必要になり、社会的に大きな負荷がかかってくる。
— 志位和夫 (@shiikazuo) April 30, 2020
いま大切なことは、現在の厳しい状況のもとで、子どもの教育権を守り、心身のケアをいかにやるか。そこに心を砕き、エネルギーを注ぐべきではないか。
共産党の国会議員は「9月入学」についてのツイートが多くありませんが、両氏のツイートでは慎重な姿勢が見て取れます。
最後に政党別に「9月入学」を含むツイートの数を比較してみましょう。上記の図は4月1日~5月22日に投稿された「9月入学」の単語を含むツイートの数ですが、国民民主党が他と比べて突出していることがわかります。自民党・公明党のツイートの合計よりも多くツイートしており、「9月入学」に関する情報発信に力を入れていると考えられます。
国会議員や知事・政令市長のツイートを比較したところ、与野党や国会議員か首長かの違いに関係なく「9月入学」には様々な立場の政治家がいるといえます。今後も選挙ドットコムでは国会議員や政治家のネット発信を分析していきます。
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