自民党総裁選挙を来月に控え、政界の動きがあわただしくなってきました。一方で、参議院野党第一党である国民民主党も9月4日に代表選挙を控え、その行方に注目が集まっています。しかし、8月3日から5日にかけて行われたNHKの世論調査では国民民主党の支持率は0.4%と低迷しており、一般市民への認知や理解が進んでいないのが現状です。
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そこで今回は、昨年10月の衆議院解散総選挙の前後にあった野党再編の動きから今年5月の国民民主党結党までを振り返り、その位置づけについて確認してみましょう。
昨年7月に投開票された東京都議会議員選挙では、小池百合子都知事率いる新党「都民ファーストの会」が公認候補50人のうち、島部選挙区の候補者1名を除く全員を当選させる歴史的な勝利を遂げました。一方、民進党は現職の都議らの離党・都民ファーストへの鞍替えが相次ぎ、自民党vs都民ファーストという大きな構図に埋没してしまい、当選者は5人のみにとどまってしまいました。
無名の新人候補を数多く当選させた小池都知事の圧倒的な人気で、都政だけでなく国政を動かしてほしいという期待の高まりを受け、小池都知事は衆議院の解散にあわせて2017年9月25日に新しい国政政党「希望の党」を結党しました。
この動きに前後して、民進党の当時の代表であった前原誠司氏(京都2区)は希望の党との合流を目指し、小池都知事と調整を重ねました。その結果、総選挙には民進党として公認候補を擁立せず、所属議員や立候補予定者には希望の党に公認申請を依頼する方針としました。しかし、小池都知事が「安全保障、憲法改正で一致した人のみ公認する」として民進党所属のリベラル派一部議員を公認しないいわゆる「排除発言」をしてから様相が一変します。
外国人地方参政権付与反対や憲法改正、消費税引き上げといった希望の党の政策協定に同意できない現職議員・立候補予定者が、公示の一週間前に前枝野幸男氏(埼玉5区)を中心に民進党を離脱して「立憲民主党」を立ち上げました。さらに一部の民進党議員は両党ともに公認申請せず、無所属のまま立候補する事態となりました。
当初は小池人気を背景に自民党と希望の党の一騎打ちの構図となる見込みの総選挙でしたが、「排除発言」をきっかけに希望の党の支持率は急落。最終的に希望の党は公示前57議席に対して50議席の獲得にとどまり、急速に支持を集めた立憲民主党に5議席及ばず、野党第2党となってしまいました。この一連の流れで民進党に所属していた議員は「希望の党」「立憲民主党」「無所属」の3つに分裂してしまったのです。
衆院選の翌月となる2017年11月、「希望の党」の共同代表を選出する選挙が行われ、玉木雄一郎氏(香川2区)と大串博志氏(佐賀2区)の両名が立候補して玉木氏が当選しました。これで小池百合子氏と玉木雄一郎氏の2枚看板で党を運営してゆくことになるかと思いきや、共同代表選の4日後に小池氏は党代表の辞任を表明。後に特別顧問というかたちで党には残りましたが、運営からは離脱することとなります。
自民党・公明党が多数を占める国会で、政策を前に進めるために玉木代表は民進党と統一会派を結成すべく模索をしていましたが、安保関連法や改憲についての考え方の違いから希望の党の党内から反発を招き、会派結成を断念。この際の党内不和が引き金となり、希望の党は民進党との「合併推進派」と「反対派」に二分されてしまいます。
結果的に希望の党は2018年5月7日をもって解党、民進党と合流する玉木氏を中心とした勢力は「国民党」を結党する一方、松沢成文氏(参院神奈川)や中山成彬氏(比例九州ブロック)、中山恭子氏(参院比例)ら保守色が強い5名は新たに「希望の党」を結党しました。翌8日、国民党は民進党と合流し、民進党は「国民民主党」に名称変更したのです。ややまわりくどい手続きを踏んでいますが、これは「国民民主党」が「旧・希望の党」の政党助成金の一部を受け取りつつ、「民進党」の政党助成金も受け取り、かつ「新・希望」の党も「旧・希望の党」の政党助成金の一部を受け取ることができるようにするためである、と指摘されています。
しかし残念なことに旧・希望の党から国民民主党にも新・希望の党にも合流しない議員も数多くいたため、所属議員数は衆参合わせて62議席となり、立憲民主党の63議席に届かず、現状は旧・希望の党時代と変わらず野党第2党です。
結党からしばらくは、「旧・希望の党」代表の玉木雄一郎氏と、「旧・民進党」代表の大塚耕平氏(参院愛知)の共同代表体制をとっていましたが、7月の国民民主党総務会において9月4日に代表選挙を実施することを決めました。この選挙には大塚氏は立候補せず、玉木氏と所属議員の津村啓介元内閣府大臣政務官(比例中国・岡山2区)の一騎打ちとなる見込みです。
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