4月15日に告示された伊那市長選では、現職の白鳥孝(しろとり たかし)氏(62)、新人の八木択真(やぎ たくま)氏(39)、新人の三石佳代(みついし かよ)氏(41)の計3名が立候補しました。投開票はあす4月22日です。
今回は現市政の是非、人口減少対策、リニア中央新幹線開業に向けた地域振興などが争点と考えられます。
3選を目指す白鳥氏は「日本一子育てがしやすいまちづくり」をモットーに、弱者を支持する行政を目指したい考えを表明しています。具体的にはリニア中央新幹線や三遠南信自動車道開通を見据え、日本を支える地方都市のモデル「50年の森林(もり)ビジョン」、社会インフラ整備、山岳高原や寺社仏閣のアピールによる観光振興などに取り組みたいとしています。
伊那市の運営する「i-na movies」によると「50年の森林ビジョン」では以下のような目標が設定されています。
50年の森林(もり)ビジョン
【自然・森林資源に対する目標】
・生物多様性を中心とした自然環境の保全と向上
・山地保全と水資源保全の機能向上
・森林生態系の健全性と活力の向上
【市民が担う目標】
・森林の生産力と林業経営の向上
・市域の持続可能な経済発展を担う林業・木材産業活動の推進
・森林・林業の要請に応える住民参加の推進
白鳥氏は伊那市生まれ、立教大学社会学部卒業。1979年に信英蓄電器箔株式会社に入社、その後は旧伊那市の収入役、旧伊那市・高遠町・長谷村の合併によって誕生した新制伊那市の収入役、同市副市長を歴任しました。2010年および2014年の伊那市長選に当選、今回は3期目への挑戦となりました。
元市議の八木氏は、「八木の8つのビジョン、80+αの政策」を掲げ、具体的には以下の項目を訴えています。
・徹底的に子育て支援、現役世代に選ばれる伊那に
・中心市街地を全力活性化、交流と観光の拠点に
・地元産業振興策と起業支援、農林業で雇用を生む
・市民目線で行政改革、市政情報をフルオープンに
・人生100年時代に向けた健幸都市、支えあう伊那に
・人とお金を呼び込み、地域内で循環する経済に
・3市町村合併を後悔させない
・声なき声に耳を傾け、願いが実現する伊那に
八木氏は「伊那市は住む場所として選ばれておらず、このままでは空き家が増え商店街が衰退する。学校も統廃合され、子どもがいなくなってしまう」と危惧しています。現市政については「市長はパワフルで財政再建も進んでいる点は評価できるが、施設の統廃合や職員の非正規化を実施している点など、検証すべき部分がたくさんある。行き過ぎたトップダウンを改めたい」と述べました。
八木氏は大阪府堺市出身、信州大学農学部卒業。産経新聞記者を経験後、伊那市で飲食店を経営しています。2014年の伊那市議会議選に当選し市議を1期務めました。今回の市長選の立候補のため今年2月13日に市議を辞職しています。
三石氏は立候補の理由として「このままでは人口減少が進み過疎化してしまう。観光や商業など、第3次産業を柱にした振興策を立てるべきだ」と述べています。市政の方針として「弱者の意見を聞き、分け隔てなくコミュニケーションを取れるようにしたい」と語りました。具体的には、
・歴史・伝統・文化など地域資源に芸術色を取り入れ、アートのまちとして観光業や商業の活性化を進める
・大型商業施設前にJR飯田線新駅建設
・補助金を医療・福祉・子育て支援などに重点的に使い適切化を図る
といった政策を掲げています。
三石氏は茅野市出身、伊那西高校卒業。スポーツ用品店や精密機器メーカーなどに勤めました。2011年の県議選伊那市区に立候補しましたが落選しています。
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