日本では衆院選や参院選といった国政レベルの大型選挙が予定されていない2018年ですが、世界に目を向けるとアメリカの中間選挙やイタリア、ブラジルの総選挙、ロシアの大統領選挙をはじめ、数多くの選挙が予定されています
中でも注目される選挙のひとつ、今年のセンター試験でムーミンに関する問題が出題されたことでも話題になったフィンランドの大統領選挙について、現地在住のライターからのレポートをお送りします。
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フィンランド共和国大統領選挙が今月28日に行われます。当選に必要な過半数の票を得られる候補者がいない場合は、来月11日に上位2名による決選投票が行われる予定です
世論では現職である国民連合党(KOK)のサウリ・ニーニスト氏の二度目の当選が濃厚とされていますが、サウリ・ニーニスト氏が大統領をつとめた1期6年間における実績と評判を市民に聞いてみました。また、気になる他の候補者についてもまとめました。
1977年にフィンランドのサロの市議会議員となり、1987年にフィンランド議会議員に当選。その後財務大臣、副首相を経て2006年に大統領選挙に初めて立候補、2012年大統領選の再立候補で緑の党のペッカ・ハービスト元環境相を決選投票で破り、大統領に当選したサウリ・ニーニスト氏は現在69歳。2期目の再選を狙って無所属で立候補しています(フィンランドの大統領の任期は6年間で、1回のみ再選可能)。
6年の在任期間中、ニーニスト氏は米国、そしてロシアとの関係を友好的なものにし、EU離脱派が興隆する社会情勢のなか、EU残留を主張。同性婚を支持し、若者に対する社会的・経済的支援を訴える政策で国民の多くから根強い人気を集めています。
会社員Eさん(29歳・女性)は「私も世論通り、今回の選挙もニーニスト氏が勝利すると予想しています。彼は一般的なフィンランド人にとって最もしっくりくる思想や政治観の持ち主と言っていいでしょう」と話しています。
一方Tさん(飲食店勤務・22歳・女性)は「私は2012年の決選投票で、僅差で当選を逃したペッカ・ハーヴィスト氏を支持しています。彼は若い層には人気がありますが、おそらく多くの国民はニーニスト氏に投票すると思います。彼が言うことはいつも正しく、どんな質問にも的確な返答をします。また、失言をしないこと、これも人気の理由でしょう」と見解を述べています。
今回の立候補に対して、リベラル保守政党である国民連合党とキリスト教民主党(KD)がニーニスト氏への支持を表明しています。
今回の大統領選の立候補者は全部で8名。現職ニーニスト氏以外の候補者は以下の通りです。
目次
フィンランド初のオープンリー・ゲイ(同性愛であることを公表した人)の大統領候補者として2012年の大統領選では高い支持率を得たものの、決選投票でニーニスト氏に敗退。1995年から1999年かけて環境相を務め、後に国連に勤務し、2005年にはスーダンにてEU特別代表に就任。エクアドル出身の同性のパートナーがいることも知られています。
法務委員会、教育文化委員会、北欧理事会・フィンランド代表団のメンバー。フィンランドのEU離脱を主張。また、フィンランドのNATO加盟反対や移民に厳しい制限を設けるなど急進的な保守主義者として一部から熱狂的な支持を集めています。
フィンランド中央党元党首。2014年より欧州議会議員を歴任。ユーロ通貨を捨て、自国の通貨に戻すことを主張。
環境委員会元副委員長、元首相(2003~2010年)、国防大臣を歴任。2007年4月発足したヴァンハネンを首班とした連立政権では、閣僚20人のうち女性12人となり、列国議会同盟(IPU)によれば閣僚に占める女性の割合が世界一の内閣となりました。
運輸通信省大臣(2011~2014)歴任、2014年の欧州議会議員選に当選。
社会保健省、教育文化省大臣歴任(2005~2007年、2003~2005年)。
2012年より欧州議会委議員を歴任。
今回の大統領選の焦点はEUそのものやその政策、汎ヨーロッパ的な統合体の設立に批判的な姿勢のEU懐疑派と残留派の議論となっています。
また、フィンランドの次期大統領を選ぶ上で必要不可欠な政策にロシアおよびNATO加盟諸国との対外政策も挙げられます。昨年末に独立100周年を迎えたフィンランドですが、ロシアからの干渉を受ける可能性と常に隣り合わせで暮らす国民にとって、NATO加盟の是非も大きな焦点となっています。
会社員のAさん(24歳・男性)は「フィンランドの投票率は67.37%(2011年)と世界でも高いものとされていますが、若者の投票率は中高年に比べて低い傾向が見られます。自分の一票なんてたいした意味がないと感じている若者が多いのに対し、中高年は投票は義務だという感覚が強いからだと思います。自分は必ず投票に行きます」と話していました。若者の声がどのように反映されるか、投票結果に大きな注目が集まっています。
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