7月1日、オーストリアの憲法裁判所は、開票作業に不備があったとして、5月に行われた大統領選の結果を無効とする判決を下しました。これにより、10月に再び大統領選が実施されることになります。
無効となった選挙では、当選した元「緑の党」党首で無所属のファンデアベレン氏が、移民排斥を訴える「自由党」のホファー氏を破りました。222万3458票対225万4484票と3万票差の接戦でした。
もともと、オーストリアでは経済政策をめぐり与党連立政権への不満が高まっていました。そこに、シリア内戦などの難民受け入れによるパニックが重なり、既存政治そのものへの不満へと発展。その不満が前回の選挙でホファー氏の支持を押し上げたとされています。特に肉体労働者の9割がホファー氏を支持するなど、世論の分裂は深刻なものとなっていました。
そのような状況は、大統領選以降も悪化しています。大統領選の接戦により反難民感情が高まったほか、政府が1月に定めた難民受け入れ制限を超えて難民が流入する見込みであることが報道で伝えられ、そのことに対する市民の反発も高まっています。一方で、難民受け入れ制限を批判する国際世論により、難民に対する強硬な対応は実施できないままでいます。そのため、再選挙でもホファー氏の支持が高まり、接戦になることが予想されています。
そして、見逃せないのが、6月にイギリスの国民投票でEU離脱が決定されたことの影響です。住民投票後、ホファー氏はEU離脱を問う住民投票を要求することを示唆しており、仮に大統領に当選した場合住民投票を国民に訴えかけると思われます。オーストリアでは大統領職に実権はほぼなく住民投票を実施できるわけではありませんが、EU離脱に向けた動きが加速することは間違いないでしょう。少なくとも、フランスなどEU諸国の反EUの機運を高めることにつながりかねません。
オーストリア大統領選挙は、開票作業が原因で再投票になっていますが、都知事選が相次いでいる理由は、任期途中での辞任によるものです。
猪瀬直樹氏、舛添要一氏が2人続いて「政治とカネ」の問題で辞任しており、1回50億円と言われる選挙がこれで4度目になっています。もちろん選挙は民主主義の基礎なので重要なことは間違いありませんが、無駄な税金がかかることは懸念ではあります。
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