東京都選挙管理委員会が、年代別の推定投票率を明らかにした。
これまでも高橋亮平(元中央大学特任准教授・元市川市議・元市川市長候補)コラムでも『18歳投票率51%とノルマ達成、次は大人が応えろ!』などを書いて、18歳選挙権実現による若年世代の投票率などについても紹介してきたが、とくに東京都は他地域に比べても18歳の投票率は高く、今年の夏には都議選を控え、注目も集めるだろうし、若者たちにとっては自分たち世代の要求をしていく大きなチャンスだと思って活用してもらいたいと思う。
東京都選挙管理員会のデータによると、昨年7月10日に行われた参議院選挙においては、全体投票率57.5%に対して、18歳の投票率は60.5%とむしろ平均よりも高く、50歳~54歳の62.2%に迫る勢いであり、45歳~49歳の58.0%よりも高かった。
19歳の投票率についても53.3%となるものの40歳~44歳の54.4%には及ばなかったが35歳~39歳の52.0%よりも高かった。
参議院選挙と同月に行われた都知事選挙においては、全体投票率が59.7%と参議院選挙より2.2P高かったのに対し、18歳51.8%と参院選比▲8.7Pと下がり、19歳も43.7%と▲9.6Pと下がっていた事が分かった。
30〜34歳以上はどの年代も都知事選の方が高かった一方で、25〜29歳以下はどの世代も参院選の方が高いという結果になった。
とくに全体投票率より18歳の投票率が3.0P高かった参議院選挙だったが、都知事選では一転して全体投票率より18歳の投票率が▲7.9%と逆に低くなる結果となってしまった。
「18歳選挙権」導入を受けての都道府県ごとの差も紹介しておきたい。
総務省の調査によると、47都道府県で18歳の投票率が最も高いのは東京都の62.2%だった。
18・19歳については総務省も東京都選挙管理員会も全数調査だと言っているのに数字が異なるのが気になるが、全数調査が嘘なのか、東京都が総務省に伝えた後に確認したら違ったのか、怪しさは残るが気にしないことにしよう。
東京都に次いで18歳の投票率が高かったのは、松沢知事時代に県内全高校での模擬選挙の導入を行うなど政治教育が最も進んでいると言われる神奈川県の58.4%だった事は、18歳選挙権実現後も一向に進まない政治教育の推進のためにも、若年投票率の向上のためには政治教育の充実が重要だと言える要素になるのではないかと若干の期待がある。
総務省においては、神奈川県と他県との政治教育の取り組みの差による若年投票率の影響などデータ分析を進めてもらいたいものだ。
できない、もしくはやるつもりがないのであれば、少なくともエリアごとのデータなどは、もう少しオープンデータとして公表してもらえればと思う。
18歳投票率は次いで3位が愛知県で58.2%、4位が奈良県の55.5%、5位が埼玉県の55.3%と並ぶ。
逆にワーストで見ると、ワーストの47位となったのが高知県の35.3%、次いで46位が宮崎県の38.5%、45位が徳島県の41.2%、44位が愛媛県の41.4%、43位が香川県の42.0%となった。
今回の参議院選挙で初めての合区となった「徳島・高知」と「鳥取・島根」だが、高知県、徳島県はまさに危惧されていた事がそのまま18歳においても顕著となった。ちなみに鳥取県は34 位の45.7%、島根県は37位の45.0%だった。
面白かったのは、18歳19歳ともに全国1位だった東京都だが、全体の投票率になると57.5%と11位になることだ。逆に全体の投票率が62.9%と最も高かった長野県は、18歳の投票率が51.9%で全国12位、19歳の投票率は38.5%で21位になってしまっていた。
選挙期間が3年ごとに決まっている参議院選挙は、これまでも模擬選挙の実施などではやりやすいと言われていたが、都知事選の場合、舛添知事の辞任により急に実施が決まったもので様々な準備が整わなかったことや、学校教育現場においては、夏休みに入ってしまっていたことなども影響していたことも考えられる。
今夏に行われる東京都議会議員選挙は7月2日が投開票。前回2013年の都議会議員選挙の投票率は、2016年の参院選、都知事選と比べて10〜15%低い。
今回は小池知事や都民ファーストなどの話題で盛り上がり、前回よりも投票率が上がることが予想されるが、こうした中で18歳、19歳の投票率がどうなっていくかも大きな注目点だ。
個人的には、「投票率」よりも「投票の質」の方が重要だと思っており、この7月の東京都議会議員選挙までの間に、政治教育などどういった仕組みが作れるか、試みが行えるかも挑戦していきたいと思っている。
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