来週末の投票日に向けて、街中も賑やかになってきました。
若者は政治に参加できるのか? ふと、こんなことを思うことはないでしょうか?
「いくら私たち若者が投票に行っても、結局は、おじいさんやおばあさん、私たちよりも人口の多い世代を向いた政策が優先されてしまうはず」
「無駄になってしまうのだったら、候補者や政策を調べたり、投票に行くことに時間を遣わずに、バイトや勉強でもしていた方が役に立つ」
有権者の中で高齢者の割合が増加し、高齢者層の政治への影響力が増大する現象を表す「シルバー民主主義(デモクラシー)」という言葉もよく目にします。若い世代は他の世代よりも投票に参加しないとも言われていますし、ますます若者の意見が影響力を持つことは難しそうな気がします。
世代別の人口と投票率、推定投票者数(世代別人口×投票率)をグラフにしてみると、よりはっきりしてきます。
図表1は、昨年の東京都知事選挙を題材に図示したものです。推定投票者数では10代・20代が67万人であるのに対して、60代では116万人。60代の推定投票者数が10代・20代の推定投票者数の約2倍になっていることが分かります。
それでも、若者の想いを政治に反映していきたいと思ったら。
そう、若者の投票者数を増やしていけばいいのです。10代・20代の若者が政治について感じたことや学んだことを2人の同年代の人に話してみたらどうなるでしょうか。
その世代の投票率は50%以下ですので、確率的には話しかけた人のうち1人はこれまでに投票に行っていないことになります。その人と一緒に投票に行ってみる。話を聞いた人が同じように2人に話をしてみる。そして、また投票に行く人が増える。そうしてつながりが広がっていったら。
10代・20代有権者の投票率が2倍になると、推定投票者数は60代の推定投票者数を上回ります。
たった2人の友人に対して政治について感じたことや学んだことを話してみるだけ。そう考えてみると、具体的な行動がイメージしやすくなりませんか?
もちろん、政策的な主張は年齢だけで決まるわけではありません。筆者自身、「自分よりも子や孫のための政策を優先して欲しい」と主張される高齢者の方のご意見を伺うことも多々あります。
例えば、同居しているなどの理由で、ご両親や祖父母など、異なる世代の方が身近にいる場合は、自分たちの味方になってもらうことも考えられます。
もし成功したら、若者の立場に立った投票者(味方)が増えることに加えて、他の世代の立場に立った投票者が減ることになります。このことは、同世代の友人を巻き込むときの2倍の影響力を発揮することになります。
東京都議会議員選挙は、準国政選挙とも言われ、全国から大きな注目を集めています。そこで若者が存在感を示すことができたら。「シルバー民主主義」と同じ理由で、2018年末までに実施される衆議院議員選挙でも、若者がより大きな影響力を発揮することにもつながっていきます。
実は、図表1でも確認できるように東京都では10代・20代の有権者は、決して他の世代よりも少ないわけではありません。確かに、平日でも、休日でも、投票に赴くための負担は、時間に融通をつけにくい若い世代ほど大きいものとなります。ただ、近年は期日前投票所の設置場所の工夫など、投票しやすい環境づくりも進んでいます。投票自体は、受付から記名・投票まで10分もあれば済ませることができますし、想像しているよりも少ない負担で投票することができるかもしれません。
あなたがもし東京都にお住いの若年有権者だとしたら、「シルバー民主主義」などと表現される若者の政治的な無力感は、「友人2人に話しかけてみること」といった、ちょっとした行動で変えていくことができます。
いままで誰も解決策を見出していない「シルバー民主主義」。友人2人に話しかけてみるといった身近なことから、克服への第一歩を踏み出してみませんか。
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