わずか20日ほど前まで永田町を席巻していた「4月解散説」が一気に沈静化したようです。沈静化どころか、もはや影も形も見えないと言っていいかもしれません。
4月解散説は、50%前後の内閣支持率を維持している安倍政権にとってはある意味、魅力的な選択肢でした。
「7月の都議選で小池百合子都知事率いる都民ファーストの会が躍進すれば、今秋の解散は厳しい。だから、解散のタイミングは今しかない!」
「1票の格差を是正する衆院の区割り変更案が5月末までに公表されるため、周知期間を勘案すると、当分解散権を行使しにくい。解散のタイミングは今しかない!」
「任期満了となる来年12月まで安倍政権が好調という保障はない。支持率が高い今のうちに解散すべき!」
こういった声は政治関係者の間では耳にする機会の多かったものでした。いずれも、解散の決断を後押しするプラス材料ばかりで、永田町の空気感では4月解散は十分にあり得ると言えるものでした。
しかし、「森友学園問題」という、当初は小さいはずだった問題が、安倍政権の解散戦略を狂わせたように思えます。
内閣支持率はまだ数%程度の下落幅で、安倍政権自体は盤石ですが、首相の妻である昭恵夫人が渦中の人物となっている状況では、リスクの大きい解散を打つのは容易ではありません。
もともと、国有地が極端に安く売却されたことに端を発した問題ですが、いつのまにか、「昭恵夫人と森友学園の籠池泰典氏のどっちが嘘をついているのか」に焦点が移るなど、泥沼化の様相も呈しています。仮に今、安倍首相が解散を決断しても、野党から「森友学園問題隠し」と非難されることは避けられないでしょう。
では、いったいいつ解散することが考えられるのでしょうか? 衆議院の任期は4年間ですが、過去数回の総選挙を見ると、平均で2年半ごとに解散していることが分かります。
さらに、衆議院の任期は来年12月と、すでに折り返しの2年を迎えています。そこで、ここ数回の解散までの間隔や今年の政治日程を鑑みると、大きく分けて3つのパターンが想定されます。
(1)7月の都議選とのダブル選
(2)今年秋~冬
(3)来年中
繰り返しになりますが、衆院議員の任期は2018年12月です。それまでに100%の可能性で総選挙が行われます。
「(1)7月の都議選とのダブル選」はどうでしょうか。都議選とのダブル選は確かに、安倍首相にとってはメリットがあります。なによりもまず、小池都知事の勢いを止めることができると想定されるからです。都議選では大きく議席を伸ばすと考えられている都民ファーストの会も「衆院選が都議選と重なれば、さすがに国政進出は難しい」という見方は多いです。
加えて、「都議選で公明党が小池氏と手を組んだことに自民党は激怒しており、公明党に“報復”する意味で、都議選に専念したい公明党が最もいやがるダブル選を仕掛ける」との指摘もあります。
しかし、5月末までに公表される区割り変更案という難題があります。1票の格差を解消しないままの総選挙突入は、やはり大きな批判を浴びるでしょうから、都議選とのダブル選となる可能性はあまり高くないかもしれません。
「(2)今年秋~冬」はどうでしょうか。
おそらく、最も可能性が高いとみられる時期です。
森友学園問題もすっかり落ち着き、経済状況も悪くなければ十分解散に打って出られると思います。区割り変更も、周知期間を終えることが予想され、11月・12月の解散は現実味を増しています。
ただ、何を大義名分にするかという課題は残ります。民進党が7月の都議選後に党内を改造し、党勢を回復している可能性もあります。経済状況も見通せません。例えば、アベノミクスがさらに失速している可能性も否定できません。
「(3)来年中」はどうでしょうか?
「選挙は来年だ」と予測する人は増えているように思えます。
理由はいくつかありますが、例えば再来年の1月から新元号となり皇太子さまが天皇陛下になられるため「国民的な祝賀ムードが盛り上がりはじめる来年の秋ごろに選挙をするのではないか」という玄人好みの声もあります。
ただ、来年の解散となると、やはり前半の可能性が高いと言われています。
安倍首相は来年9月に総裁の任期満了を迎えます。当然、総裁選に立候補し、3選を目指すと想定されていますが、その場合、総裁選前に国政選挙で勝利すれば3選はさらに確実なものとなります。総裁選前の衆院選勝利にこだわるのは自然な流れで、来年解散があるとすれば、来年前半、すなわち夏ごろまでと考えられます。
3つのパターンを想定しましたが、いつ何があるのか分からないのが政治の世界。来月、急にまた解散風が吹き始める可能性もゼロとは言い切れません。
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