
年末年始になると、皆さんの会社も忙しくなるように、例年、政治の動きも忙しくなります。政治の世界の中で、年末年始恒例の行事となりつつあるのが、新党の結成です。
例えば、現在の選挙制度である「小選挙区比例代表並立制」が使われ始めた1994年から一昨年の2015年までに、12月1日から1月1日までに結成された政党をみると、
・新進党(1994年12月10日)
・太陽党(1996年12月26日)
・フロム・ファイブ(1997年12月26日)、
・新党友愛(1998年1月1日)
・自由党(1998年1月1日)
・国民の声(1998年1月1日)
・改革クラブ(1998年1月1日)
・大地・真民主党(2011年12月28日)
・新党きづな(2011年12月30日)
・生活の党(2012年12月27日)→生活の党と山本太郎となかまたち(2014年12月26日)
・みどりの風(2012年12月28日)
・結いの党(2013年12月20日)
・日本を元気にする会(2015年1月1日)
・改革結集の会(2015年12月21日)
と新党の結党が多くなっていることが明らかです。
では、なぜ12月に新党結成が多いのでしょうか?
それは、1月1日までに駆け込みで新党を結成する必要があるからです。日本では、1995年1月1日に施行された「政党助成法」に基づく「政党交付金(助成金)」という法律・制度があり、国から一定の要件を満たした国政政党は、政党の活動を助成するためのお金を受け取ることができます。その目的は、
政党助成制度は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、選挙制度及び政治資金制度の改革と軌を一にして創設された、国が政党に対する助成を行うことにより、政党の政治活動の健全な発達を促進し、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とした制度です。
(参考URL:http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seitoujoseihou/seitoujoseihou01.html)
とされています。この法律は、リクルート事件に代表される「政治とカネ」が問題となった80年後半から90年前半に、選挙改革とともに、企業からの献金の問題を是正しようという背景から成立しました。
そして、この助成金を受け取るための一定の要件とは、
1. 国会議員5人以上を有する政治団体
2. 国会議員を有し、かつ、前回の衆議院議員総選挙の小選挙区選挙若しくは比例代表選挙又は前回若しくは前々回の参議院議員通常選挙の選挙区選挙若しくは比例代表選挙で得票率が2%以上の政治団体
となっており、国会議員の所属人数や国政選挙での得票率によって要件が定められていることから、国政に関わる政党が対象となっています。
さらに政党交付金の額はどのように決めているかというと、
・政党交付金の総額は、最近の国勢調査の人口に250円を乗じて得た額を基準として、国の予算で決まります。(平成22年国勢調査人口により算出すると約320億円)
・各政党に交付される政党交付金の額は、政党に所属する国会議員の数と、前回の衆議院議員総選挙、前回と前々回の参議院議員通常選挙の際の得票数によって決まります。
・各政党への政党交付金の額は、毎回1月1日を基準日として算出し、年4回に分けて交付されます。
つまり、国会議員をそろえた上で、1月1日までに政党として届出すると、約300億円から人数と得票数に応じて、各政党に交付金が、振り分けられます。具体的な交付される金額は、大きな政党になると100億円以上、小さな政党でも1億円以上は受け取ることができます。

12月での駆け込み新党は、少なからず交付金を受け取るために起きている現象だと言えるでしょう。
では、政党交付金を受け取るために、2016年の年末も新党結成が起きても良いはず… ですが、実際には「小池新党」も結党されませんでした。
これは、政党交付金の制度は国政政党を対象にしているためでしょう。地方議会を円滑に進めるための政党(会派)を結成するのが目的ならば、国会議員の合流は必要がないため、政党助成金のために1月1日を意識する必要がありません。
国政政党ではない地域政党の結成の例である大阪維新の会も、2010年4月に地方議員による政党を結成していることからも、地方議会での多数派の確保をする目的だと、必ずしも1月1日までの要件がある政党助成法に基づく政党交付金のために新党を駆け込みで結成する必要がありません。
2016年の年末には新党は結党されませんでした。しかしながら、例えいつ、新党が結成したとしても、自分たちの税金を使って、政党の活動を助成しているということを頭の片隅に残し、政治がどのようなことを自分たちに、そして日本のためにしてくれるかをチェックしていくことは重要でしょう。2017年も政治に注目していきましょう。
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