小池新党が誕生するのか。また誕生した時にはどのような動きになるのか、が注目されている。小池知事は知事選に圧勝し、その後も勢いがとまらない。築地市場から豊洲への移転に関しては、豊洲市場の土壌汚染対策などで問題が噴出している。小池知事の対応に都民は概ね好意的にとらえており、こうした豊洲市場への移転を推進してきた東京都議会、特に自民党都連には批判が集まっている。小池新党の設立を望む声も高い。
小池知事は小池新党の準備はしつつあるようである。小池知事は政治塾を立ち上げる意向を明らかにしている。非常の多くの区議や市議などが参加を希望しているようだ。受講者はかなりの数になりそうだ。この受講者はすぐに、来年の都議選の候補者になりうる。小池新党を設立するときの重要な人材プールとなる。
小池氏が取りうるパターンは幾つかある。自民党本部、自民党都連などの態度も重要になる。小池氏は自民党の有力議員であったわけだし、東京オリンピックなどの運営においても自民党と徹底対立するのは避けたいはずだ。しかし、都政においては小池知事の主導権を失わないようにしなければならない。微妙なバランスで、難しい舵取りをしなければならない。
小池新党に関しては3つのパターンがある。
A.新党として立ち上げない
自民党に最大限の配慮をしたパターンだ。緩やかな小池支援ネットワークを作り、味方勢力を増やしていく。都議会自民党内にも小池派、小池フレンドを作り、その勢力を増やしていく形だ。ゆくゆくは都議会自民党もマジョリティは小池派にすることを目指す。小池新党として新たに立ち上げないもののかがやけTokyoなどが議員数を増やしていく。基本的に国政は自民党との関係を強める形で、特定の対抗勢力の支援には回らない。
B.東京都限定の小池新党
東京都政を運営するにはやはり都議会で小池都政の与党を大きくすることが重要だ。都議会自民党はまだ態度が厳しく、敵対勢力になり続ける可能性もある。ローカルパーティとしての小池新党を立ち上げ、特に敵対する自民党都議のいる選挙区に候補者を送り込む。都議会自民党を小さくするとともに、小池新党の勢力を拡大し、自民党が決定権を握っている現在の都議会の構成を大きく変える試みだ。あくまでローカルパーティとして活動し、国政においては自民党所属の政治家として活動をする。自民党本部とは連携を強化する方向だ。
C.東京都も国政も小池新党
東京都内での活動にとどまらず、国政にも顔を出す小池新党を立ち上げる。日本維新の会との連携をして、第3極としての活動をする。日本維新の会が大阪中心なのに対して、小池新党は東京中心の政党となる。二つが協力しながら、日本全体に新たな風を送り込むというスタイルだ。かなり弱体化しているが名古屋の河村市長も「減税日本」として協力すると、東京、大阪、名古屋の三大都市をカバーすることになる。
自民党の二階俊博幹事長は東京都知事選で党方針に反して小池氏を応援した若狭勝衆院議員の処分を「厳重注意」にとどめた。さらに衆院東京10区補選の公募に若狭氏が応じることも認め、公認する可能性が高い。自民党本部は明らかに小池知事との連携を強めたい姿勢である。少なくとも小池新党が立ち上がり、国政でも第3極として活動しないようにさせる意向だ。若狭氏が自民党を離れ、小池新党の核になったら、国政にも勢力を伸ばす保守政党が誕生する可能性がでる。まだ若狭氏の自民党公認は決定されていない。どのような決定になるかは注目だ。
一方、自民党東京都連が東京都知事選挙で小池氏を支援した自民党区議7人に対して「離党勧告」の処分を決めたことが報じられている。国政において若狭議員に「厳重注意」の軽い処分で、区議には「離党勧告」の厳しい処分はバランスは取れていない。これだけの厳しい処分となるとやはりローカルパーティとしての小池新党の設立が実現しそうだ。小池知事も区議7人を見捨てるわけには行かない。しかもこれは、東京都連は小池知事と敵対するぞ、というメッセージでもある。ただ、衆議院東京10区補選の活動によっては処分軽減の可能性にも触れている。もし、自民党が若狭氏を公認候補として、その応援に区議7人が一生懸命の活動をしたら、どうなるのだろうか。ぎりぎりの逃げ道を作っているのかもしれない。
Bのパターンが最も有力だ。自民党本部にしても、小池新党がローカルパーティにとどまり、小池知事と友好な関係を築けるなら「御の字」という感じだろう。問題は都議会自民党だ。今のまま進むと、来年の都議会選挙で大幅に勢力を失う可能性が高い。このまま対知事路線を突っ走るか、友好路線に修正するか。ローカルパーティ小池新党が立ち上がると都議会自民党の分裂も十分ありうる。
※本記事は「児玉克哉-個人 Yahoo!ニュース」の9月17日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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