キューバ革命の指導者、フィデル・カストロ前国家評議会議長が死去しました。
1959年に起きたキューバ革命の英雄として知られるフィデル・カストロ氏。裕福な農場主の息子として1926年にキューバで生まれました。ハバナ大学在学中から学生運動の指導者として政治闘争に参加します。大学卒業後は弁護士として政治犯や貧困層のために活動しています。1953年には当時の独裁政権を打倒しようとして失敗し、逮捕されます。
その後は恩赦によって釈放され、アメリカ等でも活動し、1956年12月にはチェ・ゲバラらとともに再びキューバに上陸。1958年にキューバ革命を成し遂げました。
その後は新政府で首相に就任し、1976年には国家評議会議長として正式に国家元首の地位に就きました。
国家元首に就任した後のカストロ氏は、他の社会主義政権の最高指導者に見られるような、自身の巨大な肖像写真や銅像を一切作らせていないなど、驕り高ぶる姿勢を見せず、国民から支持を得ていました。
2008年に弟のラウル・カストロ氏に国家元首の地位を継承するまで約50年もの間、キューバの最高指導者を務めてきました。今年9月には、キューバの首都ハバナを訪れた安倍首相と会談を行うなど、引退後も存在感を示していたカストロ氏。正にキューバの象徴ともいえる人物の死去を、全世界のメディアが速報で伝えています。
新アメリカ大統領となるこの人からも一言。 「カストロが死んだ!」
Fidel Castro is dead!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年11月26日
このニュースと同時に、Twitter上には不可解なつぶやきが散見されています。それは、「アメリカのマイアミでは、カストロ氏死去の報せに住民が沸いている。」というもの。
Miami residents take to the streets to celebrate news of Fidel Castro’s death https://t.co/xiCpxBIzR1
— MSNBC (@MSNBC) 2016年11月26日
カストロ氏の死去を祝うマイアミ市民の様子は、他にも投稿されています。なぜ、マイアミの人たちはカストロ氏の死去を喜んでいるのでしょうか。
#BREAKING Cuban Americans celebrating the death of Fidel Castro in Little Havana @nbc6 pic.twitter.com/WQjdRGUGf0
— Jamie Guirola (@jamieNBC6) 2016年11月26日
そこには、カストロ氏が関わったキューバ革命が関係しています。
1950年代前半から始まった革命運動は、1959年1月に革命軍がハバナを制圧したことで勝利を収めました。この頃から、革命勢力を嫌った多くのキューバ人たちが、アメリカに亡命を始めました。彼らの多くは、亡命先としてキューバのすぐ北にあるマイアミを選んだのです。
1965年からは、アメリカへの移動を望む人たちのために、キューバとマイアミを結ぶ「フリーダムフライト」と呼ばれる定期便が就航し、30万人以上がアメリカへと移動しました。
このような経緯から、アメリカにはキューバ系の人が多く暮らしており、特にマイアミ周辺ではその割合が高くなり、マイアミ人口の34.4%がキューバ系です。
ちなみに、今年のアメリカ大統領予備選挙に、共和党から立候補していたマルコ・ルビオ氏や、テッド・クルーズ氏はこのキューバ移民の2世です。
先程ほどのツイートでカストロ氏死去を祝っていたのは、このキューバ系アメリカ人の人たちなのです。
彼らは、もともとカストロ氏らの共産主義革命を嫌ってアメリカに亡命した人たち。彼らにとって革命を指導したカストロ氏は、いわば「敵の大将」です。カストロ氏らが敷いた共産主義一党独裁体制は、多くの人の生活を苦しめたとの評価もされています。
先ほどのテッド・クルーズ氏は、カストロ氏の死に対し、こうツイートしています。
「フィデル・カストロの死は、彼のせいで死んだ何千人もの犠牲者を蘇らせることは出来ない。犠牲者の家族に慰めを与えることも、もちろんない。」
Fidel Castro’s death cannot bring back his thousands of victims, nor can it bring comfort to their families: https://t.co/hYue5mi69M
— Ted Cruz (@tedcruz) 2016年11月26日
様々な民族、人種が入り乱れるアメリカ。他国の大統領の死去とはいえ、彼らにとっては他人事ではないのです。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード