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トランプ氏が大統領に選ばれた訳

2016/11/11

清谷 信一

清谷 信一

※本記事は「清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。

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大方の予想を覆してトランプ氏が、米大統領に選ばれました。

アメリカや日本のメディアが驚愕したのは思い込みが強かったからではないでしょうか。
伝統的に米国のメディアはリベラル色が強いこと、それにこれまでの「政治の常識」に毒されてきたのがその理由でしょう。

既にこのブログでも何度か書いていますが、アメリカの有権者は現在の政治や政治家を信用していません。何事も小理屈をこねるインテリではなく、中流以下の普通のアメリカ人に顕著です。

都会のインテリよりも、地方のメガチャーチやテレビ伝道師の説教に涙する、我々日本人からみると奇異にみえるレッドネックな人たちこそアメリカ人のマジョリティです。

米国では金融資本と大手企業の経営者が政治を取り込んで私服を肥やしてきました。
企業が儲かっても、利益を得るのは投資家と経営者だけで、従業員にはそのオコボレはないどころか、
益々貧しくなっています。更に職を失う人も増えています。

本来、金融は経済の血液です。それが実体経済の何百倍も膨れ上がり、それをまた強欲な率で増やそうしてきたのが、投資家や金融機関です。本来の金貸しの手数料を超えた莫大な利益を彼らは欲してきました。

彼らは金融商品だけはなく、株主として過大な配当を企業に求めてきました。
企業の業績が良くとも人を減らし、工場を閉めて自社株を買えば、固定費が下がり、バランスシートの見栄えが良くなって株価が上がります。
このため解雇される人たちおります。

結果職が減り、生産拠点は海外に移転します。あるいは外注先に生産させます。
中産階級が週給の労働者になり、週給の労働者は職を失いフードスタンプで生活するか犯罪者かホームレスです。
それでもウォール・ストリート・ジャーナルやメディアは企業の業績は良くなった、アメリカはより豊になったと報道します。ですが、それは多数派のアメリカ人の実感とはかけ離れています。

そして、政治家は企業から献金をもらっていますから、企業よりの政策をとって、益々庶民は困窮します。
こういうときに出てきた大統領候補がトランプと、サンダース候補です。

8年前、いえ4年前であれば泡沫候補に過ぎなかったはずの彼らが大統領候補の本命にまで上り詰めたのは、庶民の政治に対する不信を通りこした怒りです。
ところが「専門家」のメディアの連中は今までの「常識」でしか政治を見ていなかった。
虚心坦懐にこの現象をみれば、今までとは異なる政治的な動きがあることはわかったはずです。
ところが今までの見方や考え方にこだわってきたわけです。

ですからトランプ大統領は番狂わせだと慌てたわけです。

さてオバマ政権の路線を継承すると見られていたヒラリーですが、オバマ政権はこういう、強欲資本主義を事実上容認してきました。恐らく民主党支持者でサンダース候補を支持していた人たちもヒラリーではなく、トランプに投票したのではないでしょうか。

そのオバマ政権の外交はひどいものです。

アラブの春を民主化だと持て囃し、カダフィーやムバラクなどの「独裁政権」倒しましたが、ところが欧米化型の民主主義が登場することなく、イスラム原理主義が台頭し、内戦や政治の不安定が中東で増しました。更にシリアのアサド政権にちょっかいを掛けて内戦をエスカレーションさせて、中東のさらなる不安定を起こしました。

結果が欧州への何百万人もの難民です。ただでさえ、経済問題が深刻なEUが更に大きな政治問題を抱えました。のみならず、これらの中東の不安定が、テロの温床ともなっています。

独裁政権を倒せば、中東に民主主義が訪れるという幼稚な着想は、ブッシュJrがイラクで大失敗したわけですが、それから何も学ばなかったわけです。

更にウクライナ問題では正当性のかけらもない、ゴロツキの集まりである現ウクライナ政権を支持して、ロシアのショバ荒らしをしました。ロシアが怒るのは当然です。ロシアがメキシコで同じことをしたらニコニコしているでしょうか。

本来、金融は経済の血液です。それが実体経済の何百倍も膨れ上がり、それをまた強欲な率で増やそうしてきたのが、投資家や金融機関です。本来の金貸しの手数料を超えた莫大な利益を彼らは欲してきました。

彼らは金融商品だけはなく、株主として過大な配当を企業に求めてきました。
企業の業績が良くとも人を減らし、工場を閉めて自社株を買えば、固定費が下がり、バランスシートの見栄えが良くなって株価が上がります。
このため解雇される人たちおります。

結果職が減り、生産拠点は海外に移転します。あるいは外注先に生産させます。
中産階級が週給の労働者になり、週給の労働者は職を失いフードスタンプで生活するか犯罪者かホームレスです。
それでもウォール・ストリート・ジャーナルやメディアは企業の業績は良くなった、アメリカはより豊になったと報道します。ですが、それは多数派のアメリカ人の実感とはかけ離れています。

そして、政治家は企業から献金をもらっていますから、企業よりの政策をとって、益々庶民は困窮します。
こういうときに出てきた大統領候補がトランプと、サンダース候補です。

8年前、いえ4年前であれば泡沫候補に過ぎなかったはずの彼らが大統領候補の本命にまで上り詰めたのは、庶民の政治に対する不信を通りこした怒りです。
ところが「専門家」のメディアの連中は今までの「常識」でしか政治を見ていなかった。
虚心坦懐にこの現象をみれば、今までとは異なる政治的な動きがあることはわかったはずです。
ところが今までの見方や考え方にこだわってきたわけです。

ですからトランプ大統領は番狂わせだと慌てたわけです。

さてオバマ政権の路線を継承すると見られていたヒラリーですが、オバマ政権はこういう、強欲資本主義を事実上容認してきました。恐らく民主党支持者でサンダース候補を支持していた人たちもヒラリーではなく、トランプに投票したのではないでしょうか。

そのオバマ政権の外交はひどいものです。

アラブの春を民主化だと持て囃し、カダフィーやムバラクなどの「独裁政権」倒しましたが、ところが欧米化型の民主主義が登場することなく、イスラム原理主義が台頭し、内戦や政治の不安定が中東で増しました。更にシリアのアサド政権にちょっかいを掛けて内戦をエスカレーションさせて、中東のさらなる不安定を起こしました。

結果が欧州への何百万人もの難民です。ただでさえ、経済問題が深刻なEUが更に大きな政治問題を抱えました。のみならず、これらの中東の不安定が、テロの温床ともなっています。

独裁政権を倒せば、中東に民主主義が訪れるという幼稚な着想は、ブッシュJrがイラクで大失敗したわけですが、それから何も学ばなかったわけです。

更にウクライナ問題では正当性のかけらもない、ゴロツキの集まりである現ウクライナ政権を支持して、ロシアのショバ荒らしをしました。ロシアが怒るのは当然です。ロシアがメキシコで同じことをしたらアメリカはニコニコしているでしょうか。

結果ロシアとの対立が先鋭化し、それに乗っかったEUは、禁輸までも行って関係が悪化し、貿易も滞り、相互の投資も減りました。これまたEUのみならず、世界の経済の足を引張っています。

そして中国には誤ったメッセージを送った結果南シナ海での狼藉を許して、今になって慌てて対処しています。

率直に申し上げて、ろくなものじゃありません。

今回の大統領選でヒラリーが選ばれなかったのは、現実離れしたメディアに対する批判でもあった。
そのように思えます。

さて、トランプ大統領ですが意外にまともにやるのではないでしょうか。
キャンペーン中の発言は人気取りのためであり、それを実行するほど馬鹿ではないでしょう。
スタッフもちゃんとつくし暴走はそうできないでしょう。
また経営者としてキャリアも長いです。しかも危機も乗り越えてきている。
ヤクザな弁護士上がりのおばさんよりもリアリストではないでしょうか。

そもそも喋っているあの調子で経営していたら今頃彼は経済界にいないでしょう。

※本記事は「清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所」の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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清谷 信一

清谷 信一

軍事ジャーナリスト、作家。 1962年生まれ、東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関Kanwa Information Center上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。 著書:『国防の死角』(PHP)、『専守防衛』(祥伝社新書)『防衛破綻──「ガラパゴス化」する自衛隊装備』(中公新書ラクレ)、『自衛隊、そして日本の非常識』(河出書房新社)、『弱者のための喧嘩術』(幻冬舎アウトロー文庫)、『こんな自衛隊に誰がした!--戦えない「軍隊」を徹底解剖』(廣済堂)、『不思議の国の自衛隊--─誰がための自衛隊なのか!?』KKベストセラーズ)、『ル・オタク--フランスおたく物語』(講談社文庫)、『軍事を知らずして平和を語るな 』(石破 茂氏との共著 KKベストセラーズ)、『アメリカの落日──「戦争と正義』の正体』(日下公人氏との共著 廣済堂)などがある。 朝日新聞のWEBRONZA+、日経BPの日経ビジネスオンラインなどネットメディアにも寄稿。

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