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【平成29年度防衛予算概算要求】なんでこんなに小火器高くなっているの?

2016/10/11

清谷 信一

清谷 信一

20160905jieitai

さて、8月末に来年度の防衛予算の概算要求が出てから既に2ヶ月以上経ちました。
中身を細かくみると気になる点があります。特に調達単価。

まずMINIMIの金額です。以前MINIMIは100丁単位のときで単価は約200万円でした。
ですが、本年度は30丁で1億円で、調達単価は333万円です。値上がりは量産効果が出なかったとい言うわけが通じるのかもしれません。1.5倍以上といのはちょいと苦しいとは思いますが。ですが、来年度は48丁で2億円、調達単価は416万円です。
調達数は1.6倍に増えているのに、調達単価は1.25倍に増えています。
不思議ですねえ。これがジンバブエみたいなインフレ国家なら分かるんですが、我が国は日銀が躍起になっても物価は年に2パーセントのインフレにすらなっておりません。

市ヶ谷界隈で聞いた話ですが、これは住重がMINIMIの不具合を直すのにかかったコストをそのまま上乗せしたからだということです。
それが本当であれば、とんでもない話です。陸幕は本年度の調達では不具合を知りながら調達したことになります。しかも本来住重が負担すべきコストを税金で支払うことになります。

この話が違うというのであれば、なんで調達数が増えて、調達単価が上がるのでしょうか。たかだか分隊支援火器400万円以上払うなんでどこのお大尽でしょうか。全戦闘職種にPKO用と同じファーストエイドキットを配ると、13億円もかかるので、できませんと公言している貧乏軍隊のやることじゃないでしょう。

まるで、健康保険を払うカネがないといいながら、エルメスのバーキン買う準禁治産者手前OLみたいなものです。いえ、バーキンならまだいいんです。売ればそれだけ金になります。自衛隊がやっているのはユニクロの9千円のコートに3万円も払うようなことです。

もしかすると上増しして払わないと住重の機銃ビジネスが立ち行かなくなるからかもしれません。来年度概算要求でも74式機銃、12.7ミリ機銃ともに要求されておりません。用途廃止になった74式あたりから引剥したからいらないというのでしょうが、それが続くならば住重は特機部門のビジネスを維持するだけのカネは稼げないでしょう。
早く撤退するのが、防衛当局、納税者、住重の他の部門と同社の株主のためでしょう。
MINIMI数十丁つくるだけで仕事がまわりますか?
高齢者を胃瘻や人工呼吸装置をつけて無理やり生かしているようなものです。
同社に機銃製造のまともな技術がないことは明白でしょう。
長年市場価格の何倍ものカネを払って、調達してきた結果です。そのようなビジネスを、税金を使って延命することが国益なんでしょうかね?
かつて岩田全陸幕長(当時)は74式も12.7ミリも機種更新も含めて検討していると仰っていました。後継機種の仕事が住重にいくでしょうか。日本製鋼所あたりが頑張って取るのではないでしょうか。

MINIMIだけが必要ならばFNから直接買えばいいでしょう。
数分の一の値段で、まともな製品が調達できます。なんの問題があるのでしょうか。

無理な仕事を続けるのは反社会的な行為ですらあるといえるでしょう。小火器の国内生産を維持したいのであれば、価格・性能ともに一定水準を満たす必要があり、そのためには各社の事業統合なども必要でしょう。
単に現状維持のためにクズのような銃器を他国の何倍、10倍以上の税金を投じて買う必要がどこにあるのでしょうか。有事に国内生産基盤が必要だというのであれば、ナンセンスです。増産なんぞ簡単にできません。現状ならばまともな外国産を例えば、5分の1の値段でかって、同額の予備の銃やパーツを買って備蓄しておくほうがよほどマシでしょう。
自衛隊用の輸入が高いのは一部、極めて少ない量を毎年ちょぼちょぼ買うことと、一部の業者との癒着があるからでしょう。一部の業者は書類を偽造していたりするのですが、何故か自衛隊の調達部門の人たちは見て見ぬふりをしています不思議ですね。

実は今回89式小銃も高いです。単価は39.1万円、対人狙撃が333万円です。これらもボッタクリプライスです。

そして10式戦車も12・7億円でお高くなっております。かつて10式は7億円になるんだあ、と絶叫していたリテラシーの低い戦車フェチの方々の予言は随分とあてにならないようです。

そして軽装甲機動車もこれまた概ね3千万円だったのが5千万円です。諸外国で同規模あるいは、ランクルベー
スのもうチョット大きな装甲車でも概ね1千万円前後が相場ですから、5倍です。なんでこうなるのでしょうか。

暴利値段にしたほうが、GDPにの増加に役立つからOKなんでしょうかね?

ぜひとも国会で追求して欲しいものです。

※本記事は「清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所」の10月11日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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清谷 信一

清谷 信一

軍事ジャーナリスト、作家。 1962年生まれ、東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関Kanwa Information Center上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。 著書:『国防の死角』(PHP)、『専守防衛』(祥伝社新書)『防衛破綻──「ガラパゴス化」する自衛隊装備』(中公新書ラクレ)、『自衛隊、そして日本の非常識』(河出書房新社)、『弱者のための喧嘩術』(幻冬舎アウトロー文庫)、『こんな自衛隊に誰がした!--戦えない「軍隊」を徹底解剖』(廣済堂)、『不思議の国の自衛隊--─誰がための自衛隊なのか!?』KKベストセラーズ)、『ル・オタク--フランスおたく物語』(講談社文庫)、『軍事を知らずして平和を語るな 』(石破 茂氏との共著 KKベストセラーズ)、『アメリカの落日──「戦争と正義』の正体』(日下公人氏との共著 廣済堂)などがある。 朝日新聞のWEBRONZA+、日経BPの日経ビジネスオンラインなどネットメディアにも寄稿。

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