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駆けつけ警護と防衛省の胡乱な衛生体制の変更

2016/9/23

清谷 信一

清谷 信一

「駆けつけ警護、現実的でない」南スーダン支援の日本人
http://digital.asahi.com/articles/ASJ9D7QZXJ9DUTFK01D.html?rm=470

戦場で救命行為、防衛省が隊員養成 国内の離島など想定
http://www.asahi.com/articles/ASJ9P5172J9PUTIL02H.html

>今回の新制度について同省の担当者は「日本国内での有事を前提に検討したもので、PKOなどの海外任務は対象にしていない。海外任務では、自衛隊の医官の指示の下に、医療行為ができる環境を基本的に整えている」と説明している。

自衛官の最前線医療行為可能に 防衛省、救命率向上目指し
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/63165

>防衛省は21日、有事の際、最前線で負傷した自衛隊員の救命率を向上させるため、医
師免許がない隊員にも一部の医療行為を可能にすると発表した。同省は「国内有事を想定
しており、安全保障関連法とは無関係」と説明しているが、安保法による海外任務の拡大
で隊員が負傷するリスクが高まるとの指摘を背景に、緊急時の医療体制整備を迫られた形
だ。

“戦場”で緊急処置可能に
防衛省 「衛生員」の新資格創設
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-09-22/2016092202_01_1.html
>同省は、米軍のコンバットメディック(衛生兵)に相当する資格を自衛官に認定・付与すべく、同省にコンバット・メディカルコントロール協議会(CMC協議会)を今後設置する方針です。

>防衛省が設置した有識者会議の提言に沿った措置。准看護師と救急救命士の資格を持つ
隊員に専門的な講習を受けさせることで可能にする。同省は医療行為の解禁について、保
健師助産師看護師法の解釈の範囲内で可能とし、新たな法改正は不要と説明している。

国内向けと、言っておりますが、これは本来は「駆けつけ警護」を対象したものでしょう。PKOだけを切り離しては、戦時医療体制が整備できないでしょう。ですが、国内用と言っておかないと、これから改革し、カリキュラムを組むので駆けつけ警護実施に間に合わなくなるからでしょう。交戦で手足や命を失う隊員こそいい面の皮です。

本来ならば、国内よりも駆けつけ警護の方がより実戦による死傷者が出る可能性が高いわけです。
それに何の手当もおこなわず、より優先順位の低い国内の対処を優先させるのでしょうか。

現状で駆けつけ警護をおこない、交戦となって隊員が死傷すれば、医療体制が整っておらず、他国の何倍もの死傷者を出すでしょう。しかも彼らは麻酔薬も支給されておらず、ペインコントロールができないので、苦しみもがきぬいた上で、命や手足を失うことになるでしょう。

そうなればそれを放置してきた安倍政権の責任が問われるでしょう。そもそも駆けつけ警護を行う必要性が低い、しかもPKO派遣の原則からはずれている南スーダンです

更に申せば、他国では当たり前にメディクにやらせている手当を、医師法の規制があるとして、やらず、長年に渡って放置してきたのは防衛省自衛隊の怠慢であり、まずは素直に自己批判すべきです。「より良くする」なんて官僚作文をやっている場合ではないでしょう。

そしてこのような「改革」をしても実効性はないでしょう。何しろ、自衛隊防衛省の中にまともに戦傷医療を知っている人間はほとんどいません。みんな衛生部のやる気の無さと陰湿ないじめでやめしまいました。何しろまともに戦傷医療研究やるとキチガイとか反逆者扱いされましたら。
「コンバット・メディカルコントロール協議会」なんて作っても結局は利権誘導団体にしかならないでしょう。そもそもなんで協議会なんでしょうか。本来防衛省、自衛隊の中の既存の組織でやるべきことでしょう。
防弾チョッキやヘルメットかぶっているから胴体と頭は怪我しないなんて、胡乱なことを言っている人たちにまともな戦傷医療体勢の確立なんて無理です。

防衛省では戦時医療では「10分一時間救命ドクトリン」などという、寝言のような話をしております。こんな机上の空論、寝言をいっているようでは海外の軍隊から笑われます。各隊員にしても止血帯の使い方しか教えられておりません。包帯すら満足にまけない状態です。しかも支給されている包帯では小銃弾の貫通による出血には対処できません。

また結局、法律をいじくらず、法解釈だけでやるのは面倒くさいし、医師会が怖いからでしょう。医師会からショバ荒らしをするなといじめられる。こんな小手先なことでまともな医療体制ができるはずがあるません。

当面法改正が難しいならば、医官の数を増やすべきでしょう。パラメディックの仕事を医官にやらせれば宜しい。役にも立たない10式や機動戦闘車を買うカネがあるならば、医官を増やすべきです。

そもそも部隊で医官の充足率は2割を切り、インターンに至ってはゼロ。駐屯地では薬剤官が売薬を、出しているだけなんてところがゴロゴロある。これは中谷大臣が記者会見で発言しています。

衛生学校にしてもナースをホステスにして無許可の宴会ばかりして、有事法制に備えての研究なんぞしていなかったのですから。

しかも衛生関係者は平気で幕僚長や大臣を騙します。
元衛生学校長の自作自演のコンサートでは中央病院長の娘さんのバイオリニストをタダで出演してもらったという嘘をついております。
ですがこれはバイオリニストから「普通ギャラは20万円ぐらいなんですけぉ、パパのお仕事の関係ですから5万円でいいですう♡」という申し出であって、ご本人とピアノ伴奏者に各5万円ずつ払っています。
ところがぼくがこの件を暴露したので、怪しげな共済会が払ったことにして、陸幕広報室や内局の広報、岩田幕僚長やら、中谷大臣まで騙したわけです。

それから有事に個人衛生キットを3アイテムからPKO用と同じ、8アイテムに増やすというのも真っ赤な嘘。業者たちだってそんな話をきいていたことがないわけです。これまた幕僚長や大臣を騙しているわけです。それと防衛省では頭のなかにある思いつきのことを「計画」と呼ぶのでしょうか。

これらは内部では流石にバレて、関係者がそれなりに処罰されているようですが(幹部が10名以上更迭されたようですが)、対外的にコメンなさいをやっていません。松木衛生学校長なんて本来懲戒解雇されても当然でしょう。

かつてルワンダ派遣部隊も医療班が銃撃されて30分も防いたら、本部要員あとからてめえだけ、ヘルメと被って防弾チョッキ着てやってきて、「皆さん、初めからヘルメット被って、防弾チョッキきていたことにしてください」といって、口裏を合わせることを強要したわけです。ですから幕僚監部も大臣たちもメディアも、そのような問題があったことすら知らなかったわけです。加えていえば高機動車も2台盗まれましたが、こちらもダマテンでした。
つまり、組織防衛のための嘘を平気でつく組織ということです。
組織防衛のために膿がだせない。
そいう体質なんですよね。自衛隊って。
こういう組織が作った改革案が機能すると考えるのであれば、それは随分とお花畑な話です。

暴力装置発言問題では、自民党の先生方は、私心のない、防衛に命を捧げている自衛官を疑うのは文民統制を揺るがすのだ、なんて仰っておりましたが、こういうインチキや嘘で大臣を騙すことが、文民統制が効いているというのでしょうかね?
こういう連中に騙されることが自民党では文民統制というのでしょうか。

こんな組織が、いくら戦車やミサイルなどの玩具を買って弄んでも国防も戦争もできるものですか。
こういう現実をメディアも国会議員ももっと直視すべきです。
改革をしたいならば、まずは嘘つきを組織から粛清すべきです。

※本記事は「清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所」の9月22日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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清谷 信一

清谷 信一

軍事ジャーナリスト、作家。 1962年生まれ、東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関Kanwa Information Center上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。 著書:『国防の死角』(PHP)、『専守防衛』(祥伝社新書)『防衛破綻──「ガラパゴス化」する自衛隊装備』(中公新書ラクレ)、『自衛隊、そして日本の非常識』(河出書房新社)、『弱者のための喧嘩術』(幻冬舎アウトロー文庫)、『こんな自衛隊に誰がした!--戦えない「軍隊」を徹底解剖』(廣済堂)、『不思議の国の自衛隊--─誰がための自衛隊なのか!?』KKベストセラーズ)、『ル・オタク--フランスおたく物語』(講談社文庫)、『軍事を知らずして平和を語るな 』(石破 茂氏との共著 KKベストセラーズ)、『アメリカの落日──「戦争と正義』の正体』(日下公人氏との共著 廣済堂)などがある。 朝日新聞のWEBRONZA+、日経BPの日経ビジネスオンラインなどネットメディアにも寄稿。

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