民進党は今年、参院選の対策として、共産・社民・生活の党と野党共闘路線をとり、東京都知事選はその流れで鳥越俊太郎氏を擁立しました。

しかしそこに至るまでに、「野党統一候補としてなら出馬する」と発言したタレント・石田純一氏の動向や、出馬表明(のちの取り下げ)した宇都宮健児氏に政党の支援が付くかなど、野党同士での調整が難航した様子が垣間見えます。
民進党にあっては、都連代表の松原仁氏が元経産省官僚で、「I AM NOT ABE」とプラカードを掲げて、報道番組から降板した古賀茂明氏に出馬を打診しましたが、すぐに取り下げられたことが「週刊プレイボーイ」にて本人の口から語られています。

2015年4月27日撮影
そして、古賀氏をして「超有名人」と言わしめ、リベラル派からの支持を得られると目された鳥越氏への支援が決まりました。
その背景には枝野幸男幹事長など党執行部が、民主党政権時代、原発再稼働をめぐり対立した経緯から古賀氏の擁立に難色を示したという説もあります(月刊創2016年9月号52p)
果たして結果は鳥越氏の惨敗に終わり、選挙期間中から討論会への出席に消極的で、後に「ネットは裏社会」と発言するなど鳥越氏のふがいなさが指摘されました。
岡田克也代表は、都知事選で鳥越氏不利が伝えられた投開票日前日に代表辞任を決め、野党共闘の賛否をめぐる党内対立が決定的となりました。
鳥越氏に対しては、党関係者からも様々な批判の声があるようで、板橋区議の中妻じょうた氏は自身のHPにて、鳥越俊太郎氏公式サイトから都知事選関連コンテンツがなくなり、ツイッターでも多くのフォローがあったにも関わらず「ネットは裏社会」と発言したことに対し、手厳しく非難しています。
さらに、出馬を取りやめた宇都宮健児氏も、女性問題などを解決しなかったとして鳥越氏を非難し、9月9日にはテレビ番組で直接討論しました。

一方鳥越氏も、蓮舫氏の発言をFacebook上で批難したことは、民進党に対して何らかの違和感を覚えたフシがあったのかもしれません。
古賀氏は自身が都知事選に出馬しても「勝てなかっただろう」と、哲学・戦略なしに知名度優先で候補を立てた民進党を否定的に見ています。
ともあれ、ゴタゴタの中決まった鳥越氏の出馬は、民進党内に大きなしこりを生み、野党共闘路線にも暗雲が立ち込めました。
なお、毎日新聞社による9月4日発表の世論調査では、民進党支持者の野党共闘への評価は「続けた方がよい」と「続けない方がよい」が拮抗しています。
野党共闘について、参院選は一定の効果があったといわれる一方、都知事選では失敗に終わりました。
しかし、野党共闘で民進党はSEALDs等多くのリベラル派の団体や市民から協力を得たため、共闘とはいかなくても新代表はそういった声に向き合うこととなるでしょう。
蓮舫氏は見直す含みを見せつつも、党員やサポーターの意思を尊重し、岡田克也代表の路線を引き継ぐ意向を示しています。
一方前原・玉木両氏は批判的です。また共産党との連携には3氏とも及び腰な面があるようです。
ややリベラル派に近い玉木氏は、推薦人に元維新で野党共闘推進派の初鹿明博氏もいるせいか、選挙区事情によって対応する姿勢を見せています。
最も野党共闘に距離を置く前原氏においても、衆議院北海道5区補欠選挙うで野党共闘を後押しする発言をしたこともあり、選挙において共産党と選挙区の「すみわけ」は否定していません。
なお、3氏とも保守派として、改憲論議には応じる構えということで、仮に蓮舫氏が代表になって共闘路線を維持しても、憲法問題で護憲派である共産・社民両党や党内護憲派との摩擦は起こりうるでしょう。
保革の壁を乗り越えて結党された歴史がある民進党は、新代表により、野党共闘をめぐる党内外の対立を乗り越え、強固な結束が得られるかが、今後のみどころになりそうです。

代表選に伴う街頭演説では、野党共闘への言及は見られませんでしたが・・・
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