政治家の言い回しって、なんだかとっても難しくて分かりにくいという印象、ありませんか?例えば災害が起こった時によく使われる「未曽有の事態」って、どんな事態なのでしょう?
政治家が好んで使う「極めて遺憾」という表現は、つまりどんな気持ちのことをいうのでしょうか?
他にも「是々非々」「不退転の決意」「可及的速やかに」などなど…。 政治家が使う難解な言い回しはよくよく考えれば数知れず。だからでしょうか、政治家の言葉は外国語のよう。長いこと聞いていると確実に眠くなってしまいます。逆に難解な政治家の言葉の正しい意味を理解すれば、今まで気づかなかった「隠された」裏の意味が理解できるようになるかもしれません。そこで今回は政治家が使う難しい言葉―ここでは永田町語と名付けましょう―の、正しい意味を紹介します。
まず手始めに「未曽有(みぞう)」をご紹介。これは「今までに一度もなかったこと」や「非常に珍しいこと」をあらわす形容詞で、大地震などの大きな自然災害が起こった時に使います。麻生財務大臣が総理だったときに「ミゾウユウ」と誤読したことが話題を呼んだことでこのフレーズは一躍有名になったともいわれています。
とても有名な言葉なので難易度は1です。この言葉がわかればあなたは「永田町語検定5級」を進呈します。
次に「遺憾」をご紹介。これは政治家が「残念であること」を表明するときに使用します。
例えば政治家や官僚が悪いことをしてしまったときや、外交問題でどこかの国が日本にとって不利になるようなことや迷惑となること・はたまたルール違反をしたりしたときに「そんなことをするなんて、僕はとっても残念だよ」という意思を伝え、やんわりと非難します。何か悪いことが起きたときに直接的に非難するのではなく、残念がることでそのニュアンスを伝えるあたりがとっても日本人らしいとも感じますね。
こちらもそこそこ難易度は低めですが、遺憾を使いこなせるようになってこれば永田町語も日常会話レベルは大丈夫、あなたには4級を進呈します。
次に「是々非々」をご紹介。
一件ごとに公平に物事を判断するという姿勢を表す言葉は、政党同士が手を組むときなどによく使われます。党として同じ方向は向いていくが、政策においては一回一回賛成するか反対するかを決めるという取り決めを制定します。
これがわかった貴方はかなり永田町語を使えている証拠。もう明日にでも新党を結成できそうです。そんなあなたには3級を進呈します。
他にもこちら「不退転」という言葉は強い決意を示すときに使うことができ、政党のリーダーを選ぶ総裁選や代表選や、新しい政策を推進していくときなどに使われます。
この言葉を理解し、使いこなした場合あなたも総裁選への道は開かれました。スピーチでは「不退転の決意」を表明してください。総理大臣まであと一歩、そんなあなたには永田町語検定2級を進呈します。
そして最後の「可及的速やか」は、平たく言うと「なる早で」という意味。問題が発生したときなどに、なる早で対応しますという旨を伝える時に使います。
この言葉がマスターできればもう言うことはありません。政治家にもなって課題の対応を「なる早で」としか答えないその厚顔無恥さ、あなたは永田町語マスターといっても過言ではありません。そんなあなたには1級を進呈します。おめでとうございます。
ではなぜ政治家たちはこんな言葉を使うのでしょうか。それはひとつには難しい言葉を使うことでなんとなく曖昧にすることができるからです。国会の答弁をはじめ、政治家の発言は基本的にその後も永遠に記録に残ってしまうものです。そのため、政治家はどうしても様々な意味にとれる含みを持たせた発言をすることで後々の責任から逃れようとするのです。
特に、国会では議員からの質問に対して「答弁」を行う様子がテレビでも中継されていることが多いですが、あの「答弁」も霞が関の官僚が作った実にいろんな意味にとることができる曖昧な文章であることがままあります。そんな答弁を揶揄して「霞が関文学」という名前が付くほど。言葉尻ひとつで挙げ足を取られてしまう世界では、みんなズバッと物事を話せなくなっているのかもしれません。
しかし、思いませんか?本当に頭のいい人は分かりやすい言葉で話すことができると。専門用語の使用は議論の時間短縮のためには必須事項ですが、今回紹介した表現は日常的に使用している言葉に置き換えても何ら意味が通じるものです。
どういう意図かは測りかねますが、あまり強い言葉を使うと…弱く見えるのかもしれません。
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