2016年、年が明けてから、7月10日の参院選に衆議院選挙が同時で行われるという「衆参同日選挙」の噂が、本当になりつつあるように感じます。
しかし、過去の記事でも触れたように、
(参考:平均たったの2年半!派遣社員より不安定な衆議院議員の任期を分析してみた)
衆参同日選挙というのは、戦後でたった2回しか起きていないとても珍しい選挙なんです。
衆参同日選挙にすると「与党が圧勝する」というジンクスがあるそうです。
それはそうですよね、衆議院の解散を決められるのは与党自民党の党首ですから、人気があるときに解散をすれば参議院+衆議院で2倍、勝てるはずです。
逆に内閣への支持が低いときは、参議院選挙と衆議院選挙をできるだけ時期をずらし、内閣への批判が止んだところで選挙を実施しようとするでしょう。
高い支持率を背景に、憲法改正に向け、ここでアクセルを急に踏み込むのか・・・?
今回は、過去2回の衆参同日選挙の結果を振り返り、本当に「衆参ダブル」だと与党が圧勝するのかを見てみたいと思います。
【ハプニング解散】
過去2回の「衆参ダブル」は、1980年と1986年に起こっています。
1980年は、通称「ハプニング解散」と呼ばれており、首相を決める際に自民党内で揉めたことが原因で、解散・総選挙へと流れて行きました。前回の選挙からは、わずか7ヶ月しか間が空いていなく、これは狙ったものではなく、「ハプニング」による解散。さらに、選挙期間中には現職の総理大臣だった大平正芳氏が急死! 弔い選挙の色合いを見せ、結果自民党は圧勝となりました。
【死んだふり解散】
1986年の「衆参ダブル」は、中曽根内閣のとき。その前の選挙で自民党は議席を伸ばせなかったにも関わらず、世論調査では内閣支持率が高くなっていたことを受け、中曽根首相が「ここで選挙をすれば確実に議席を増やせる!」と、野党を騙し打って、急に解散、選挙を行いました。内閣支持率が高かったことに加え、野党が選挙準備をできなかったため、自民党の圧勝でした。
それでは、「ハプニング解散」と「死んだふり解散」で、自民党がどの程度議席を獲得したのか、円グラフにまとめてみました。
(衆議院の議席+参議院改選議席数)
※当時の衆議院の議席数は、1980年が511、1986年が512で、参議院は250でした
【1980年 ハプニング解散】
自民党が6割近くを獲得しています。
1974年以降、参議院では自民党と野党が、ほぼ互角の状態でしたが、自民党が過半数+10議席を抑える圧勝となりました。
【1986年 死んだふり解散】
同じく、自民党が単独で55%以上の議席を獲得しています。
衆議院では304議席も獲得!これは、2009年に政権交代で民主党が得た308議席に次ぐ、歴代議席獲得数で、2009年まではずっと戦後No1でした。
1980年と1986年をグラフにすることで、圧勝な様子が分かりました。
どちらも、衆参ダブル選挙をする前は、議席獲得数が5割前後、時には5割を下回るような状況でしたので、6割近く獲得していることは、圧勝と言っていいでしょう。
しかし、実は「6割」で圧勝というのは、近年では変わってきています。というのも、
◆現在の衆議院→自民党が61%(475議席中291議席で61%)
◆2012年→自民党が61%(民主党から自民党への政権交代)
◆2009年→民主党が64%(自民党から民主党への政権交代)
◆2005年→自民党が61%(郵政解散)
と、2000年台後半に入ってから、「6割超え」というのは珍しくなくなってきているからです。
1980年台、90年台は政権交代も起こらず、野党も安定しており、自民党が5割前後という状況でしたが、近年は選挙制度が変更されたこともあり「0か100か」といった偏りが起こりうる環境になっています。
こういったことも考えると、「衆参ダブル」で自民党が圧勝し、7割、8割の議席を獲得する可能性も、無くはないでしょうね。
「衆参ダブル」になるかは、ギリギリの6月頃になるまで判明しないでしょう。いずれにせよ、野党が厳しい環境にあることは、間違いありません。
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