先日、おおさか維新の会に入党することが報道された渡辺喜美氏。一時期は、「みんなの党」を作り、代表として一時は自民党・民主党・公明党に次ぐ、第4政党として、国会の中心で活躍していた人物です。化粧品会社DHC会長からの8億円借り入れ問題が響き、前回の衆議院選挙では落選。そして今年の参院選で、再度出馬を目指しています。
実は渡辺氏、前回の選挙では落選してしまったものの、政治関係者の中では「選挙最強」として有名です。
渡辺喜美氏は、自民党衆議院議員で副総理まで歴任した渡辺美智雄の長男です。父から受け継いだ強固な地盤を基に選挙では圧勝を続けています。初めて出馬した1996年の選挙では、新人議員ながら、2位に5倍以上の差を付け、当選。
その後も、2000年・2003年・2005年と、圧勝を続けていきました。あまりの強さに、他の候補は比例復活すら許しませんでした。
渡辺氏が「みんなの党」を作ったのは2009年。 定額給付金制度などを批判して麻生内閣の不信任案に賛成、自民党を離党しました。これに対し、自民党は隣りの栃木2区から法務大臣を務めた森山眞弓氏を、「刺客」として出馬させる案を考えますが、うまくきません。さらに社民党の山口睦子氏も、海外滞在中で帰国が遅れるため、立候補を取りやめる事態となりました。
候補者が渡辺氏1名のみだと「不戦勝」になってしまうところですが、幸福実現党が候補者を立てたため、無投票は避けられました。宗教法人幸福の科学を母体とする幸福実現党は、教祖である大川隆法氏やドクター中松氏を特別代表に迎え入れるなど、話題になりました。幸福実現党は栃木県内全ての選挙区で候補者を擁立し、栃木3区は渡辺喜美氏(みんな・現)と斎藤克巳氏(幸福・新)の一騎打ちとなりました。
この時の選挙結果が、業界では「伝説」となっています。投票が締め切られ、開票が開始された午後8時には、すぐさま渡辺氏の当選確実が報じられましたが、その結果も記録的なものでした。
渡辺氏が得た票は、全体の95.3%、対抗馬の20倍も獲得しています。この数字は、過去の選挙結果の中で、最も高いものとなっています。一対一の選挙の場合、候補者を応援する票だけではなく、「あの候補者は嫌いだから、対抗馬に入れよう」と、批判票が集まることを考えると、より一層、渡辺氏が強いことが分かります。
5年後の2014年の選挙では自身のスキャンダルが原因で敗北し、現在に至ります。
「みんなの党」解党後、「第三極」のポジションはおおさか維新の会に塗り替えられ、ニュースで渡辺氏を目にすることも無くなっていますが、それでも、過去の選挙歴を見る限り、今でも地元に多くの支援者がいることでしょう。
60代半ばから再スタートを切った渡辺氏。今後の選挙も注目です。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード