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【衆参ダブル】野党は「一強多弱の状況を打破するチャンス到来」と歓迎すべき|(永田町の住人が死ぬ前に絶対に伝えたい政治の話.8)

2016/5/19

藤川 晋之助

藤川 晋之助

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前考察、

再び浮上した「衆参ダブル選挙」の可能性|(永田町の住人が死ぬ前に絶対に伝えたい政治の話.7)
に驚く程の反響があった。
自民、民進の党関係者や、マスコミ、選挙に関係する業者などから問い合わせをたくさんいただいたからだ。「ダブル選挙はありますかね」「うちはダブル選挙を想定した取材の体制に入りました」「ダブル選挙にされると困るのですよ」熊本連鎖地震によって一度はなくなったと思っていただけに、困惑気味の人たちが多いことは言うまでもない。

 

やらない理由が見つからない

その度に私は「総理の胸のうちは誰もわからないですから、絶対にあると言い切ることは出来ないにしても、どう考えてもむしろやらない理由が見つからないんです」と申し上げている。
そこで一般的に感じたことは、自民党は幹部が否定的発言をしているのに、粛々とダブルに備えて準備を進めている議員や秘書が目立ち、民進党は幹部はあると警戒心を高めているのに、半信半疑の中で、様子を見ている議員や秘書が多いということだった。
これは恐らく自民党系の人たちは、後援会や団体の支援体制が比較的整っている、もしくはその確立の努力をして来ているという人が少なくないことと、秘書の数も平均して多いし、資金力の差も歴然としているからかもしれないとふと感じた。もちろん民進党の議員にも選挙区での地盤を確立している人は確実にいるし、どこまでも現時点での相対的な評価に過ぎないことではある。

 

安保法案、原発再稼働、もちろん憲法改正。野党から進んで選挙をすべき

その民進党の議員の一人が「ダブル選挙にいかなる大義があるのか?」と尋ねて来た。私はすかさず「大義のある選挙なんてそもそもあるのだろうか」「勝てると判断するからやるのが選挙なのでは」「そもそも、昔の野党ならば、安保法案も、秘密保護法も、原発再稼働も、もちろん憲法改正も、まだ必ずしも民意を聞いて来たとはいえないのだから、解散して国民に信を問えと主張したのではないか」と問い返した。
まして、熊本の関係者は別にしても、解散しないで欲しいなどと堂々と野党が主張したとしたら、政権奪取に本気ではないということであり、常在選挙でなければならないはずの民主主義政治家として恥ずべきことなのだ。「むしろ一強多弱の政治状況を打破する為にはチャンス到来と思うべきじゃないですか」と申し上げた。

 

民進党は100議席、大敗の予想

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そうは言っても現実は厳しい。このゴールデンウィークに自民党も民進党も世論調査を実施して、自民党は290を越えて、民進党は100~110の結果になると、どちらもそんなに変わらない結果が報告されたと聞いている。自民党の関係者は自信を深め、民進党の関係者は民主、維新の合流効果が全くないとぼやいていた。
共産党との協力は結局、保守票を民進から逃がしてしまっている訳で、支持率が下がるばかりだとも。まして民進党はようやく200以上の候補者を立てられたものの、空白区がまだまだ埋まらない。戦える状態であるとは言えないのだ。「これでは私が総理なら絶対にダブル選挙をやる」とさえ言っていた。

 

国会を軽視すべきではない

安倍総理がその報告を受けて気を良くしているのは言うまでもない。先の考察でダブル選挙の五つの理由を整理したが、その本質にある選挙情勢とは、よほど無党派層が一気に選挙に行かない限り、与党の圧勝は固いということなのである。だから、勝てる時に解散総選挙を断行する。このチャンスを見逃す手はないと言えるのだ。昨日の党首会談もせめて2時間でも3時間でも白熱した議論をするべきなのに、いつもの議論が繰り返されただけだった。
マスコミからは一度会期を閉じて、急に召集して解散する、死んだふり解散を囁く声が聞こえてくるが、あと10日あまりで安倍総理が、伝家の宝刀を抜くのかどうか、永田町の緊張感はマックスになりつつある。

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藤川 晋之助

藤川 晋之助

政治アナリスト。23歳の時、選挙の手伝いをきっかけに国会議員秘書となる。代議士秘書、大臣秘書、地方議員、放浪と隠遁生活を経て東南アジアでいくつかの事業に挑戦。帰国後、東京で藤川事務所を設立し、国会議員や首長の政策立案、選挙をサポートする。政官マスコミに幅広い人脈を持ち、田中派・小沢派での豊富な選挙経験を武器に高い勝率を誇る「選挙のプロ」としても名高い。趣味は文学と政治。

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