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再び浮上した「衆参ダブル選挙」の可能性|(永田町の住人が死ぬ前に絶対に伝えたい政治の話.7)



藤川 晋之助
藤川 晋之助

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ここに来て、熊本連鎖地震によって確実になくなったと多くの政治関係者が語っていた衆参ダブル選挙の可能性が、にわかに浮上し永田町をこだましているようで、自民党の清和会系の代議士の秘書が、「どうも総理はやる気よ!」と6月1日の解散に向けて、事務所と街宣カーの確保を指示されたと電話して来た。

そこで自民党の幹部に確認すると、「今の熊本の現状を見ればさすがに出来ないだろう」と現下に否定したが、「それはあくまで常識的に考えての話だが」と付け加えることを忘れなかった。まるで安倍総理には常識が通用しないと言っているように聞こえて可笑しかった。


別の代議士は、「いずれにしても参議院選挙は7月10日の投票日で確定し、熊本でも行われるのだから、同時にしたとしても手間は手間、だとしたら今後の政局を睨んで乾坤一擲、勝負に出たとしてもおかしくない」と語ってくれた。その時に、早くやっておきたい5つの理由として以下のことを教えてくれた。

 

アベノミクス失速、パナマ文書、野党不調… ダブル選挙の5つの理由


1つめは、アベノミクスが思わしくないこと。誰もが感じているように中国経済の失速を始め、世界情勢の不安定要因は大きく、円高株安の進行は深刻で、金融・財政政策の限界が露になって来ている。何よりもこの状況で消費税を上げることはますます景気を後退させることに繋がるので、その約束を熊本地震を理由に凍結するしかない。その為には国民に信を問わざるをえないと言うのが大きな柱だ。

2つめは、甘利議員の特捜による捜査が進んでいるが、参議院選挙後は何があってもおかしくないということで、睡眠障害を理由にいつまでも国会に出て来ない状況を続ける訳には行かない。安倍総理はそのことを気にしている。

3つめは、ふって沸いて出て来たパナマ文書の存在。急ピッチで真相解明が進められているが、閣僚クラスの政治家の名前が浮上して来て、公人たるべき政治家が、合法的に脱税をしていたということは笑えない話だからだ。

4つめは、当然、野党は選挙体制を急いで整えようとしているが、現時点では選挙区別に見て行って自民党が圧倒的に有利なのは言うまでもない。懸念材料は野党共闘だが、ダブルになると各党ともそんなことは言ってられなくなるのは必至だ。少なくとも参議院で3分の2の議席を確保するチャンスは同日選挙でしかないのだから。

5つめは、5月末の伊勢志摩サミットと、その際のオバマ大統領の広島訪問が、安倍総理にとって大きな見せ場であり、直近でも内閣支持率が上昇している位だから、強気になってもおかしくない。演出効果は抜群である。今、解散しなければその最大のチャンスを逸してしまう。

 

熊本地震を理由に消費税増税延期へ


一つ一つは、決して目新しい説明ではないが、頷けることも多く、むしろ「熊本の為にも、断腸の思いで消費税をもう一度順延し、経済の再生を図らなくてはならないんだ」と締めくくった。安倍総理は解散のかの字も考えていないと追い続けているが、半信半疑ながら息を飲んで
6月1日へのあと半月余りの動向を見つめているのが正直なところだ。


そんなことを書いていたら民進党の閣僚経験者の議員から「衆参ダブル選挙はあると思われますか」との問い合わせの電話が入った。「あると見て対応しておいた方がいいに決まってますが、じたばたしてもあと2週間ですから、金もかからないし常在選挙で臨んで来たからいいじゃないですか」と答えておいた。

民進党の親しい秘書は「もうないとホットしてたらここ数日急にダブルの風が吹き始めて来て困惑している」とも率直な永田町の空気を伝えてくれたが、熊本のことを考えれば常識的にはあり得ない。ダブルを断行したとして国民の反発は避けえないと想像するが、憲法改正を至上命題として、復活はあり得ないと言われたところから、2度目の総理の座に着いた人なのだから、常識的な判断は通用しないことは確かなことだと言える訳で、他ならぬ総理ご自身が一番悩んでいるのではないだろうか。

とにかく、私の知る限りの与野党議員の多くが、ここに来てダブル選挙はあると思っていることは事実で、政治関係者と話してみても「絶対にある」と断言する人が少なくないのに驚くほどだ。しかし、政治家はいつ選挙があっても速やかに対応できる覚悟と日々の活動が大切なのであって、選挙しつつ組織し、組織しつつ選挙する。

 

無関心層に逆説的に支持される安倍政権


選挙は民主主義の基本であり、選挙民の心を掴んでこそ、真に国家国民の為に役立つ政治家に育ちうるのである。それにしても会期末への時間の流れの中で、永田町はにわかに緊張感が増して来ている。熊本連鎖地震から1ヶ月、政治の空気は瞬時に変化する。舛添都知事が窮地に陥りつつある姿を見ても 、政治の不沈、興亡のドラマはますます陳腐化しながら、この国の首を締めて行っているように思えてならない。

大丈夫か日本!こうした不安の思いと無関心によって、逆に安倍政権を支えているパラドックスが成り立っている状態が、まだまだ暫く続きそうであることだけはわかっているのだ。その意味で、参議院選挙の結果もやる前からだいたい見えてしまっているだけに、選挙をなりわいとしている私のようなひねくれたものは、小さな選挙の奇跡を起こしたくなってウズウズするものなのである。


ダブル選挙を巡る永田町の雰囲気が若干でも伝わればと記してみました。
藤川 晋之助

藤川 晋之助

政治アナリスト。23歳の時、選挙の手伝いをきっかけに国会議員秘書となる。代議士秘書、大臣秘書、地方議員、放浪と隠遁生活を経て東南アジアでいくつかの事業に挑戦。帰国後、東京で藤川事務所を設立し、国会議員や首長の政策立案、選挙をサポートする。政官マスコミに幅広い人脈を持ち、田中派・小沢派での豊富な選挙経験を武器に高い勝率を誇る「選挙のプロ」としても名高い。趣味は文学と政治。

Twitter : https://twitter.com/semsem645

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