
「おおさか維新の会」が試練に直面しています。初の国政選挙となった衆院京都3区補選で惨敗。夏の参院選でも苦戦を予想する声が出ています。事態の打開に向けてみんなの党代表だった渡辺喜美氏や河村たかし名古屋市長らと「第三極」の結集を目指しており、今後の展開に注目が集まりそうです。
4月に行われた京都3区補選は自民党が候補者の擁立を見送ったため、実質的に維新と民進党の一騎打ちとなりました。接戦を予想する声もありましたが、ふたを開ければおおさか維新の候補の票は2万余り。当選した民進党候補の3分の1以下にとどまりました。
民進党の候補者は直近2回の衆院選で自民党の宮崎謙介元衆院議員に敗れましたが、これまでに当選を5回重ねてきた現職議員。対するおおさか維新の候補は前回の衆院選では愛媛県から立候補するなど京都にゆかりはなく、知名度の差は大きかったといえます。
ただ、維新関係者の間では「政党名が悪かった」との見方もあります。京都は大阪に隣接するものの世界に名だたる観光都市であり、自尊心の強い土地柄。京都の有権者の多くは大阪という地名を冠した政党には投票したくなかったのではないか、というわけです。
同様の理由で夏の参院選でも大阪以外の地域では苦戦するのではないかとみられています。参院選が2か月後に迫った現時点で、選挙区の候補者を発表しているのは大阪、兵庫、広島、奈良、神奈川、茨城の6区のみ。このうち関西圏以外では苦戦が予想され、6人区の東京や4人区の愛知では候補者すら擁立できていません。
京都3区補選での惨敗を受けて、党内では「『おおさか維新』では戦えない」との声があがっています。党名から地域色を除き、かつての「日本維新の会」の名前を復活させる案が浮上しています。
同時に検討しているのが第三極の結集です。おおさか維新の松井一郎代表(大阪府知事)は今月9日、かつて「みんなの党」を率いた渡辺氏と会談。2014年の衆院選で落選し、浪人中である渡辺氏を全国比例の候補者として擁立することを決めました。
4月には名古屋市の河村たかし市長とも会談。おおさか維新と河村氏率いる地域政党「減税日本」の合流を呼びかけました。河村氏はかつて住民税の減税や議員報酬の削減を巡って議会と対立した際、議会の解散請求(リコール)運動を展開して議会の解散を実現。大阪維新の会にならって地域政党減税日本を立ち上げ、議会改革を進めた経緯があります。しかし、減税日本の所属議員に不祥事が相次ぎ、脱落者も続出して支持が低下。昨年の市議選では当選者が12人にとどまり、22人当選の自民、16人当選の民主に主導権を奪い返される事態となっています。
減税日本はこれまで国政選挙にも3度挑戦していますが、未だ1議席も獲得できていません。夏の参院選でも愛知選挙区に候補を擁立する方針ですが、現状では議席獲得は難しい状況。河村氏も維新と手を組みたいと考えていますが、ここでも「おおさか」という党名が障害となっています。
かつて地域政党である大阪維新の会が国政政党の日本維新の会を設立し、同じく地域政党である減税日本も国政選挙を目指すのは、地域で決めることには限界があるからです。
例えば維新の会の看板政策である「大阪都構想」。大阪府と大阪市を統合し、大阪都の中心部に、東京都のように特別区を設置するという政策ですが、発案当初は法律の規定で大阪に特別区を設置することはできませんでした。
しかし、当時、国政政党の立ち上げを表明していた橋下徹大阪市長らの強い呼びかけに国政政党が反応し、大都市地域特別区設置法を議員立法で成立させ、構想の実現に道が開かれました。同様に、河村氏が訴える減税政策も自治体の裁量権の中では限界があるため、国政に足がかりを作りたいのです。
「大阪と名古屋の合流」が実現するかどうか。自民でもない、民進でもない、第三極が再び脚光を浴びることができるかどうか。今後の政局の行方にも影響を与えそうです。
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