政治の世界ではまだまだ希少な、若い世代へのインタビュー第二弾である。今回のお相手は、NPO法人、「僕らの一歩が日本を変える。(通称ぼくいち)」の代表理事で、内閣府地方創生推進室の委員でもある大学四年生の後藤寛勝氏だ。
【マツダ参謀長】
「ボクイチも、原田くんのYouthCreateと同じように(政治と若者をつなぐことはできるのか!?(小池みきの下から選挙入門 .23))、政治と若者をつなぐ活動を行っているNPO法人です。学生だけで運営しているんだけど、高校生100人と国会議員がディスカッションするイベントを開催したり、公立中高での票育授業を行ったり、かなり精力的なんだよね。そこの二代目代表理事が後藤くん」
【小池】
「中央大学の三年生、21歳。物心ついた時には既にポケモンがあった世代かぁ……。それにしても、このボクイチのサイト素敵ですね。デザインもカラフルでかわいいし、情報量もたっぷり。政治系のサイトってどうしても堅苦しくなりがちですけど、こういう雰囲気だと一気にとっつきやすい印象になりますねえ。
2014年11月、「アベノミクス解散」と称された衆議院解散の直後のこと。小学4年生の”中村”を自称する人物が、「どうして解散するんですか?」というサイトを展開し話題になった。しかし、サイトに使われた技術が極めて高度だったことなどから「小学生が作ったとは思えない」とネット上で事実の追求が始まり、小学4年生を自称していたのは、ボクイチの創設者で当時の代表理事だった大学生であることが発覚したのである。
サイトは、その大学生の独断でボクイチメンバーには相談なく作られたものだった。しかしサイトのドメイン取得者名義が、NPO団体の代表名義で取得されていたため、外部からは当然関与を疑われ、事態は完全に「炎上」騒ぎとなってしまった。彼は代表理事を退任し、その後を後藤氏が引き継ぐ形となった。
【小池】
「私は当時全然政治に興味がなかったんですけど、あの騒動のことはツイッターなんかで見てました。今思い返すと、あのくらい燃え上がらないと、当時の私くらい無関心な人間には、政治的意見の発信が届かないのだろうか、とも思ってしまいます。なんか、単純に『なりすましサイトを作るなんて馬鹿な奴!』とは言えない気持ち」
そう、この連載を続ける中で、自分が政治情報の発信側に回った時、かつての自分のような存在がいかに遠いところにいるか、骨身にしみてわかるようになってきたのだ。
地道なインタビュー記事より、”煽り”サイトの方が、ネット上では何倍も拡散されやすい。私には、瞬間的に拡散されることよりも大事だと思うことがあるし、商売的にも、「騙り」のリスクは大きすぎて背負えない。だから「拡散」を目的に何かを発信することはない。でも、もし、「一人でも多くの人間に拡散させること」が、優先順位の最上位だったらどうするだろう。どんな犠牲を払ってもそれを成し遂げる価値がある、と思ってしまったら……。
政治にかぎらず、あらゆる啓発活動を行っている人たちは、”無関心”層との間にある溝と戦い続けている。ボクイチのようなサイトの近くであのような事件が起きたことは、決して許容してはいけないが、まったく不思議なことでもないのだ。
それを乗り越えて、今ボクイチのメンバーはどんな想いを共有しているのだろうか。
【マツダ参謀長】
「そこは大事なポイントなので、ぜひ後藤くんに聞いてみてください。すごくイイ奴ですよ。ちなみに今日は、可愛い女子大生も連れてきてくれるそうです」
【小池】
「ははあ、参謀長のご要望ですか。それはそれは……」
と、某事務所でボクイチについて調べていたところに、やがて後藤寛勝氏が登場。ピカピカの笑顔(94年製)が眩しい。陽のエネルギーに満ちている。
【後藤寛勝氏】
「はじめまして、後藤寛勝です! 今日はよろしくお願い致します。あ、こっちはボクイチに最近合流したメンバーで、関野っていいます」
【関野遥香氏】
「はじめまして。慶応義塾大学1年の関野遥香です。今日はよろしくお願いします」
【小池】
「うわ〜、この連載で大学生の取材ができるなんて思ってませんでした。二人とも今日はよろしくお願いします。えっと、早速お聞きしたいんですけど、後藤くんがボクイチに参加した経緯を教えてください。政治にはもともと興味があったんですか?」
【後藤氏】
「はい。僕はもともと、高校生の頃から政治家を目指していたんです。高校の時はボート部で、インターハイにも出ていたのでいくつかの大学に推薦入学のチャンスがあったのですが、政治家になるにはもっと勉強をしなきゃ駄目だと思って、受験して中央大学に入りました」
【小池】
「すごいなあ……推薦がもらえていたら、そっちでいいやって思っちゃいそうなのに」
【後藤氏】
「でも僕、それまで全然勉強してなかったから、行きたかった大学や学部には全部落ちちゃったんですよ(笑)。だから、ある意味受験には失敗してるんです。それで焦って、上京と同時に、政治学科の教授の元にかたっぱしから押しかけました。ノートで質問リストを作って、教授の部屋を端から順番にノックして、政治家になるために必要な勉強を教えてください、って聞いて回って」
【小池】
「……(←自分と格が違うことを感じて黙っている)」
【後藤氏】
「そこで一人の先生から紹介されたのが、実は青木大和だったんです」
青木大和氏。若き政治活動家で、ボクイチの創設者。つまり前述した、小学校4年生を騙ったサイトを制作した人物である。
【後藤氏】
「君みたいな若者がいるから紹介するよ、って言われて。当時は僕、自分こそが一番政治家に近い若者だと思ってたんですけど、青木と会った瞬間に『コイツもガチだ!』って思って意気投合しました。それでボクイチにも合流したんです」
【小池】
「うーん、ドラマチックな出会いですね」
【後藤氏】
「最初の面会の約束はドタキャンされたんですよ。それでリスケして、次に会った時に『ごめん、ちょっと国会議員に呼ばれちゃって』とか当たり前のように言ってくるからもう悔しくって!」
【マツダ参謀長】
「それは悔しい(笑)」
【小池】
「青木さんの話が出たので聞いちゃいますね。2014年の炎上騒動についても教えてほしいんです。後藤さんがその事態の中何を思ったか。それを乗り越えて、ボクイチがどんなふうに変わったか」
【後藤氏】
「はい。それは是非伝えたいです。」
次号へ続く。
<参考>
http://boku1.org/
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