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北海道5区情勢――接戦か自民優勢か、「食い違う」厚別、補選の鍵はここに?

2016/4/19

はる

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4月24日に投開票の行われる北海道5区の補選について、週明けに発表された各紙の情勢調査を考えてみましょう。

 

各紙の表現――接戦か自民優勢か

報じられた情勢は、接戦としたものが4つ、優劣を判断したものが1つでした。「接戦・互角・横一線・競り合う」などの表現の場合は、一般に先に名前を書かれた候補がわずかに良いとされます。そこで名前順にも注目して整理してみました。

接戦で池田氏の名前を先としたもの
 共同通信「横一線で並んでいる」
 朝日新聞「激しく競り合っている」

接戦で和田氏の名前を先としたもの
 北海道新聞「激しく競り合っている」
 読売新聞「横一線で競り合っている」

優劣を判断したもの
 日経新聞「自民やや優勢」


支持層の固め具合――無党派層の評価が分かれる

次に各候補の支持層の固め方です。政党支持層はだいぶ固まっていて、無党派層の支持がどう動くかという状況に見えます。それは各紙で評価が分かれているようです。

共同通信
和田氏:自民・公明8割以上、無党派層2割未満
池田氏:民進支持層の8割、共産8割、無党派層5割強

朝日新聞
和田氏:自民・公明支持層をまとめるが、無党派層で遅れ
池田氏:民進・共産支持層の8割以上、無党派層6割

読売新聞
和田氏:自民支持層の9割近く、公明支持層の8割以上、無党派層の2割近く
池田氏:民進支持層をほぼ固め、共産支持層の8割、無党派層の5割近く

北海道新聞
和田氏:自民支持層の8割超、公明の7割超、無党派層の4割近く
池田氏:民進支持層の約9割、共産のほぼ全て、無党派層は約5割


政党支持率と支持動向 ――道新ベースでみると自民が先を行くか

それでは情勢の検討していきます。北海道新聞の政党支持率が出ているので、これを使って考えてみましょう。

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伏せられている情報を勝手に出すことはできないので、ここでは紙面で得られる情報をベースにしますが、政党支持率と各支持層を固めた割合を掛けて合計することで誰でもおおまかな情勢をつかむことができます。

道新によると、北海道5区の政党支持率は自民37.1、公明2.1、大地0.2、民進13.3、共産3.0、社民0.2、支持政党なし43.5%。

和田氏は「自民8割超+公明7割超+無党派4割近く」ですから、少なく見積もって
37.1×0.8+2.1×0.7+43.5×0.35=46.4

池田氏は「民進9割+共産ほぼ全て+無党派5割」ですから
13.3×0.9+3.0×1.0+43.5×0.5=36.7

もちろん、こうやって計算した数字はあくまで目安で、これがそのまま情勢の差を表しているわけではありません。しかし紙面で「激しく競り合う」との表現がされるなかで、報じられた数字をもとにして考えるとやや差が見られることがわかります。

なお、共同通信では「和田氏が無党派層2割未満、池田氏が5割強」。読売新聞では「和田氏が無党派層の2割近く、池田市が5割近く」というように、無党派層の評価は異なっています。こうしたところが情勢判断が分かれた要因かもしれません。


政策課題と争点 ――社会保障が最大。TPPは争点にならないか

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北海道新聞が報じた重視する政策や課題です。最近は全国の選挙に共通することですが、最大の争点は社会保障ですね。意外と両候補が拮抗しています。

和田氏が景気・雇用で支持を得ているのは自然ですね。しかし、教育・子育てでも上回っているのは意外でした。池田氏のほうは安保法や憲法問題での支持が30%近くあります。

しかしTPPは争点にならないですね。前回の道新の調査でもこれは3%でした。国会で扱われているのに世論調査にあらわれていません。

さて、このそれぞれの争点の規模に留意したうえで、今度は日経新聞の主要政策への賛否と投票先を見てみましょう。

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まず上から、アベノミクス。これは景気・雇用の争点ですね。評価する有権者は和田氏にかたまり、評価しない有権者はやや分かれています。未定が多いですね。

消費増税。これもけっこう未定が多い印象です。

あとはTPP、憲法、安保法という争点ですが、北海道新聞の政策課題を見る限りは、いずれも中心となる争点ではありませんね。

し かし憲法や安保法はこの調査の賛否を見ていても面白いです。憲法改正は反対が多数、その一方で安保法を「廃止すべきでない」が「廃止すべき」を上回ってい るということが目を引きます。安保法は争点としてあまり大きくない上、未定とする層が比較的少ないですね。つまりここを訴えてももうあまり伸びない可能性 があると思います。


北海道5区の地域特性 ――衝撃の「内閣支持率49%」

北海道新聞は4月8~10日に北海道全体での世論調査を行っています。内閣支持率40%、不支持率58%で、不支持が支持を18ポイントも上回っているという結果でした。

それに対して今回の北海道5区の情勢調査では、内閣支持率49%、不支持率48%と、誤差の範囲内ですが支持が不支持を上回っています。全道の調査とこれほど違うことは驚きです。

北海道5区、11区、12区はやや与党が強いので、その元からある偏りがあらわれているのかもしれません。しかし震災を経て情勢が変化した部分もあるのかもしれません。


北海道5区・それぞれの市町村は ――食い違う「厚別」 補選の鍵はここに?

北海道5区は与野党が拮抗する北部・野党の強い中部・保守地盤(与党の強い)南部に分けられることを以前書きました。その記事はここを見てください。
北海道5区補選(4/24)――与野党が拮抗する選挙区の南北による「地盤」の違い

厚別区は北海道5区の中部に当たり、野党が強い所でした。2014年衆院選の比例票で考えても、民主・共産の合計だけで自公を上回ることができます。

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しかし北海道新聞では「有権者の約4分の1を占める厚別区で和田氏が上回り、千歳市や恵庭市でもリード。池田氏は北広島市、石狩市で先行」となっていて、報じられた情勢が食い違っています。

なぜ厚別で和田氏が上回っているのでしょうか? ともかく、自民はそれだけの票を取っているということだし、野党はそれだけ取れていない票があるということです。ここが5区補選の情勢の鍵の一つになるのかもしれません。

最後の一週間、両候補の競り合いが続きます。

 

※本記事は「はるのしっぽ選挙分析ノート」の4月18日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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世論調査や過去の選挙結果をもとに、社会の動向について考えています。情勢を変えていく鍵になりそうなことなど、海外も含めた各方面の動きに注目しています。連絡はTwitterのDMかブログのメールフォームでお願いします。

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