3月18日は「点字ブロックの日」です。これは1967年3月18日に岡山県立岡山盲学校の近くの交差点周辺で点字ブロックが世界で初めて敷設されたことを記念しているそうです。
この「点字ブロックの日」にちなんで、今回は選挙におけるバリアフリーについて考えてみましょう。
今年2月18日の東京新聞によれば、聴覚障害がある有権者のために、候補者の演説などを簡略化して文字で伝える「要約筆記」に、政党や候補者が報酬を支払うことができるようにする公職選挙法の改正案が今国会で成立する見通しで、今年の夏の参議院選挙から適用されることとなりそうです。
これまでは手話通訳への報酬の支払いが認められていましたが、報酬の支払いが認められることで要約筆記の利用が広がり、聴覚障害者が選挙に参加しやすくなるのは喜ばしいことです。
では、聴覚障害や視覚障害を持つ有権者には、どのような配慮がされているのでしょうか。
まず、候補者についての情報ですが、点字や音声化による「選挙のお知らせ版」の作成や配布については、総務省から都道府県の選挙管理委員会へ要請されています。国政選挙や知事選挙ではほとんどの都道府県で対応しているようですが、市町村の選挙管理員会が執行する選挙での普及が課題となっています。
投票所でのバリアフリーは比較的対応が進んでいるようです。
障害者や高齢者などへの付添が必要な場合は、投票事務従事者(自治体の職員が務めることが多い)が、投票の秘密の保持のために本人の意向に沿った上で、投票用紙への代理記載や、点字投票の準備、座って投票用紙の記載ができる記載台を案内する等の対応をしています。
障害者が立候補する場合はどうでしょうか。特に公的な配慮がされるわけではありません。各候補者の陣営が工夫を凝らすことになります。とりわけ視覚や聴覚、言語能力に障害がある場合、有権者とのコミュニケーションをどう確保するのかは難しい課題です。
2015年の統一地方選挙では東京都北区議会議員選挙で「筆談ホステス」として話題となった斉藤里恵(さいとう・りえ)さんが当選。選挙期間中は公職選挙法の規定によりビラや名刺を配ることができません。演説代わりにボードに文書を記入して見せようとしましたが、法令に違反する恐れがあるので断念したとのことです。
当選して首長や議員になった場合は役職を全うできるように職員がサポートを行います。国会では車イスを使用する八代英太(やしろ・えいた)氏が1977年に参議院議員に当選(1996年には衆議院に鞍替え)。国会ではスロープを設けたり、トイレの改修を行うなどの対応をしました。
2001年10月には視覚障害(強度の弱視)を持った堀利和(ほり・としかず)参議院議員が参議院環境委員長に就任。事務局職員が「目」となり、会議の状況を委員長に報告したり、点字の資料や原稿を用意したりと、障害を持つ委員長をしっかりと補佐する体制を整えていました。
候補者を擁立する政党の対応はどうなっているのでしょうか。
障害者でも知的障害者や精神障害者の場合は難しいかと思われますが、知名度があるとか、大きな支持団体を持つような「勝てる候補者」であれば障害の有無や軽重はあまり問題とはされないでしょう。
この夏の参議院選挙にも著名な障害者や、障害者を身内に持つ候補者の出馬が取り沙汰されています。当事者や家族でなければ分からない「障害」を持つ人々の現実を政治に生かすことの重要性が、「障害」を売り物にするかのような候補者選びへの違和感に負けることがないよう願ってやみません。
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