「一票の格差」というのは、「本来平等であるべき一票の価値が選挙区によって異なる」という問題である。この問題を重視する市民グループにより、過去に何度も「一票の格差」の合憲性をめぐり法廷で争われている。昨年には2014年の総選挙について「違憲状態」とする最高裁判決が出された。この問題は先月選挙ドットコムでも扱った。
この記事で説明されているように、「一票の格差」問題の改善は憲法上の義務である。
そこで、衆議院の大島議長は「衆院選挙制度に関する調査会」(座長=佐々木毅・元東大学長)に「どう一票の格差を改善するか」の検討を依頼し、先月調査会は検討の結果を報告した。その報告に従えば、東京、埼玉など1都4県で選挙区数が増え、青森、岩手など13県でそれぞれ1議席減る「7増13減」となり、2.1倍だった格差は1.6倍に縮小することになる。つまり、大都市部で当選人数は増え、地方で当選人数が減ることになる。
では、この報告通りに2014年の総選挙をやり直したらどうなるだろうか。比例区の各政党の得票数を元に独自に計算してみた。それによると、自民、公明は議席を2ずつ減らし、民主、共産、維新が1減らすことになる。与野党で見ると、与党の4議席減に対して、野党が3議席の減にと僅かながら野党に有利な結果になっている。だから、というわけでないだろうが、最近の報道によると、自民党内では調査会報告に対して異論が強まっているという。
衆院選改革「7増13減」案、自民で異論強まる(1月6日読売)
無論、憲法が平等を求めている以上、国会は報告に基づいた「一票の格差」是正に真剣に取り組まなければならない。圧倒的な与党である自民党はなおさらである。
ちなみに、計算上では唯一議席を増やすのが”日本のこころを大切にする党”であった。彼らは喜んで「一票の格差」是正に賛成するかもしれない。
自民 | 民主 | 維新 | 公明 | 日本 | 生活 | 共産 | 社民 | ||
議席減の地域 | 東北(3) | -1 | -1 | -1 | |||||
北陸信越(1) | -1 | ||||||||
近畿(2) | -1 | -1 | |||||||
中国(1) | -1 | ||||||||
四国(1) | -1 | ||||||||
九州(4) | -2 | -1 | -1 | ||||||
議席増の地域 | 東京(3) | 1 | 1 | 1 | |||||
北関東(1) | 1 | ||||||||
南関東(2) | 1 | 1 | |||||||
議席の増減 | -2 | -1 | -1 | -2 | 1 | -1 |
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