選挙ドットコム

日本最大級の選挙・政治家情報サイト

NHK内定で話題のたかまつなな氏の覚悟。18歳選挙権をブームで終わらせないために(前編)



寺崎 倫代
寺崎 倫代

「みなさまごきげんよう~♪」で始まるお嬢様ネタが人気のお笑い芸人・たかまつななさん(以下、たかまつ氏)。フェリス女学院出身・慶応大学卒業という生粋のお嬢様。最近ではNHKから内定をもらっていた!という件でも話題になっています。

たかまつ氏は幼少期から政治や社会問題に強い関心を持ち、こうした一般的に難しいと思われがちな話題を、世間に少しでもわかりやすく伝えるにはどうしたら良いのか? というテーマにずっと取り組んできたそうです。そして、読売新聞の子供記者や国連の高校生平和大使などの活動を経て、行きついたのは「お笑い」という芸の力でした。

今では「お笑い界の池上彰」を目指し、芸人活動以外にも慶応大学大学院と東京大学大学院に在籍する“Wスクールの学生”、そして自ら立ち上げたお笑いを通じて中学生や高校生に主権者教育(※1)を行う株式会社 笑下村塾の“代表取締役社長”という顔も持っています。

今回はそんなたかまつ氏の今年の振りかえりと2018年の抱負を聞いてみました。

004

※1 主権者教育:政治や選挙への関心や知識を高めるための授業。株式会社 笑下村塾では「笑える!政治教育ショー」と題し、人狼ゲームを通して選挙や民主主義について考える授業などを行っている





18歳選挙権を「ブーム」で終わらせないために



-選挙ドットコム ライター 寺崎(以下、選挙ドットコム 寺崎)
2017年は都議選や衆院選といった大きな選挙があったり、「忖度」が流行語に選ばれたりするなど、政界の動きも慌ただしかった1年でした。たかまつさんの活動としてはいかがでしたか?

-たかまつなな氏(以下、たかまつ氏)
2016年に立ち上げた笑下村塾は、順調に伸びてきています。実は今日も1000人規模の生徒さんたちへ「笑える!政治教育ショー」の出張授業を行ってきたところでした。学校からこうした主権者教育の機会をいただけるのは大変ありがたいことです。一方で、特に衆院選では若者の投票率は結果的に下火になってしまっており、残念に思います。「18歳選挙権はその時だけのブームで終わらせてはいけない」、とこの笑下村塾を継続することがいかに大切かを改めて認識しています。

-選挙ドットコム 寺崎
今年は大きな選挙が続いたこともあって、新聞やテレビでも政治の話題が多かったように思います。たかまつさんは、芸人としてテレビに出演する立場でもあり、また主権者教育を通して中学生や高校生とも政治や選挙について話す立場でもありますが、政治への関心の高まりなどは感じられましたか?

018)出張授業・講演会0113

(たかまつさんの出張授業の様子)



-たかまつ氏
政治については、年始早々始まった森友・加計学園問題を中心とした「政局のスキャンダル」的な論調の報道が過熱していた様子に大きな疑問を感じた一年でした。森友学園問題であれば「籠池夫妻」のキャラクター、加計学園問題であれば総理と理事長の「お友達関係」といった一面的報道が多かったように感じます。もちろんそれも報道の1つの切り口としてあっていいと思いますが、もっといろんな角度から全体として本質的な問題はどこなのか?を考えるべきではないか…と何度も思いました。とは言っても、これは今年だけではなく以前からずっと感じている疑問ですが…。

ただ、これまでとても大切なテーマであるにも関わらずなかなか触られることがなかった憲法改正や安保問題などが本格化して、多少なりとも注目を集めたのは重要だったと思います。この分野については、今後私も活動を通してもっと掘り下げて行きたいところです。





「政治=不倫」、「政治=このハゲェー!」ではない。



001

-選挙ドットコム 寺崎
笑下村塾を立ち上げてから今まで、たくさんの学校で出前授業を行ってきたかと思いますが、その経験を通して今どんなことを感じていますか?

-たかまつ氏
生徒さんたちに「政治って聞くと何を思い浮かべる?」と聞くと、「不倫」や「このハゲェー!」など、本質でないところの回答が大半で、「政治」という言葉自体の持つイメージがとても良くない事実に驚きました。また、何より良くないと思うのは「政治=自分とは関係ない、何か遠い世界の存在」として捉えられてしまっていて、本当は「自分たちの困りごとや社会の問題は、政治で解決できる」という事実が全く理解されていないことです。例えば、若者が大学に行くためにめちゃめちゃバイトしたり、奨学金を借りても就職後借金を返すのにかなり苦労したり、こういった現実って本当は私たちが「なんかおかしいよね?」って声を挙げて、選挙に行って投票すれば絶対解決できるかもしれないことじゃないですか。この認識は一番変えて行かなきゃいけない、と強く思います。

-選挙ドットコム 寺崎
そういった状況の中で、出張授業ではどうやって生徒さんたちに正しい認識を持ってもらうように工夫されているのでしょうか?

-たかまつ氏
理想的には「日本を、社会を良くするために選挙に行こう、政治に興味を持とう!」というアプローチをしたいところですが、残念ながらそういった正論だけではまったく響かないのが現状です。だからまずは「選挙に行かないとこれだけ損するんだよ」ということを伝えることにしています。例えば「逆転投票シミュレーション」というワークショップを行って、投票率によって結果が逆転するいわゆるシルバー民主主義を体感してもらう、といった形です。

-選挙ドットコム 寺崎
その他には、何か意識して伝えていることはありますか?

-たかまつ氏
もう1つ、伝えたいこととしては「政治は人間同士の“トレードオフ”なんだ」ということです。その場にいる全員がハッピーになる完璧な解決策があればそれが理想ですが、現実は違います。だからこそ「利害関係が異なる人の立場に立って考える姿勢を学ぶ」ことが大事だと思うんです。つまり、主権者教育を通じて“他者理解”を学ぶことでコミュ力(コミュニケーション能力)が向上して、「恋愛や仕事の人間関係全般にも役に立つ」ということです。そういうことも併せて伝えていきたいですね。

-選挙ドットコム 寺崎
「主権者教育で、実は人間関係やコミュ力も学べる」となると、もっと政治を違った形で捉え直すいい機会になりそうですね。





主権者教育に懸ける思い。「いかに伝えるか×広めるか」が持続可能性のカギに



007

-選挙ドットコム 寺崎
昨年の2016年は、18歳選挙権がはじまった年で、「若者の政治参加」や「主権者教育」も盛り上がっていたように思います。実際に2016年の参議院選挙の投票率は、18歳は51%、19歳は39%と、20代よりも高くなっていました。しかし2017年になると盛り上がりも薄れ、衆院選の投票率は恐らく高くなかったでしょう。「18歳選挙権」をブームで終わらせないことも大切ですね。

-たかまつ氏
主権者教育は、あまりとっつきやすい内容ではないので、伝え方についてはかなり工夫して考えています。私は大学では、池上彰さんが何故時事ネタを分かりやすく伝えられるのか?をテーマに論文を書きました。池上さんの出演される番組をひたすら見て研究するんですが、修辞的疑問法や反復法など、言語的な用法だけでも記憶に残らせるテクニックがたくさんあるんです。私は、元々伝えることが上手い人間ではないので、池上さんだけでなくたくさんの方の伝え方を学ぼうと思い、言語学を勉強しました。そして、今は修士論文では、主権者教育の教材開発をテーマに書いているところです。

-選挙ドットコム 寺崎
お笑い芸人として芸を磨くのもWスクールで勉強されている内容も、全て「世の中の政治や社会問題に興味を持ってもらうため」というたかまつさんの目標に直結しているのですね。

-たかまつ氏
でもいくら良いコンテンツを考えて伝え方を研究しても、頭でっかちに「勉強しているだけ」ではダメだと思っています。常にこういった準備はしておいて、波に乗るときは乗らないといけないな、と。だから、いざ18歳選挙権のムーブメントが来た2016年は「この波を逃したら他にない!」と直感的に感じたので見よう見まねで会社を作って、コンテンツを作ってすぐに動きだしました。会社を作るのに1年、教材開発に2年、でもできたころにはブームが終わってた…となっても意味がないなと思ったんです。それに、波に乗り遅れるのはお笑い芸人としても失格です。

-選挙ドットコム 寺崎
芸人であるたかまつさんの特性を生かして、いいコンテンツを作ることと、人に見てもらうことのバランスが上手く取られているのですね。

-たかまつ氏
また、もっと様々な手段で広めるということも、主権者教育を続けて行く上ではかなり大切です。そういった点では笑下村塾では、クラウド営業部というものにもチャレンジしています。

Web上で私たちのサービスを広めてくれる人たちを募集して、受注したら報酬の数割をお戻しする、というものです。現在約50名の方に登録いただいていて、私はこれは社会問題をみんなで解決していく新しい協力システムとしてすごく可能性があると思っています。実際に今これで手伝っていただいた営業部員がビジネスコンテストで優勝したり、新しい引き合いやビジネスが生まれたりと成功例がたくさん生まれています。

こうやって、みんなが自分の得意な部分を活かして社会課題の解決に加担できることは、する側にもされる側にも大きなメリットを与えると感じています。

人狼ハウスライブ①IMGP4075

―――――――
次回、後編インタビューでは、たかまつ氏の2018年の抱負について伺います。NHKに入った本当の狙いとは?これから笑下村塾の活動はどうするのか?ご期待ください。

―――――――
※学生無料!※【1/10 (水)たかまつななの笑える!政治教育ショーin 国会議事堂開催!】
1/10(水)に政治家の皆さま、お笑い芸人100人、小中高・大学生の方に「笑える!政治教育ショー」を開催。
過去の参議院選挙では投票率87%まで上がった学校もある、伝説の授業を公開。
授業では政治家の皆さま、学生さん、お笑い芸人さんの5人一組でグループワークを行い、楽しく政治について考える機会です。詳細はこちら
寺崎 倫代

寺崎 倫代

早稲田大学商学部卒。その後、広告代理店等を経て外資系放送局で勤務。2017年会社を辞め、デンマークの成人向け教育機関・Folkehøjskole(フォルケホイスコーレ)に留学。特に民主主義など同国について学んだことを日本で活かすべく活動中。

記事一覧を見る

選挙をもっと、オモシロク。

選挙ドットコムでは”選挙をオモシロク”を合言葉に、より多くの選挙報道・政治家情報を掲載する日本最大級の選挙・政治家情報サイトです

Copyright © 2017 選挙ドットコム All Rights Reserved.