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山形市長選挙ルポ(前編)あらゆる点で常識外れな死闘 しかも記録的な大雨の中で

2015/9/11

高橋 茂

高橋 茂

9月10日の山形新聞の1面トップ記事はこれだった。
佐藤氏 梅津氏、激しく競る 山形市長選 無党派層の行方争点」(9月10日山形新聞)

接戦を伝える山形新聞

接戦を伝える山形新聞

私は9月5日の記事「まさに経済VS防衛!結果の読めない山形市長選挙が面白過ぎる」にも書いたが、この選挙には非常に関心を持っていて、東京にいてもまったく結果が予測できないので、とうとう現地に来てしまった。しかも自腹で!

結論から言うと、現地に来てもやはりわからない。しかし、「彼が当選するのではないか」という個人的なイメージは持っている。今回、前編・後編を通じてそれを詳しくご報告したい。開票が始まる前と結果が出てからお読みいただければ幸いである。

選挙に関しての概要は上記記事を読んでいただきたい。私は佐藤孝弘候補とは共通の友人も多く、何度か一緒に呑んだ経験もあり、この4年間のことも考えると、正直に言えば、なんとか当選してもらいたいと思っている。

しかし、前記事のあと、梅津庸成候補が拙著「マスコミが伝えない ネット選挙の真相」(双葉新書)の熱心な読者で、私の記事をシェアしてくれていたり、実は共通の友人もいるということがわかり、気持ちは揺れ動くこととなった。

さて、困った。

いざ山形へ

連日の大雨で、山形新幹線が終日運転見合わせとなった9月10日。超の付くほど飛行機が怖くて嫌いな私は、それでも勇気を振り絞って京浜急行線を使って羽田に向かった。モノレールよりも確実に行かれるかと思ったのだが、これが裏目に出た。始発からダイヤはまったく機能しておらず、遅れに遅れて、しかも「ザ・ラッシュ」と言いたくなるような激混み。保安検査場に着いたのはなんと締め切り1分前だった。

悪天候の中山形へ

悪天候の中山形へ

この悪天候で「快適な空の旅」などできるはずもなく、山形空港に着いたときはすでに一日分の体力と気力を使い果たしていた。

山形空港は小雨

山形空港は小雨

佐藤孝弘選挙事務所にアポ無し訪問

休んでもいられないので、まず佐藤孝弘候補の選挙事務所に行った。建物や入り口は地味だったが、中は活気に溢れていた。大勢の電話部隊の声は建物内のBGMとなって雰囲気を上げていた。すでに選挙戦終盤。まさに「戦場」といった感じだった。

佐藤孝弘候補の選挙事務所

佐藤孝弘候補の選挙事務所

運良くスタッフから話を聞くことができた。概ね以下のような話だった。

情勢は、最初はリードしていたものの、相手方に知事が付いたりしたことで一度並ばれた。しかし、現在は数ポイント程度離せていると見ているが、実際はわからない。
佐藤さんはこの4年間、ひたすら地元を回ってきたので、強固なネットワークがあり支持も多い。しかし、やはり市民感情としては「佐藤って誰だ?」というところから始まるので、地元出身でないというハンデは大きい。
長年続いた革新市政を変えたいという思いで活動している。

国政がらみの注目が大きいということを話すと苦笑いしていた。

この選挙の難しさのひとつはここにある。本来であれば「山形をどうするか」が争点になるはずの選挙で、安保法制の問題から「平和」「防衛」が持ち込まれてしまった。佐藤陣営はよくも悪くも自民党的な選挙を行っているが、それが裏目に出てしまうおそれがあるのだ。

山形を堪能するはずの昼食は本社が大阪のチェーン店だった

佐藤孝弘選挙事務所を出た私は、たまたま目にした近くの食堂で早めの昼食をとった。
「山形 ごはんや 北町食堂」

北町食堂 山形の食材を使っている

北町食堂 山形の食材を使っている

何種類ものおかずが並び、好きなモノをトレイに乗せていって、最後に会計するというスタイルで、これは最近どこでも見られるのだが、面白いのは店舗のある町の名前が付いていることだ。「北町」というのは、それが山形市北町にあることを表している。

山賊焼き(たれ)、ブリの照り焼き、ひじき、山形産コシヒカリと味噌汁

山賊焼き(たれ)、ブリの照り焼き、ひじき、山形産コシヒカリと味噌汁

調べてみると、これは「まいどおおきに食堂」というフランチャイズ・チェーンで、経営は「フジオフードシステムズ」という大阪に本社を持つ企業だった。

食事が終わって「まいどおおきに」の文字を見たとき、「しまった、大阪じゃん」と一瞬思ったが、地元の食材を活用し、その町の名前を店名につける方法は、十分に地元「風」食堂として地元に受け入れられるのではないか思った。
早めに腹ごしらえした私は、次に梅津庸成選挙事務所に向かった。

梅津庸成選挙事務所にアポ無し訪問

梅津事務所は、旧店舗を利用したような明るい建物だった。

梅津庸成選挙事務所

梅津庸成候補の選挙事務所

入って驚いたのは、檄文の垂れ幕などを貼っていたことだ。これは選対会議用の準備ということだった。壁には吉村美栄子山形県知事の大きな檄文(為書き)が貼られていた。選挙も終盤に入ってきての事務所の雰囲気としては、佐藤候補の事務所とは対照的だったが、これが山形方式非自民系選挙のスタイルなのかもしれない。

事務所の担当者の方もかなり慌ただしそうで、お話を聞くことはできなかったが、「ザ選挙の」と言った瞬間に「ああ、良く見ています」と笑顔で返されたときは、純粋に嬉しかった。

山形市の特殊事情と佐藤候補の4年間

山形市は約50年間も非自民系の市政が続いている。前々回は候補者すら立てられなかったが、前回告示の一ヶ月前に急遽佐藤候補を立て、敗れたものの、佐藤氏は落選直後に次回の出馬を表明し、4年間地元を這いずりまわってきた。その間、自民党は一旦は下野してから復活し、選挙では盤石の体制を作ることとなった。

自民党の強い他の自治体であれば、結果は見えている。佐藤候補の圧勝だろう。しかし、安倍内閣の支持率が下がってきている中で、今回の安保法制反対の国民的な盛り上がりは、少なからず選挙に影響を与える。佐藤陣営は、「今回は市政を変える最後で最大のチャンスだ」と大きな期待を寄せる一方、有権者の顔が見えにくいことで苛立ちを深めている。「本当に安保法案の行方は影響するのだろうか」。

首長の選挙は後半になると、最後の活を入れるために大掛かりな「決起集会」を行う。そのタイミングや応援弁士に誰を呼ぶのか、それも結果に少なからず影響しているかもしれない。

梅津陣営の決起集会はまさに本日10日。そして応援弁士は蓮舫参議院議員だった。

(後編に続く)

 

立派な山形市役所。ここに入るのは誰か。

山形市役所

山形市役所

市役所内では期日前投票が行われていた。出足は好調のようだ。

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高橋 茂

高橋 茂

2000年、電子楽器のエンジニアから政治とインターネットの世界へ。政治家のネット活用をサポートするVoiceJapan社を経営する傍ら、講演、執筆も行う。武蔵大学非常勤講師。選挙ドットコム顧問

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