さとう しゅういち ブログ
イオンの補償決断を機に、労働組合とともに災害時の安全文化を再構築せよ
2026/8/12
イオンの補償決断を機に、労働組合とともに災害時の安全文化を再構築せよ
イオンモール熊本の爆発事故で、イオンは施設管理者としての責任を認め、補償に踏み切る姿勢を示した。
災害直後の混乱下で一時的に再入館を認めた判断は、結果として危険を高めた可能性がある。
その点を率直に認めたイオンの対応は、企業としての誠実さと受け止めたい。しかし、今回の悲劇の本質は、イオンの判断ミスだけではない。
むしろ、テナント側の安全文化と制度が、従業員を危険区域へ“戻らせる構造”をつくっていたことにある。売上金を戻すよう指示したテナント幹部の判断は、災害時の安全配慮義務に照らして重大な過失だ。
さらにオンワード樫山は、「従業員が貴重品を取りに戻った」と発表した。
売上金と貴重品という二つの“戻る理由”が同時に存在したことは、
平時の慣行が災害時に逆機能を起こした典型例である。小売業界では、盗難防止や接客中のスマホ使用防止を理由に、
従業員のスマートフォンや財布、車の鍵をバックヤードに置かせる文化が根強い。
しかし災害時には、これが命を奪う構造に変わる。
貴重品がバックヤードにある限り、従業員は「戻らなければならない理由」を常に持つ。
そこに売上金管理の文化が重なれば、戻る行動は二重化し、避難行動は破綻する。再発防止の核心は、ここにある。
車の鍵・スマートフォン・財布を携帯できるようにする。
この極めて現実的な制度改革こそが、次の悲劇を防ぐ最も確実な道だ。
そして、この改革を進めるうえで重要な役割を担うのが、
イオンの従業員が多数加入する UAゼンセン同盟系の労働組合 である。
労働組合は、平時の慣行が災害時に命を奪う構造へ変質しないよう、
企業とともに制度を点検し、改善を促す立場にある。
イオンが補償を決断した今こそ、
労使が協力して安全文化を再構築する好機だ。
災害は必ず再び起こる。
その時、従業員が「戻らなくていい」仕組みを持っているかどうかが、
命を守る最後の分岐点になる。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男