2026/7/26
医療的ケア児支援法改正──当事者が国会に立った意味と、日本社会の進化
2026年7月24日、医療的ケア児支援法の改正案が参議院で全会一致により成立した。
27年4月1日から施行される。
この法改正は、単なる制度の拡張ではない。
「当事者が国会にいることが、制度そのものを進化させる」
という事実を、初めて明確に示した出来事である。
● 18歳の壁──長年放置されてきた制度の“断絶”
医療的ケア児は、成長しても医療的ケアが途切れるわけではない。
しかし制度は長らく、18歳を境に支援が急落する“谷間”を抱えてきた。
家族は介護と就労の両立に追われ、本人は地域生活の継続が困難になる。
現場では「制度的な支援が途中で途切れてしまう」現象が常態化していた。
昨年2025年施行の同法改正では、これを是正する方向性が示されていたが、今回の改正では、この構造的欠陥を具体的に正面から修正した。
支援対象は18歳以上にも拡大され、重症心身障害者も同じ枠組みで支援される。
支援の手が、途切れずに連続して続く社会へと移行した。
● 当事者議員の存在が制度を動かした
この改正の背景には、二人の当事者議員の存在がある。木村英子議員
重度障害当事者として、国会に合理的配慮を実現しつつ、
医療的ケア児と家族の声を粘り強く政策に落とし込んできた。天畠大輝議員
ALS当事者として、意思伝達装置を使いながら審議に参加し、
「制度の隙間に落ちる人をなくす」という理念を一貫して訴え続けた。両者の活動は、
「当事者が国会にいること自体が、制度の盲点を照らす」
という民主主義の根本原理を体現している。
● 家族の孤立を減らし、地域の支えを強化する
改正法は、保育・教育・就労・住居支援を一体化し、
自治体の支援センターの機能を拡充した。
災害時の情報提供や、指定都市・中核市でのセンター設置も可能になる。これは、
「家族だけに背負わせない社会」
への一歩である。
● 社会はどこまで進化できるか
今回の改正は、制度の“進化”の入り口にすぎない。
支援の連続性をどう具体化するか、自治体の運用をどう改善するか、
就労支援をどう現実的な形にするか──課題は多い。しかし、当事者が国会に立ち、声を届け続けた結果、
制度の波形は確かに変わった。日本社会は今、
「誰もが地域で生きられる社会」
へ向けて、静かだが確かな進化を始めている。
追記 木村英子議員SNSより
昨日7月24日の参議院本会議で、医療的ケア児支援法改正案が可決、成立いたしました。
2021年に成立し、昨年10月に施行された同法の改正では、支援の対象を18歳以上の医療的ケア者と、重症心身障害者に拡大し、合わせて地域で暮らし続けるための施策の充実、医療的ケア児支援センターの機能の拡充などが盛り込まれています。
木村は同僚の天畠大輔議員と共に、人工呼吸器ユーザーとその家族、医療的ケア児者の地域生活を支える事業所や医療関係者からヒアリングを行い、法の理念や目的、施策に関して11項目の修正を提案しました。その結果、日常生活支援で「重度訪問介護」が例示として明記され、介助を使って地域で暮らしつづけることが位置づけられました。また、一時預かりや夜間の居宅サービスが家族の負担軽減よりまずは当事者への支援であることなどの修正が盛り込まれました。
今後は、成立した「医療的ケア児等及び重症心身障害者支援法」を使って、重い心身障害があっても、医療的ケアが必要であっても、地域で自分らしく暮らし続けられる社会に向け活動していくことを誓い合いました。(スタッフ投稿)
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