さとう しゅういち ブログ
出産リスクとアンペイドワークを見ない社会は、若い世代を追い詰める― 欧州家族税制に学ぶ「生活...
2026/7/20
出産リスクとアンペイドワークを見ない社会は、若い世代を追い詰める― 欧州家族税制に学ぶ「生活の安全装置」の再構築 ―
広島の街を歩けば、若い夫婦の姿が目に入る。
働き方改革の波が押し寄せ、共働きが当たり前となった今、
「男女平等」という言葉は、もはや社会の常識として定着した。
しかし、この“上っ面の平等”が、若い女性労働者を最も追い詰めている現実を、
私たちは直視しなければならない。🟥 出産リスクは母親だけが負う妊娠・出産は女性だけが担う。
これは生物学的事実であり、社会構造の非対称性である。
にもかかわらず、日本の制度議論ではこの前提がしばしば抜け落ちる。出産は身体的リスクであり、
産後の回復は長期に及び、
キャリア中断の可能性は常に女性側に偏る。この非対称性を制度が吸収しなければ、
「男女平等」は単なるスローガンに過ぎない。🟥 アンペイドワークは“見えない労働”である家事、育児、介護。
これらは賃金が発生しないが、社会を支える不可欠の労働だ。
OECDの統計では、日本の女性は一日3.6時間の無償労働を担い、
男性は0.7時間にとどまる。この差を見ずに「専業主婦は甘え」と攻撃する風潮は、
若い女性労働者に二重、三重の負担を強いるだけである。🟥 扶養制度は“女性優遇”ではなく生活の安全装置男性が病気やメンタル不調で一時的に配偶者の扶養に入ることは珍しくない。
扶養控除は男女どちらにも必要な制度であり、
家計が崩れないための“生活の保険”である。それを「時代遅れ」と切り捨てる議論は、
生活者の現実を知らない机上の空論にすぎない。
🟥 欧州は家族税制で“非対称性”を制度化している欧州には日本の扶養控除に相当する制度が形を変えて存在する。ドイツ:所得分割制度フランス:家族係数制度イギリス:控除移譲制度北欧:ケア労働の社会化これらはすべて、
出産リスクとアンペイドワークを前提にした制度設計である。欧州は「家族の生活を守ることは国家の責務」と考える。
日本のように“専業主婦攻撃”が起きることはない。
🟥 若手男性の“手取り減る恐怖”が制度議論を歪める近年、若手男性・大手企業正社員・労組員の一部に
「税負担を増やすな」「子ども家庭庁打倒」といった声が広がる。彼らの不安は理解できる。
住宅ローン、車の維持費、将来不安。
可処分所得がギリギリの生活では、
制度を“敵”として見る心理が生まれやすい。しかし、制度の本質を読まずに反発する風潮は、
結果として若い女性労働者を追い詰め、
社会全体の持続可能性を損なう。
🟥 広島から問うべきは「生活者の現実に根ざした制度」広島は、高齢化率介護負担地方都市の所得構造若い家庭の可処分所得の低さ
という課題を抱える地域である。だからこそ、
出産リスクとアンペイドワークを制度の中心に据えることが必要だ。欧州の家族税制はそのヒントを与えてくれる。🟥 結語男女平等は、出産リスクとアンペイドワークを制度が吸収して初めて成立する。
扶養制度は生活者の安全装置であり、
欧州はそれを家族税制として高度化している。
広島から問うべきは、生活者の現実に根ざした制度の再構築である
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男