さとう しゅういち ブログ
社説:人口減少の広島で進む不可解な造成──“住宅開発”の名を借りた残土処分の闇
2026/7/4
社説:人口減少の広島で進む不可解な造成──“住宅開発”の名を借りた残土処分の闇
広島市をはじめ県内では人口が減り、空き家が増え、住宅需要が縮小しているにもかかわらず、山を切り開く造成だけが止まらない。市内を歩けば、誰が住むのか見当もつかない斜面や谷間に「住宅地開発」の看板が立ち、造成が進む光景が散見される。住民の間では「ここに家を建てるのは特攻隊だろう」と揶揄されるほど、生活圏として成立しない土地が“住宅地”として造成されている。
この不可解な現象は、単なる都市計画の失敗ではない。造成そのものが目的化し、“住宅開発”の名を借りた残土処分が横行している可能性がある。
広島県内ではすでに、三原本郷産廃処分場の周辺で“偽装住宅開発”が確認されている。造成許可の看板を掲げながら、実際には住宅を建てる意思がなく、産廃処分場の造成で出た残土や廃材を山奥に運び込み、覆土して放置する。住宅開発の名目を使えば、産廃法の厳しい監視を回避できる。行政の縦割り構造──宅地造成は市、産廃は県──がこの偽装を容易にしている。
広島市も同じ構造的弱点を抱える。
山が多く、谷が深く、斜面が多い地形は、残土投棄を隠すのに都合が良い。人口減少で土地が余り、山林所有者の高齢化で管理が曖昧になり、行政の監視は追いつかない。こうした条件がそろえば、“住宅地造成”と書いておけば、残土捨て場が合法風に成立してしまう。
本来、住宅地は需要に応じて生まれるべきものだ。しかし広島では、需要が減っているのに造成だけが増えるという経済合理性のない現象が続く。合理性がない造成は、別の目的──残土処分──があると見るべきだ。
行政はこの矛盾を直視しなければならない。
広島の山は、未来の住民のために切り開かれているのではない。
残土を埋めるために切り開かれているのではないか。
この疑念を放置すれば、熱海のような盛り土災害が広島でも起こり得る。
人口減少時代の都市計画は、造成ありきではなく、土地の安全性と透明性を最優先に再設計されるべきだ。
広島市と広島県は、住宅開発名目の造成を厳しく点検し、残土処分の実態を徹底的に洗い出す責任がある。
住民の「怪しい」という直感は、現場を知る者だからこそ気づける警鐘である。
その声を無視する行政こそ、最大のリスクと言える。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男