さとう しゅういち ブログ
中学生の自死を繰り返さないために──スクールカウンセラー増員と「雇用の安定」をセットで
2026/6/13
中学生の自死を繰り返さないために──スクールカウンセラー増員と「雇用の安定」をセットで
広島県内の公立中学校で、二年生の男子生徒が自ら命を絶った。痛ましい事態を前に、県はスクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の増員を含む補正予算案を提出した。相談体制の強化は当然であり、迅速な対応を評価したい。
しかし、ここで一つ、どうしても釘を刺しておく必要がある。
「増員」だけでは、再発防止にはならない。
制度を支える専門職の待遇と雇用の安定が確保されなければ、相談体制は形骸化し、子どもたちの命を守る最後の砦が崩れてしまう。
■ 非正規・低待遇に依存する日本の相談体制
日本のスクールカウンセラーの多くは非常勤で、週1〜2日の勤務にとどまる。年度更新で雇止めの不安が常にあり、給与も民間より低いケースが少なくない。
この構造では、経験の蓄積が断ち切られ、学校との信頼関係が育つ前に人が入れ替わる。
「制度はあるが、実質的な支えが弱い」という状態が続いてきた。
■ 東京で起きた「5年雇止め」の混乱を忘れてはならない
東京都では小池都政のもと、スクールカウンセラーに「5年で雇止め」を適用し、現場は大混乱に陥った。
子どもが信頼していたカウンセラーが突然いなくなる事態が相次ぎ、専門家団体や保護者から強い批判が起きた。
制度への信頼は大きく損なわれた。
広島県は、この失敗を絶対に繰り返してはならない。
■ 広島県が本当に再発防止を目指すなら
今回の補正予算は第一歩にすぎない。
再発防止を本気で掲げるなら、以下の改革が不可欠だ。
雇止めを前提としない雇用の安定化
常勤カウンセラーの配置を段階的に進めること
専門職としての適正な給与水準の確保
研修・スーパービジョンの公費負担
学校側の理解促進と組織内での位置づけ強化
これらが整って初めて、相談体制は「機能」する。
増員だけでは、子どもたちの命を守る網は強くならない。
■ 子どもを守る制度は、人を大切にする制度でなければならない
今回の痛ましい出来事を、単なる「予算措置」で終わらせてはならない。
子どもたちの命を守る制度は、そこで働く専門職を大切にする制度でなければ成立しない。
広島県は、増員と同時に、雇用の安定と待遇改善を明確に打ち出すべきだ。
再発防止とは、人を守る仕組みを、人を大切にする形でつくることである。
その原則を外してはならない。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男