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 「第三者の“意見”ではなく、第三者の“権限”を」――広島県公益通報制度の改正は核心を外している

2026/5/10

 【広島瀬戸内新聞社説】
「第三者の“意見”ではなく、第三者の“権限”を」――広島県公益通報制度の改正は核心を外している

広島県庁で発覚した虚偽公文書作成問題と、それに続く公益通報つぶし疑惑。
県は再発防止策として「第三者の意見聴取の義務化」「知事への報告」を盛り込んだ制度改正を打ち出した。だが、この“改善”は、制度の入り口を少し整えただけで、核心部分には手が届いていない。

問題の本質は、権力者自身が関与した場合に、誰がその不正を止めるのかという一点に尽きる。

---

◆知事部局が当事者となる案件で「知事判断」は成り立たない

公益通報制度の最大の弱点は、通報先が行政内部に閉じていることだ。
今回の改正でも、最終判断は知事部局に残されたままである。

しかし、もし不正に関与しているのが
- 知事自身
- 知事の腹心である局長・部長
- あるいは知事の政治的影響下にある幹部

であった場合、知事に判断を仰ぐ仕組みは利益相反そのものだ。

「第三者の意見を聞いた」としても、それは助言にすぎず、
判断権限は依然として“当事者側”にある。
これでは、もみ消しの温床は温存されたままだ。

---

◆広島県はすでに“誤判断”を経験している

虚偽公文書問題では、県は当初、公益通報を「事実が特定できない」として退けた。
しかし後に、通報内容は正しかったと認めざるを得なかった。

つまり、
内部判断に任せると誤判断や隠蔽が起きることは、既に実証済みである。

それにもかかわらず、今回の制度改正は、
「第三者の意見を聞く」という“助言レベル”にとどまり、
判断権限の独立性には踏み込んでいない。

---

◆必要なのは「第三者の意見」ではなく「第三者の権限」だ

公益通報制度が本当に機能するためには、次の三点が不可欠である。

1. 調査権限を持つ独立した外部機関への自動付託
 弁護士、公認会計士、元検察官などで構成し、知事部局から完全に切り離す。

2. 知事や幹部が関与する案件は“例外なく外部へ”
 利益相反を排除し、判断の独立性を担保する。

3. 調査結果の公表義務
 行政内部で完結させない。県民への説明責任を制度として担保する。

これらがなければ、
「第三者に聞いた」と言いながら、実態は内部判断のまま
という構造は変わらない。

---

◆県民の信頼を取り戻す唯一の道

公益通報制度は、行政の最後の安全弁である。
その安全弁が、権力者の都合で閉じられるようでは、
県政への信頼は二度と回復しない。

今回の制度改正は、県庁の不祥事を受けた“第一歩”ではある。
しかし、核心部分――
「権力者自身の不正を誰が止めるのか」
という問いに答えていない以上、再発防止策としては不十分だ。

広島県が本当に変わるためには、
第三者の“意見”ではなく、第三者の“権限”を制度として保障すること。
それこそが、県民の信頼を取り戻す唯一の道である。

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著者

さとう しゅういち

さとう しゅういち

選挙 広島県議会議員選挙 (2023/04/09) 2,673 票
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広島市安佐南区選挙区

肩書 介護福祉士・元広島県庁職員・広島瀬戸内新聞社主
党派・会派 庶民革命ひろしま
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