さとう しゅういち ブログ
自衛官による自民党大会参加・国歌斉唱事件で陸幕長・自衛官・自民幹部を自衛隊法違反で告発
2026/4/30
自衛官による自民党大会参加・国歌斉唱事件で陸幕長と当該自衛官、自民幹部を自衛隊法違反で告発 https://www.youtube.com/live/WQHj1gy-Wxc?si=Qn2F028NDMAva1Uq @YouTubeより
本紙代表・佐藤周一を含む数百人の市民は4月30日、自衛官による自民党大会参加・国歌斉唱事件で陸幕長と当該自衛官、そして会場責任者の自民幹部(筆頭副幹事長)を自衛隊法違反で告発しました。
告発状
2026年4月30日
東京地方検察庁 検察官殿
告発人 別紙目録記載の通り
告発人ら代理人弁護士
澤藤統一郎
同 佐藤 誠一
同 萩尾 健太
同 久保木亮介
同 中川 勝之
同 青龍美和子
外 別紙目録記載の通り
告発の趣旨
被告発人鶫(つぐみ)真衣(以下「被告発人鶫」という)、被告発人荒井正芳 (以下「被告発人荒井」という)及び被告発人簗(やな)和生(以下「被告発人
簗」という)の以下の各行為は、自衛隊法61条 1項(政治的行為禁止)及び第 119条(罰条)の共同正犯(刑法 60 条・65条1項)に該当するので、厳正 な処罰を求めて本告発に及ぶ。
告発事実
1 被告発人鶫は、陸上自衛隊中央音楽隊に所属する現役の3等陸曹であるところ、 2026年4月12日、東京都港区高輪3丁目所在のグランドプリンスホテル新 高輪において開催された第93回自由民主党大会(以下「党大会」という)冒頭の 式次第である「国歌斉唱」時に、党大会司会者から「陸自が誇るソプラノ歌手」 と紹介されて陸上自衛隊中央音楽隊の制服である通常演奏服装で登壇し、壇上で マイクを使い、会場の大型スクリーンに映し出された態様で「君が代」を歌唱し、
2 被告発人荒井は、陸上自衛隊の最高位者である陸上幕僚長として陸上自衛隊の 部隊を管理し隊員の任務遂行状態を監督すべき立場にある者として、被告発人鶫 の党大会における上記態様の「君が代」歌唱を指示し、
3 被告発人簗は、自由民主党の党員であり同党筆頭副幹事長兼広報本部長代理兼 報道局長の任にあって党大会実行委員長としてその運営に責任を持つ立場にある ところ、党大会における被告発人鶫の上記態様における「君が代」を歌唱せしめ て、
以て、被告発人3者共同して、自衛隊員が特定政党の党大会において自衛隊員 であることを誇示する態様での「君が代」歌唱を実現し、特定の政党または特定 の内閣を支持するという政治的目的のために被告発人鶫および陸上自衛隊中央音 楽隊の影響力を利用して、自衛隊法第61条 1項が禁じる政治的行為に及んだも のである。
関係法令と罰条の引用
自衛隊法61条1項(政治的行為の制限)「隊員は、政党又は政令で定める政 治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方 法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く ほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。」
自衛隊法施行令 第 86 条第 1 項(政治的目的の定義)「法第61条第1項に規 定する政令で定める政治的目的は、次に掲げるものとする。
三号 特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること。 四号 特定の内閣を支持し、又はこれに反対すること。」
自衛隊法施行令 第87条第1項(政治的行為の定義)「法第61条第1項に規 定する政令で定める政治的行為は、次の各号に掲げるものとする。
一号 政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること。」
自衛隊法第119条(罰条)「次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下 の拘禁刑に処する。
一号 第61条第1項の規定に違反した者」
刑法60条(共同正犯)「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯と
する。」
刑法65条1項(真正身分犯)「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加 功した場合、身分のない者であっても共犯とする。」
告発の理由
1 自衛隊法及び同法施行令の規定とその法意
上記のとおり、自衛隊法61条は「隊員は政治的目的のために、選挙権の行使 を除くほか、政治的行為をしてはならない」と定めている。
これは、大日本帝国において、旧軍が政治に介入し国を侵略戦争の泥沼に陥れ、 破滅に導いた歴史の反省に立ってのものである。日本以外においても、時の政権 が軍事力を利用し、あるいは軍が権力を握って軍事独裁政権となり人権を抑圧す る例は枚挙にいとまない。
軍事力を行使できる実力組織と特定の政党、とりわけ政権党との癒着は、得て して生じがちだが、民主主義国家に決してあってはならない。憲法66条2項が 「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」として文民統
制を規定しているのも、その実態における軍事組織の政治介入を禁止し、政治的 中立性を厳格に図る趣旨に出たものである。
自衛隊法施行令(政令)86条は、法61条における「政治的目的」を定義し、 その内に「特定の政党その他の政治的団体を支持」「特定の内閣を支持」するこ とが挙げられている。また、同87条は、禁止される「政治的行為」の一つとし
て「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること」として いる。
自衛隊・自衛隊員と政権与党との本件のごとき露骨な癒着が、法の禁じる政治 的行為に該当することは自明というべきである。
2 被告発人鶫の責任について
小泉進次郎防衛相は、X(旧ツイッター)に党大会で撮影した自分と被告発人 鶫とのツーショットの写真とともに「自民党にとって重要な場で国歌斉唱の大役 を担ってくれた」と同被告発人に対する讃辞を投稿した(現在は削除)。また、 自民党の公式Xは今も、党大会の模様として写真付きで「陸上自衛隊中央音楽隊 所属のソプラノ歌手鶫(つぐみ)真衣さんリードによる国歌斉唱です」と宣伝し ている。
これらの各投稿からも、被告発人鶫が君が代を歌ったことは、自民党の最高議 決機関である党大会を成功させるための演出に一役買い、党の宣伝、党勢拡大に 協力するものであり、自衛隊員として自民党を支持し、自民党が構成する現内閣 を支持する目的をも持った「政治的行為」に当たるというべきものである。
しかも、今回の大会は「自衛隊明記」の改憲方針を掲げたものであった。党大 会出席の高市早苗総裁・首相は、「時は来た」として、来年の党大会までに国会 での改憲発議のめどを立てたいと表明している。自衛隊員に党大会冒頭で出番を 与え、「君が代」を歌唱させることの政治性は常にも増して濃厚で、自衛隊側と
自民党側の双方に、自衛隊明記の改憲機運を盛り上げようという共通の意図が存 在したことを推認せざるを得ない。それは、公務員の憲法尊重擁護義務(憲法 99 条)に反する目的と言える。
なお、高市早苗総裁・首相や小泉進次郎防衛相、被告発人荒井らは、被告発人 鶫の自民党大会への参加は職務としてではなく、「私人」として依頼されたもの で、自衛隊法に違反しないと口を揃えている。
しかし、被告発人鶫には、上司である副隊長も同行していた。さらに、自民党 大会の場で、自衛隊音楽隊制服を着用しており、陸上自衛隊中央音楽隊所属と紹 介されているのだから、到底私人の資格での登壇・歌唱ではあり得ない。
仮に形式上、私人とされていたとしても、上記の通りの制服と紹介、そして後 記の通り幕僚長の判断のもとで出演したことからすれば私的行為とは評価できな い。政権与党との癒着と利用 という自衛隊法が政治的行為を禁止した趣旨に直ち に反する形態で、憲法尊重擁護義務(99 条)に反する目的すら推認されるのだか ら、被告発人鶫の行為は、違法な「政治的目的のために官職、職権その他公私の 影響力を利用する」政治的行為に該当する。
3 被告発人荒井の責任について
自衛官服装規則第 13 条の 2 には以下の通り規定されている。
「音楽隊員である自衛官は、国際的儀礼、自衛隊の儀式その他の場合において、 陸上自衛官にあつては陸上幕僚長が、海上自衛官にあつては海上幕僚長が、航空自衛官にあつては航空幕僚長が演奏のため特に必要があると認めて指示すると き、通常演奏服装をするものとする。」
本件告発にかかる君が代歌唱の当時の被告発人鶫の通常演奏服装は被告発人荒 井の指示によるものであると判断せざるを得ない。
また、小泉防衛相は、被告発人鶫の君が代歌唱について「名称不詳のイベント 会社からの出演依頼を受け、防衛省内で判断した」旨を述べている。そのことか らすれば、少なくとも陸上幕僚長である被告発人荒井が「演奏のため特に必要が あると認めて指示」したものと考えられる。
さらに、被告発人荒井は、本年4月14日の定例記者会見において、同月 3 日 に担当部署から問合わせがあって被告発人鶫の党大会出演を認める判断をした旨 説明した。もっとも、その際被告発人荒井は、被告発人鶫が通常演奏服装をして 出演したことは自分の指示ではないと述べているが、そのとおりであるとすれば、 陸自隊員の誰かに越権行為があったことになり、その発言の真偽は捜査されなけ ればならない。
いずれにしても、被告発人荒井は、同鶫の自民党大会出演を認める判断をした 以上、被告発人鶫と共同して特定の政党または特定の内閣を支持するという政治 的目的のために被告発人鶫および陸上自衛隊中央音楽隊の影響力を利用して政治 的行為に及んだ責めを免れない。
4 被告発人簗の責任について
2026年4月 14 日の自由民主党萩生田幹事長代行の記者会見での発言によ れば、自民党大会における自衛隊員の歌唱については、党大会実行委員会におい て企画を進め、最終的には党大会運営委員会(運営委員長は鈴木俊一同党幹事長) で協議をし決定をした、とのことである。
よって、党大会実行委員長である被告発人簗が、党大会の運営実務に責任を も つべき立場にある者として、自衛隊員の歌唱について企画を立案して運営委員 会 に提案したことが明らかで、被告発人鶫、同荒井らと共同して自民党大会にお け る自衛隊員の君が代歌唱という政治的行為をなさしめた責任を免れない。
なお、同被告発人は自衛隊法61条1項の構成要件である自衛隊員としての 身 分をもたないが、むしろ共同しての犯罪行為の中心に位置する者として、刑法 6 5条1項(真正身分犯)「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功した 場 合、身分のない者であっても共犯とする」の規定に基づき共同正犯の責めを負 わ ざるを得ない。
5 本件告発事件の全体像について
本件告発にかかる自衛隊法違反事件の本質は、事実上の軍事組織である自衛隊 と政権与党である自民党との癒着の誇示にある。その癒着の前面に立つことを余 儀なくされたのは被告発人鶫であるが、その舞台を整えたのは、自民党側におい ては被告発人簗であり、自衛隊側においては、被告発人鶫の直属上司として同被 告発人に同行した音楽隊副隊長(氏名不詳)であり、最高幹部としての被告発人
荒井である。
この癒着構造は、厳正な捜査によって、余すところなく明らかにされなければ ならない。そのことが憲法と民主主義の強い要請だからである。
6 自民党ならびに防衛省幹部の責任について
本件被告発行為は、高市早苗首相や小泉進次郎防衛相をはじめとする多数の公 務員の面前で行われた。被告発人簗も自民党公認の衆議院議員でもある。
刑事訴訟法第 239 条は、公務員に職務中に犯罪を発見した場合告発義務を課し ている。この告発義務は罰則の定めこそないものの、犯罪を防止するための重要 な責務と心得なければならない。にもかかわらず、その職責を全うして告発義務 を履行するどころか、弁明に終始する自民党ならびに防衛省幹部の姿勢はまこと に見苦しいものと指摘せざるを得ない。
告発人らは、司法権独立の一翼を担う貴職に対して、政治権力にも、実力組織 である自衛隊の圧力にも屈することなく、事後の首相や防衛省幹部の弁明の失当 までを含めた本件の全容を明らかにし、厳正な捜査を遂げられるよう期待して本 告発に及び、その後の進展を見守りたい。
以上
証拠方法 別 紙の とおり
被告発人目録- 10 -
〒162-8802 東京都新宿区市谷本村町 5 番 1 号 防衛省陸上幕僚監部
被告発人 荒井 正芳
〒178-8501 東京都練馬区大泉学園町 朝霞駐屯地 陸上自衛隊中央音楽隊 被告発人 鶫 真衣
〒100-8910 東京都千代田区永田町 1-11-23 自由民主党本部 被告発人 簗(やな)和生
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男