さとう しゅういち ブログ
また呉の防災工事で不正 ― 公益通報が突き止めた「仏像模型作成」疑惑に徹底調査を
2026/4/17
広島瀬戸内新聞 社説
■また呉の防災工事で不正
― 公益通報が突き止めた「仏像模型作成」疑惑に徹底調査を
広島県呉市の防災関連工事で、再び不正が発覚した。
今回の疑いは、工事費の一部が仏像模型の作成に流用されたというものだ。
公益通報によって明らかになったこの事案は、単なる公金の無駄遣いにとどまらず、
政教分離原則に抵触する可能性をもはらんでいる。
防災事業は、宗教や信条を超えてすべての住民の生命を守るための公共事業である。
その予算が宗教的対象物の制作に使われたとすれば、
行政の中立性を揺るがす重大な問題だ。
しかも、これが「防災工事」という名目で行われたことは、
県民の信頼を根底から損なう。
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■公益通報が再び行政の闇を照らした
今回も、発覚の契機は内部からの公益通報だった。
制度が機能したこと自体は評価できる。
しかし、逆に言えば、行政内部のチェック機能が働いていないということでもある。
不正が起きるたびに「通報で発覚」という構図が繰り返されるのは、
組織としての自浄能力が欠けている証左だ。
広島県庁では、過去にも西部建設事務所・呉支所で公文書偽造問題が起き、
その際も公益通報が唯一の突破口となった。
今回の事案は、あの事件から何も学んでいないことを示している。
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■防災と宗教を混ぜるな
防災は行政の最も基本的な責務であり、
宗教的象徴や信仰の対象と結びつけることは、
憲法の定める政教分離原則に反するおそれがある。
「地域の安全祈願」や「慰霊のため」といった名目があったとしても、
公金を使う以上、宗教的要素を排除するのが行政の義務だ。
この問題は、単なる倫理違反ではなく、
法的・制度的な境界線を越えた可能性を含んでいる。
徹底した事実確認と、関係者の責任の明確化が不可欠だ。
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■徹底調査と制度改革を
県は今回の通報を受け、速やかに第三者を含む調査委員会を設置すべきである。
調査は「個別案件の処理」に終わらせてはならない。
防災事業全体の契約構造、決裁経路、監査体制を洗い直し、
再発防止策を制度として確立する必要がある。
また、公益通報者が不利益を受けないよう、
通報制度の運用を透明化し、
「通報が最後の手段ではなく、最初の警鐘」となる環境を整えるべきだ。
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■隠蔽ではなく、公開こそが信頼回復の道
行政が信頼を取り戻す唯一の道は、
隠すことではなく、明らかにすることである。
防災工事の名を借りた不正が繰り返される限り、
県民の安全も、税金の正義も守られない。
広島県庁は、今回の通報を「組織防衛の脅威」と見るのではなく、
「行政倫理を立て直す機会」として受け止めるべきだ。
膿を出し切る覚悟が、いまこそ問われている。
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さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男