2026/8/3
産業労働常任委員会の管内調査として、豊岡市にある東海バネ工業株式会社を視察しました。
まず、若手社員の平野さんから会社の概要をご説明いただき、その後工場を見学。最後に夏目社長と意見交換をさせていただきました。
同社は、「多品種微量生産」という明確な経営戦略と、都市部ではなく豊岡市に拠点を置く独自の人材戦略によって、高い収益性と安定した雇用を実現している企業です。地方における企業誘致や人材確保を考える上でも、大変示唆に富む事例でした。

1934年の創業以来、金属ばね一筋で事業を展開し、現在ではロケットから高層ビルまで、5分野26業種、約4,700社との取引実績を持っています。
最大の特徴は、多品種微量生産への徹底した特化です。
人工衛星に使われる直径3mmの極小ばねから、東京スカイツリーの制振装置に使われる巨大ばねまで、他社が敬遠するような手間のかかる特注品を受注しています。


かつては量産品も製造していましたが、欧州の職人の仕事に感銘を受けた前社長が、「値下げをせず、品質で勝負する」方針へ転換。価格競争から距離を置き、高付加価値製品に経営資源を集中したことが、現在の競争力につながっています。

さらに、職人の技術を機械化したスーパーコイリングマシン「YUKI」の開発や、30年以上前から進めてきた工場のIT化など、伝統技術と最新技術を融合した経営も印象的でした。こうした先進的な経営が評価され、2008年にはポーター賞を受賞しています。
かつては大阪に本社、伊丹市に工場を構えていましたが、バブル期には都市部での人材確保が難しくなることを見据え、豊岡市への工場移転を決断しました。
都市部のように就職先が多い地域ではなく、「地元で働きたい」という若者のニーズがある地域に拠点を置くことで、現在では人材確保に困ることはほとんどないとのことでした。
また、夏目社長は「即戦力は求めない。人は入社してから育てればよい」と話されており、完成された人材を採用するのではなく、自社で育成することを前提とした採用方針を貫いています。

同社では、人材こそが企業の付加価値の源泉であるという考え方が徹底されています。
社員教育施設「啓匠館」を整備し、職人技術の継承だけでなく、社内技能検定や財務教育、メンタルヘルス教育まで幅広い研修を実施しています。
また、絶対評価による人事制度やスキル手当、最大60日まで積み立て可能な積立有給休暇制度など、働きやすい環境づくりにも力を入れています。その結果、有給休暇取得率85%、育児休業取得率100%を実現しており、2022年には「日本でいちばん大切にしたい会社」中小企業庁長官賞を受賞しています。


今回の視察を通じて、豊岡市にこのような世界トップレベルの技術力と独自の経営戦略を持つ企業があることを、大変誇らしく感じました。
特に印象に残ったのは、「地方だから人が集まらない」のではなく、地域の特性を生かした経営戦略によって、人材確保を強みに変えている点です。
人口減少が進む中でも、地方には地域に根差して働きたいという人材が確実に存在します。企業誘致を考える際にも、単に立地条件だけではなく、人材供給のあり方を含めた地域の強みをどう生かすかが重要であることを改めて学びました。
産業労働常任委員会の管内調査として、大変有意義で、多くの示唆を得ることができた視察となりました。
<関連リンク>
東海バネ工業株式会社
https://www.tokaibane.com/
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