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【人口減少、地域課題を新しい価値創造へ―熊本大学とYAMAGABASEを視察〜熊本県視察報告】...

2026/7/14

【人口減少、地域課題を新しい価値創造へ―熊本大学とYAMAGA BASEを視察〜熊本県視察報告】

7月14日、北海道議会「人口減少問題・地方分権改革等調査特別委員会」の道外調査で、熊本大学と山鹿市のYAMAGA BASEを訪問しました。

熊本大学では、金岡省吾教授から、「地域未来創造塾」をはじめとする地域連携戦略について伺いました。

特徴は、座学だけで終わらず、実際に地域へ入り、現場で課題を知る実践型の学びであること。自治体、住民、企業、金融機関、大学が、人・もの・資金、そして活動のフィールドを持ち寄り、地域課題の解決と新たな事業の創出に取り組みます。

対象も大学生だけではありません。社会人のリカレント教育やリスキリング、高校生、小中学生へと学びを広げ、地域の課題に挑戦する「ローカルイノベーター」を育てています。

地域に「かっこいい大人」がいる。その姿を見た若者が、「地元って面白い」「地域のために働くことはかっこいい」と感じる。

さらに、地域を一度離れたとしても、心では地域とつながり、何らかの形で関わり続ける。観光客やふるさと納税だけにとどまらない、本当の意味での「関係人口」を育てる視点が印象に残りました。

私からは、自然環境や生物多様性、地下水など、市場価値としては見えにくい環境の価値を、「共通価値の創造=CSV」にどう組み込んでいくのかを伺いました。

金岡先生からは、熊本において水環境の保全は、地域づくりや産業、人材育成を考える上での大きな土台になっているとのお話がありました。

地域資源を活用するだけではなく、その基盤となる環境を守ること自体が、持続可能な地域づくりの前提である。この点は、北海道にも通じる重要な視点です。

ちなみに「地域未来創造塾」は、北海道ではまだ開催されていないとのこと。基本的には基礎自治体を対象に、地域の企業、行政、金融機関などとの共創で取り組むそうです。

ご関心のある自治体はありませんか?

続いて訪問したYAMAGA BASEは、1992年築の旧千田小学校を再生し、イノベーション、農観光、教育などの拠点として活用する取組です。創設者の中原さんから、これまでの挑戦と、直面している課題について率直なお話を伺いました。

全国では廃校が毎年約450校発生し、過去20年間の累計は8,850校に上るとのこと。しかし、公費を投入して改修しても、その後の運営が続かず、突然閉鎖に至る事例もあります。

建物を再生するだけではなく、継続できる事業と運営の仕組みをどうつくるのかが問われています。

YAMAGA BASEでは、スピード感のある事業展開と補助制度の活用を考え、賃貸ではなく、建物を買い取る方法を選びました。

ところが、行政物件特有の「未登記」という問題に直面。本来、所有者側で行われるべき登記手続きを、費用を抑えるため自ら法務局へ通い、およそ5か月かけて完了させたとのことでした。

さらに取得後には、登録免許税、不動産取得税、固定資産税などが発生。約2,000万円の建物取得価格に対し、土地・建物の評価額が大きいため、税負担が非常に重くなったとの説明もありました。

地域再生や公共的な廃校活用を目的とする取組であっても、一般の不動産取得と同様の制度が適用されます。

地域のために廃校を引き受ける民間事業者が、未登記の処理や取得後の税負担まで背負わなければならない現実は、今後の廃校活用を考える上で、大きな制度的課題だと感じました。

そうした負担を抱えながらも、YAMAGA BASEでは、できる限り運営を軽量化する工夫が重ねられています。

一部施設はQRコードで開錠でき、正社員やパート、アルバイトを常時置かず、無人でも利用できる仕組みを導入。維持管理費と人件費を抑えながら、24時間365日の利用を可能にしています。

また、季節によって異なる農業や観光などの仕事を組み合わせる「特定地域づくり事業協同組合」を設立し、マルチワーカーを地域内の事業者へ派遣しています。

2023年6月以降、9名のUIJターン移住者を採用。臨床検査技師、元高校教員、元銀行員、僧侶、自営業者、メーカー勤務など、多様な経験を持つ人材が山鹿へ移り、多くが地域に暮らし続けているとのことでした。

一方で、一つの会社だけで運営する軽量モデルには、営業やマーケティング機能の不足、代表者への属人化、事業の拡大が難しいことなど、限界も見えてきたそうです。

そこで現在は、「一企業の志」だけに依存するのではなく、行政、大学、企業、地域住民などが役割を分担する「実行型コンソーシアム」への移行を目指しています。

午前に訪問した熊本大学とも、「未来創造塾」の開催などを通じてつながっています。

熊本大学で伺った「共創」と人材育成の考え方が、山鹿では、廃校活用、移住、雇用、農業、観光、教育を結びつける具体的な実践として、厳しい課題に直面しながらも動き始めています。

ただ、お話を伺いながら、もう少し、この挑戦を社会全体で応援する具体的な仕組みがあってもよいのではないか。代表個人が背負う責任が、あまりにも重いのではないかとも感じました。

人口減少対策は、失われるものを補い、若者を地域に引き留めることだけではありません。

一度外に出た若者が地域に帰り、「ここで挑戦したい」と思ったとき、その挑戦を応援できる地域であることも大切です。

地域にある課題と資源を改めて結び直し、挑戦する人を育て、地域の内外から人や企業が関わり続けられる仕組みをつくること。そして、その土台にある自然環境や地域の暮らしを守ること。

同時に、志ある民間の挑戦に、登記や税制、維持管理などの制度的な負担を過度に背負わせない仕組みも必要です。

北海道でも、地域の貴重な歴史資料を保全しているNPO法人の方から、もともとの施設が雪で壊れ、新たな施設を取得した際の税負担などについて、ご相談を受けたことがあります。

今回の視察を通じ、その相談を改めて思い出しました。

北海道でも、これから廃校をはじめ、使われなくなる公共施設が増えていくことが予想されます。その活用のあり方とともに、地域のために施設を引き受け、挑戦する人たちを阻む税制や制度上の不具合がないのか。改めて調べ、必要な改善につなげていきたいと思います。

北海道の人口減少対策、地域人材の育成、そして公共施設の活用を考える上で、多くの示唆をいただいた一日となりました。

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著者

広田 まゆみ

広田 まゆみ

選挙区

札幌市白石区

肩書 北海道議会議員/NPO推進北海道会議理事
党派・会派 立憲民主党

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