2024/2/1
ある日、見知らぬ若い男性が訪ねてきた。幼時に別れた父親に会うべきか迷っているという。実家に戻った母は再婚し、祖父母の元で育てられた彼は20年以上父親とは会っていない。しかし、祖父が亡くなる間際に、ずっと取ってあった何十通もの父からの書留を渡してくれた。どの手紙からも自分を思ってくれる気持が切々と伝わってきた。
「今頃連絡すると迷惑かもしれない」と逡巡する彼の背中を押した。
後日、父と再会し、結婚式にも出てもらったと報告が届いた。
中学生になったばかりの女の子も来た。小学校の仲良しグループで「Aちゃんちは父子家庭やろ。なんでお母さんがひきとらんかったんかな。ふつうはお母さんが引きとるんやとうちのお母さんが言っとったで」
「お母さんは私が嫌いだったのかな」Aちゃんは悩んでいた。
「この国はね、結婚や出産というとてもうれしいことと引きかえに女の人が仕事を続けられない状況があってね、お母さんは一緒に暮らしたくても経済的に厳しい暮らしより、お父さんと暮らしたほうがAちゃんにとっていいと、悩みぬいた末に決めたんだと思う。」
Aちゃんは思いきって父親に「お母さんに会いたい」と訴え、その後、面会交流が続くようになった。
この二つのケースだけでなく、多くの子どもたちが親の離婚で会えなくなった、離れて暮らす親に会いたい思いを募らせるのを見てきて、私は離婚後の面会交流を子どもの観点から積極的に推進すべきだと運動し、アンケート調査も行なったが、面会交流をしていないケースの理由には、相手の借金、養育費の不払い、再婚、子どもへの無関心、暴力、親の反対等があった。
この面会交流と密接に関わる共同親権の導入が今般、法制審議会の部会でまとまった。DVを受けて別居している女性たちからの反対が根強く、共同親権は強制ではなく、選べることになった。
どんな形であれ、子どもの立場、子どもの声が活かされ、子どもの福祉が一番に考えられるようなケースが増えるといいと思う。ただ母子家庭の厳しい貧困状況を思うと、国が養育費をまず立てかえて、父親からは国がとりたてるべきではないか。
面会交流のアンケート調査では、フルタイムで働いて収入があり、別れた夫から養育費もあるケースでは面会交流率が高かった。
経済的余裕は精神の落ちつきも生み、子どもの利益も考えられるようになるのだ。
離婚と子どもについての円より子の本
「ママの離婚」(ちくま文庫)
「円テーブルの家族」(文化出版局)
「離婚の子どもレポート」(フジタ)
「子どものための離婚講座」(有斐閣選書)
翻訳「子どもが書いた離婚の本」(コンパニオン出版)
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