2022/12/8
保育園での保育士による虐待事件には、子どもを預けている働く親たちは愕然とし、不安になったのではないでしょうか。
私も生後4ヶ月から娘を保育園に預けて働いてきました。綱渡りのような生活を支えてくれたのが保育士さんたちで、感謝しても仕切れないほど。だから、大半の保育士さんたちは、人手が足りない中でも、必死で子どもたちを守ってくれていると信じています。
今回の事件の裏に何があるのか。
「保育園落ちた、日本死ね」との衝撃的な、一人の母親の告発を受け、待機児童問題はかなり解決したと思われていますが、実は保育園はもっと重要な切実な問題を抱えています。
私の住む地域でも小さな保育園がいくつもできて、子どもたちが保育士さんと散歩に行く姿を毎日見かけます。
園庭がないから、近くの公園に遊びに行くようなのですが、広い公園など近くにないことも多い。
娘を保育園に入れていたのは35年も前のことですが、運動会も十分できる広い園庭があり、保育室も広々として、子どもたちは部屋の中でも走り回っていました。住んでいたアパートの部屋は狭く、走り回るどころではない。広い保育園で思う存分体を動かしているだろう娘を想像すると楽しかったし、ありがたいと思ったものです。
その頃、ハンド・イン・ハンドの会という離婚女性の会を主宰していて、最盛期は全国に5,000人の会員がいました。月に2度集まって話し合っている中で保育園の先生が忙しすぎて、子どもを十分にみてもらえないという話になり、地域によって、公立の保育園でも保育士の数、部屋の広さなどばらつきが多いことがわかりました。娘の通っている保育園は、全国の水準をずっと上回っていて、それが当たり前と思っていた私は不明を恥じました。
調べてみると、何歳児には何人の保育士、子ども一人の広さは何平米といった基準を国は設けていますが、これは最低基準で、東京都はそれより子どもにとってより良い基準を作り、さらに娘の保育園のある渋谷区は保育士の数でも広さでも東京都の基準をかなり上回っていることがわかったのです。
働く親にとっては保育園に入れるか、それも、通勤にあまり支障のないところに通わせられるかはもちろん大事ですが、何より、子どもにとって安全で快適な居場所であることが大前提です。
子どもの数が減る中で、保育環境にはますます力を入れるべきなのに、昨今の保育事情は35年前の娘の頃より悪くなっているような気がします。
園数だけは多くなったが、待機児童を無くすことに必死で、子どもの成育環境にまで思いが及ばないのではないか。
保育士さんたちはそれは熱心に子どもたちの世話をしてくれているが、子どもの数に対して保育士が少ないから、ゆったり話を聞くこともできなければ、はぐれた子どもがいても気づけず、ひやっとすることも度々だと言います。
収入も低い。子どもが好きで、保育士になりたくてなった人が多いのに、離職する人もあとを絶たないとか。
そうした事情が、今回の虐待事件につながってはいないか。
最近は共働きの妻のいる国会議員も増えてきたようですが、私が国会議員になった頃は、妻は専業主婦という人が多かった。もちろん、国会議員の妻の仕事は大変で、夫は東京永田町にいるが、妻は地元で冠婚葬祭から選挙まであらゆる仕事をこなしていて、夫より大変な立場で、彼女たちを専業主婦とは一概に言えないかもしれませんが、たいていは子どもたちを幼稚園には入れても保育園に行かせる家庭は少なかったように思います。そして、夫の国会議員は保育園に行く時、オムツやタオル、着替えなどかなりの荷物を抱えて行くことも、朝は体温を測ってから行かせることも知らない人が大半で、働く親のことに理解が及ばないようでした。
企業内保育所を整備して、会社まで連れて行けばいいと、保育所不足の解決法を誇らしげに唱える人がいましたが、通勤のバッグに子どもを抱いて、大荷物を持って、通勤ラッシュに乗れると思う?という女性たちの苦言に唸っていました。
物価高だけでなく、保育の現場のことも、住まいの狭さも、教育費に汲々としていることも、おじさん政治家たちは知らなさすぎるのではないでしょうか。
これでは、いつまで経っても、子どもを安心して育てられる社会にはならず、少子化は進む一方でしょう。
LBGTや障害を持つ人たちへの差別発言を平気でするような議員を閣内に入れる感覚もどうかと思いますが、この杉田という人は、保育園についても「保育園や学童保育はコミンテルンや共産党が日本を弱体化させるために仕組んだ施設」といった発言をしていたことで知られています。
女性は働くな、子どもは四六時中、女がみるべきとでも考えているのでしょうか。杉田政務官だけでなく、案外、今もこうした考えの人が多く、それが、保育環境を改善できない理由のようにも思えます。
保育環境の改善だけでなく、長時間預けなくて済むように、子どもが幼いうちは短時間勤務ができるような就業体制も早急に整えるべきです。
非正規雇用の両親や一人親でも、子育て期間は短時間労働でも食べていけるような補助が必要だし、子育てにはど〜んと予算を投入すべきでしょう。
少子化が予想以上に進んでいます。産めなくても育てたい人が育てられる環境も早急につくるべきです。
里子、養子、赤ちゃんポスト等々、できることはたくさんあります。
まずは、結婚したい、子どもも欲しい、でも収入が低過ぎてという若者たちに安定した仕事と収入の保障も必要です。
子どもたちの未来のためにこそ政治は頑張るべきです。
防衛費の増大より、子育て費用の倍増をして欲しいですね。
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AIと人間の未来
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