2022/10/27
テニスファンならセリーヌ・ウィリアムズが引退する直前に「男女の差」に言及したことを聞いていると思います。
「私はテニスと家族のどちらかを選ぶなんてしたくなかった」と。
彼女には5歳の娘がいて、一緒に過ごす幸福についても語っていますが、同時にもう一人子どもを産み育てるつもりなら、とてもプロのテニス選手を続けられないと感じたらしいのです。
同時期に引退したロジャー・フェデラーが完全燃焼した感があったのとは対照的です。
女性も、仕事と家族の両方を持ちたい。でも、妊娠・出産・子育てがそれを阻む。
妊娠出産育児の間、仕事を休める制度は整いつつあるし、まわりのサポートも昔と比べれば格段に増えました。
それでもスポーツ選手やピアニストなど日々、鍛錬が必要な職業についている人にとっては、やはり妊娠出産はデメリットになってしまうようですね。
この1年、朝日新聞のweb論座の連載で、多くのスクール生に取材をしました。
ポスターを貼っていて破水した人や、2歳と乳飲み子を抱えての選挙で「死ぬ思いだった」人もいます。女性が選挙に出ること、議員の仕事をまっとうすることは、男性以上にエネルギーが要るかもしれません。
だからといって、女性が政治に関われないわけではありません。
議会もオンラインの出席で十分なこともあるだろうし、工夫をすればいいのです。
セリーヌだって、引退を示唆した後の全米オープン2回戦で世界ランキング2位を破りました。第2子を妊娠出産するかはわかりませんが、そうした後で、電撃復帰するかもしれないですよね。
エリザベス女王が逝去されましたが、その生涯のほとんどは英国と14カ国の英連邦王国に献げる人生だったと言っていいでしょう。夫も子どももいて、もちろん家族も大事にしたでしょうが、長男のチャールズ国王が、幼い頃から母であるエリザベス女王は不在が多かったといいます。責任ある地位にいることと、母親であることは、さまざまな工夫と努力をしてもなかなか両立しえないのです。
論座の連載中、多くの資料に目を通しましたが、そのひとつが私自身の30年の日記であり、それを見ていると、私が国会で超多忙な時は、必ず娘が発熱や下痢、休校をくり返していることにきづきました。今更ながら、娘に負担をかけていたことを反省せざるをえませんでした。
女性は確かに妊娠出産という、男性にはない体験がありますが、男性だって妻が支えてくれるからといって仕事一筋とはいきません。現在のように、女性も責任ある仕事につくようになればなおさらで、育休による職場とのあつれきに悩む男性もでてくるし、子どもの病気の時、妻と夫のどちらが会社を休むかでもめることだってあるでしょう。
責任ある地位や職業と妊娠・子育ての両立は女性にとって永遠の課題かもしれませんが、女性も男性も安心して子育てのできる環境を社会全体で工夫しつくりだしていかなければ、いつまでたっても少子化はとまらないのではないでしょうか。
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リケジョが増えない原因
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第14話 ジェンダーバッシングやバックラッシュにめげない世代が日本を切り開く
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