2025/3/4
スマホの無かった頃、新宿アルタ前で待ちあわせた人は多かったが、私にとっても思い出の場所だ。今年は都議選と参院選がある。どちらも暑い夏の選挙だ。
2004年の夏も暑かった。私は3期目の参院選で、円より子という名前を全国で10万人以上の人に書いてもらわないと勝てないという選挙で、連合の支援団体など一切持たないから厳しい選挙だった。全国をまわる組織も人も資金もない。
そこで考えたのが、1日の乗降客数350万人といわれる新宿駅のアルタ前での「定置網方式」選挙だった。歩行者天国になる日曜日、アルタ前に1日中街宣車をとめて、その前でリレー方式で次から次へと演説をする。その演説には昨年亡くなった赤松良子元文部大臣や、樋口恵子さん、萩尾瞳さん、湯川れい子さんら著名人の友人だけでなく、全国の女性のための政治スクール生たちが駆けつけてくれ、さらに友人の講談師宝井琴桜さんは沙の着物姿でバンバンと威勢よく講談を演じてくれたし、シンセサイザーで作曲家の友人故深町純が演奏もしてくれた。
37度をこえ、地表は40度近い熱気の中、通りがかりの人々は座りこんで深町君の演奏を聞いてくれた。琴桜さんの講談も拍手喝采だった。
運転手やウグイスさんは「本当に1日、何もしないでいいんですか」と恐縮した。
時に、他党の候補の車がくると、もちろん演説をやめてその場を譲り、伊勢丹まで「桃太郎」という練り歩きをした。
「あら、円さんだわ、こんなところで何してるの」と通行人にいわれ「選挙なんです。制度が変って円より子と書いてもらわないと、参議院の比例でも当選しないんです」と説明すると、「まあ、そうなの、知らなかったわ」。そう、ほとんどの人が制度の変更を知らなかった。
それでも楽しい選挙だった。大学生の娘が浴衣姿の友人たちを連れてきてくれ、みんなでビートルズのイマジンを歌ったりした。
音楽や講談の力は強かった。強力な日射と灼熱の猛暑の中、疲れた顔の人々の足をとめ、穏やかな眼差しに変えたのだから。
定置網方式はその後できなくなり、そして新宿アルタも2月末に営業を終えた。
選挙の方式はYouTubeなどすっかり様変りした。それどころか品位のないポスターや他陣営への妨害などまでおきている。この夏の参院選はどうなるのだろうか。
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