2026/4/29
ずっとこのことを書きたいと思いつつ、書けずにここまで来てしまった。ゴールデン・ウィークに、博物館や美術館を訪れようという方も多いことだろう。
現在、国立の博物館などは、独立行政法人によって運営されている。実は今年3月、文化庁が、これら国立の博物館や美術館の運営に対して収支均衡を目指す「数値目標」を定め、2030年までに達成させようとしているという。
各法人の来館数を昨年度比1.3〜3倍に増やすこと。また展示事業費の入館料やグッズ販売などを2030年度には65%以上にする。(現在は、各法人ともこの数値より10%程度下回っているという。)
館ごとに評価し、国立科学博物館以外の館が、2029年度時点で40%を下回るなどした場合には、閉館を含めた再編の対象となり、次々期の中期計画に具体的な内容を明示し実行させるとしている。
こういった目標を達成するために、外国人観光客に割高となる「二重価格」の導入や夜間開館なども進めるという。これらは、国費依存への意識を改革するためだという。
この国は、いつから文化に予算を出すことを渋るようになったのか?
この国は、いつから過去の文化の営みを「金儲けの種」にするようになったのか?
貧すれば鈍するとは、このこと。
TOHAKU OPEN PARK PROJECTをご存知だろうか?
東京国立博物館開館100周年にあたるプロジェクト。その中で、東京国立博物館前の人工池を芝生に変えて、ここでコンサートやビアガーデンを行うという提案が示された。この提案に、「かなり多くの」反対意見が寄せられた。
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2731
「この人工池の部分を再び人工池に戻せるよう体躯や基礎は残しつつ」も、やっぱり芝生にするのだそう。常設のイベント会場にはしないとのこと。
この人工池は、東京国立博物館の前に位置し、館と一体のものとして設置され、その「静けさ」を含めて日本文化を体現する空間をつくっていると思う。そこで、ビアガーデン?
空間があったら、そこでマルシェだとか、ビアガーデンとか、コンサートだとかやろうなんて、どこかの自治体と同じ発想だが、薄っぺらい。
私は、学生の頃から、ヨーロッパを旅しては、各地の博物館を見学してきた。ドイツの「アルテ・ピナコテーク」「ノイエ・ピナコテーク」(両美術館ともに、現在では入場料を徴収しているようだ)、イタリアの数々の博物館。特別展は有料だったこともあったかもしれないが、基本的には、この素晴らしい文化・美術に、無料で対面することができた。
自分たちの文化的営みで金儲けしない。自分たちが生きる生活の中に文化やその創造が「当然に」存在する。だからこそ、自分たちの税金の中から、これを維持し支援することは当然だということだろう。加えて、多くの実業家たちの寄付もあることだろう。若かった自分は、「これがヨーロッパの豊かさだ」と感動しながら、館内を見尽くしたことを思い出す。
博物館や美術館は、これまでの素晴らしい作品の数々を保管し、研究し、共有する場である。その時々の時代の移り変わりやブームに翻弄されることなく、その作品を共有し、問いかけるものでもあると思う。
その意味で、キュレーターたちの思考や挑戦といったものは大歓迎だ。しかし、その評価が、単に「数値」、入館数やグッズの販売額で測られてはたまらない。
この国の文化庁はどうしてしまったのか?
文化庁長官は、過去には青柳先生など、素晴らしい一流の人たちが歴任してきた。文化庁長官の人選を間違ってしまったか。
国の予算の使い方を間違っていないか?
金、金、金。
数字だけでしか評価できない、この国の「薄っぺらさ」を映した結果なのか。
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