2026/5/6
武雄アジア大学の大幅定員割れに端を発して、学校法人旭学園のキャッシュ(現金)はいつまで持つのか。
大手会計・税務ファームのパートナー税理士からも、「学校法人旭学園の財務状況は、早ければ本年度中に運転資金が枯渇してもおかしくない水準」との指摘を受けた。
それもあって、改めて旭学園の財務状況を整理してみた。
まず、旭学園が公表した令和6年度事業報告書を見ると、武雄アジア大学が本格稼働する前から、すでに法人の財務は危機的状態だった。
旭学園の令和6年度事業報告書、8ページ「短期大学 2 中期的な計画 4 財務」には、こう書かれている。
「入学者減による学生生徒等納付金の減少等による赤字が継続しており、資金収支での黒字化が最大の課題」
さらに、短大の収容定員未充足による学生生徒等納付金の低迷、補助金の減額により、資金収支での赤字額が増加したとも記載されている。
実際、令和6年度末の翌年度繰越支払資金(年度の終わりに手元に残った、翌年度の支払いにあてられる現金・預金)は約6億6579万円。前年は約7億7717万円。1年で約1億1138万円も減少している。
また、学校法人の本業である「教育・研究活動」から生じた現金収支の過不足を示す指標教育活動資金収支差額もマイナス5423万円。現金収支が赤字だったことも明らかだ。
もっと深刻なのは、経常支出に対して実質的な余裕資金がどれくらいあるかを見る「運用資産余裕比率」だ。旭学園の運用資産余裕比率は0.3年。全国平均は1.7年。つまり、旭学園には約4か月分しか余力がない。積立率も25.0%で全国平均64.9%を大きく下回る。つまり、貯金も乏しい状況で、将来の施設更新や退職金に備える余力も薄い。
さらに、収入構造も弱い。学生生徒等納付金比率は41.9%。全国平均55.4%を下回る。一方で、経常費補助金比率は48.1%。全国平均31.0%を大きく上回る。
旭学園の令和6年度事業報告書22ページ「経営状況の分析」にも、全国平均に比べて国・県補助金への依存率が高く、国等の補助金政策の動向に影響を受けやすいと書かれている。
つまり、元々、自前で稼ぐ力が弱く、補助金に頼る法人なのだ。
そこに、武雄アジア大学の開学がさらに重荷になる。
入学定員140人に対し、一期生は37人。入学金25万円は全額キャッシュバック。授業料も全額から6割の値引き。
これでは、学生が37人いても、大学の実入りはほぼない。一方で、出ていくお金は止まらない。
教員や職員の給与、校舎の維持費や光熱費、広報費、学生募集費、システム費、建設関連の支払い等、学生が少なくても、大学として動かす以上、固定費は毎月発生する。
さらに重いのが、大学設置そのものにかかった初期投資だ。武雄アジア大学の総事業費は約36億円。資材価格が高騰していた時期に計画・発注されたことで、建設費は高止まりした。そのうち、武雄市と佐賀県からは約19.5億円の公金が投入されたが、残りは旭学園側の持ち出しだ。自己負担は約16.7億円に上る。
しかも、建てて終わりではない。校舎ができれば、今度は維持費がかかる。光熱費もかかる。初期投資が重く、運営費も重い。
経費はかかる。しかし授業料収入はほとんど入らない。これがキャッシュアウトの構造だ。
旭学園監事の監査報告書に添付された財産目録では、令和7年3月31日時点の現金預金は約6億6579万円。一方で、建設仮勘定は約9億118万円にのぼるほか、長期借入金と短期借入金を合わせた借入金残高は3億2500万円となっている。
武雄アジア大学と武雄市は「来年は入学者200人を集める」と言う。
では、その原資はどこにあるのだろうか。200人を集めるには、今年以上に広報費、募集費、奨学金、学費減免が必要になる。来年度募集は、資金繰りの改善策である前に、追加の現金支出となる。もともと本業で現金を生めていない。手元資金は1年で1億円以上減っている。これで法人の財布が安全だと言う方が無理がある。
なおさら、令和7年度の決算に注目したい。武雄アジア大学の問題の根幹は中身云々以前に、法人の財布が持つのかという経営の実情だ。旭学園の財務はかなり危険な状態にある。




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