2026/1/14
年明け早々、香港と中国・深圳へ。
「えっ、このタイミングで?」と色々聞かれましたが、目的のひとつは、現地で実際に自動運転タクシー(ロボタクシー)に乗ってみることでした。
深圳のロボタクシーは実証実験の段階ではなく、商業利用のレベル。自動運転が、すでに日常の中にありました。
ちなみに、深圳だけが特別というわけではありません。
ロボタクシーのシステムを支えているPony.aiは、深圳、北京、広州、上海といった中国の主要都市で、一般の乗客が実際に利用できるロボタクシーを展開中です。Pony.ai全体では、900台超のロボタクシーが運用されているそうです。
深圳で走っているロボタクシーの車両(現在は第7世代)は、GAC Aion の量産EVがベースです。
街中で普通に走っているEVにPony.aiの自動運転AIとセンサー群が載っている、という構成。ちなみに GAC Aion は、中国の大手国有自動車メーカーである広汽集団(GAC)のEV専業ブランドで、個人利用だけでなく、業務用車両としても広く使われています。自動運転の仕組みとしては、高精度な地図や過去データを事前学習した上で走行中は周囲の車や人などをAIが常に観察し、先を予測しながら判断して走るというものです。
さて、乗車の感想です。
まず、深圳のロボタクシーは、どこでも自由に乗り降りできる仕組みではありません。あらかじめ定められた乗降ステーション(感覚的には300メートル間隔くらいの設定)を選んで乗車します。
正直に言うと、アプリは深圳の土地勘がないと使いづらい。
どこでも乗降できるわけではないため、目的地のモール名や飲食店名を入れても、最寄りの乗降ステーションを自動で提案してくれる設計にはなっていません。住所や位置関係を見ながら、「この目的地なら、このステーションかな」と当たりをつける必要があります。実際、一度「このモールの近くだろう」と思って行き先を設定したところ、似たような住所の1.2kmほど離れたステーションに案内されました。
アプリ内の地図に表示されているステーションの配置を見て、「ここは目的地に近い」「ここは違う」と判断できる程度の土地勘がないとかなり戸惑います。しかも、アプリ内の地図とGoogleマップを並べて「この辺りかなあ」と見比べても、今度はGoogleマップの精度が今ひとつで、なかなか大変でした。
もう一つの発見は、モールや飲食店など、もともと有人タクシーが多く集まる場所の周辺には、あえてロボタクシーのステーションが設けられていないこと。そのため、モールに行くなら、有人タクシーの方が早く、近くまで行けるのが実情です。ロボタクシーと有人タクシーのせめぎ合いのような背景があるのかな、と想像しました。
次に、乗り心地。これは文句なしに良い。
急発進、急停車、急ハンドルはほとんどありません。周囲の車や人、物の動きを把握しながら、先を読んで走っている感じが伝わってきます。滑らかで、静かで、身構えなくて済みます。有人タクシーにも敢えて2度ほど乗りました。めちゃくちゃ飛ばしてくれるので速いのですが、運転は……。
ロボタクシーの設計思想は、極めて安全優先だと感じました。
前方に、客待ちで挙動が読めないタクシーがいたり、工事現場を回避する場面では、「そこまで減速するのか(ほぼ止まるぐらい)」と思うほど慎重になります。
面白かったのは、車内の安全対応が車ごとに微妙に違っていた点です。ある車では、シートベルトを締めたことを車内タブレットで確認ボタンを押さないと走り出しませんでした。一方で、乗車確認後すぐに走り出し、途中でコールセンターから「シートベルトを締めてください」と遠隔で注意が入ったケースもありました。
事故が起きがちな乗降時の仕様も、よく考えられていました。
まず乗車時。自分が呼んだ車かどうかはナンバーで確認します。乗車時は、配車アプリを操作したスマホとBluetooth連携し、近づけば基本的に自動で解錠されます。
降車時は、停車してもすぐにはドアは開きません。周囲をモニタリングし、後方からバイクや車が来ていないことを確認したうえで、30秒ほど経ってから解錠される仕組みです。危険なポイントをきちんと押さえた設計だと思いました。
決済は乗車完了後にAlipayで。ロボタクシーに対しても評価をフィードバックする星付け画面が出てきます。
車内のエンタメ化も進んでいます。空調の設定だけでなく、運行状況のリアルタイム把握や、BGMの選択、音量調整なども、車内のタブレット端末で操作できます。単なる移動手段というより、移動空間そのものをどう使うか、すでに次の段階を見ている感じがあります。
今回、都市が無人運転を「日常の仕組み」として使っている様子を実体験したわけですが、車を持たない人たちも、快適に自由に移動できるようになるというドラスティックな変化を考えると、自動運転は、地域で移動の足に困っている人たちを救うツールとしても活躍の場があると改めて感じた次第です。












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