2025/6/12
今日は高槻市議会の総務消防委員会があり、2つの議案について質問をしました。
公示送達をネットでも行うというのですが、債権の回収率が上がるのか、私は疑問に思います。率がほとんど上がらないのであれば、滞納者の個人情報がデジタルタトゥーになる可能性が高まるだけではないのでしょうか?
以下は今日の委員会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので、不正確な部分もあることをご了承ください。
■議案第47号 高槻市市税条例中一部改正について
<1回目>
公示送達の電子化について質問します。
資料によると、地方税法等の一部を改正する法律に基づいて、「住所等が不明で市税の書類を送達できない場合に、市の掲示場に掲示することにより行っている公示送達について、公示事項を市のホームページに表示するとともに、市の掲示場に掲示し、又は市の事務所に設置した電子計算機の画面に表示することで行う。」ということです。まず5点伺います。
(1)国は、公示事項を市のホームページに表示することによって、どういった効果を狙っているのでしょうか?回収率が高まると考えているのでしょうか?国ではどういった議論がされたのでしょうか?お答えください。
⇒改正前の税法における公示送達制度は、公示事項を記載した書面をその行政機関の掲示場に掲示して行うこととされていたため、行政機関に赴かなければ、その送達すべき書類の内容の確認が困難であり、課題とされておりました。納税者の利便性を向上し、公示送達を合理化する観点から、税についてインターネットを利用する公示送達の方法が導入されました。
(2)「市の事務所に設置した電子計算機の画面」にも表示するということですが、具体的にはどこに設置された画面に表示されるのでしょうか?場所をお答えください。
(3)対象は市税だけなのでしょうか?他にも対象となるものがあれば、お答えください。
また、市税以外のものも、公示事項を市のホームページに表示することができるのでしょうか?お答えください。
(4)公示事項の公表は、いつまで行われるのでしょうか?期限があるのであれば、お答えください。
(5)事前の説明では、今後、市において、各部署と調整するということだったのですが、どういったメンバーで、どのように、何を調整するのでしょうか?お答えください。
⇒2点目から5点目についてですが、条例改正の施行日以後は、本市ホームページ上に公示事項を掲載するとともに、インターネットの利用に通じていない方へ配慮し、引き続き掲示場への掲示を行ってまいります。
今回の法改正については市税が対象ですが、これにより地方税の例によるとされているものについても影響があります。
市税の公示事項については、施行日までの間に、プライバシーに配慮しつつ、適切な手法等を検討してまいります。
<2回目>
(1)これまで、公示送達後に、債務者が自主的に支払った件数はどれだけあったのでしょうか?全体の件数と割合も併せてお答えください。
⇒公示送達案件に限った収入率は把握しておりません。
(2)公示送達というのは、債務者に連絡がとれないからされるのだと思いますが、市のホームページに公示事項を表示すれば、どれくらいの方と連絡がとれるようになると、国や市は考えているのでしょうか?お答えください。
⇒ホームページに公示事項を掲載することにより、不特定多数の方に広く情報が公開されることで情報へのアクセスが格段に向上することになると考えられています。
なお、公示送達とは、公示事項を掲示することで送達効果を生じる制度であり、具体的な人数は想定しておりません。
(3)地方税の例によるとされているものについても影響があるということですが、具体的には、どういったものなのでしょうか?お答えください。
⇒例えば、国民健康保険料や介護保険料、後期高齢者医療保険料については、公示送達について地方税法を準用する規定があります。
(4)市のホームページに公示事項を表示すると、容易にそのデータがコピーされて、いわゆる「デジタルタトゥー」になることも懸念されます。かといって、その方の名前で検索できなければ、ネットに公開する意味がありません。
こうしたことについては、どのようにお考えでしょうか?お答えください。
⇒市税の公示事項については、施行日までの間に、プライバシーに配慮しつつ、適切な手法等を検討してまいります。
<3回目>
あとは意見を述べます。
ご答弁によると、市税を滞納している納税者などが、わざわざ市役所の掲示板等を見に来なくても、ネットで見ることができるようにする、つまり、納税者の利便性の向上のために、インターネットを利用する公示送達の方法が導入されたということです。
けれども、公示送達に至るまでには、納税通知書や督促状等が送付されていて、その送付先が確認できない・行方不明だから、公示送達がされるわけです。
督促状等を受け取らない、受け取れないケースというのは、海外に居てうっかりしていた場合や、踏み倒してやろうと故意に受け取らない場合もあるかと思いますが、DVの被害者など、やむをえない事情で夜逃げをしているようなケースもあるのではないでしょうか。ネットでの公示送達は、そのように、やむをえない事情で夜逃げをしているような方の立ち直り・生活再建を阻むおそれもあると思います。
そうだとすると、ネットでの公示送達で、自分の名前が、滞納者だとして、これまで以上に広く公開されることについては、ご答弁のように、利便性が向上したと感じる人よりも、懲罰的だとか、デジタルタトゥーになって生活再建を困難にするのではないかと不安を感じられる方のほうが多いのではないでしょうか。
公示送達ではありませんが、公職選挙法第101条の3第2項では、選挙管理委員会は、選挙の当選人の住所及び氏名を告示しなければならない、と定められていまして、選挙後には、市長や我々議員の住所・氏名も、市役所の掲示板に貼り出されるなどしています。
我々議員の住所については、掲示板に貼り出されるだけではなく、市のホームページでも公開されてきましたが、個人情報保護の観点から、一部公表や非公表も選択できるようになりました。
市役所の掲示板に貼り出されている情報を、ネットで公開すれば、便利になるものも多々ありますが、我々の住所のように、配慮をすべきものもあるということです。
ネットで公示送達をすることによって、債権の回収率がものすごく上がるのなら、市民全体の利益になるとも考えられますが、現行の公示送達による収入率については把握していないというご答弁でしたので、比較をしようにも、現状では、比較対象がないわけですよね。
今後、適切な手法等を検討するということですが、まずは、債権回収について、現行の公示送達の効果と、ネットで行った場合との差について、検証してください。実際のところ、公示送達をしても、ほとんど債権を回収できていないのではないでしょうか。
ネットでの公示送達による債権回収率の大幅な増加という市民全体の利益が、債務者のプライバシーの保護を上回るのであれば、実施してもよいと思いますが、ネットで公示送達をしても、債権の回収率がそれほど上がらないと予測されるのであれば、「破産者マップ」事件のようなことを容易にして、いたずらに債務者の個人情報をデジタルタトゥーにするだけですので、プライバシーの保護のために、実施しないでください。提案と要望をしておきます。
なお、この議案については、この条例に、日本将棋連盟の固定資産に対して、固定資産税等を課さないという定めがされてしまいましたので、賛成できないということを表明します。
■議案第48号 高槻市消防団員等公務災害補償条例中一部改正について
<3回目>
非常勤消防団員に係る補償基礎額の引き上げについて伺います。
基礎額だけ分かっても、実際にどれだけ支払われるのか分からないので、具体的な金額をおききしたいと思います。
質問原稿のうち、1回目・2回目のものは飛ばします。
アニメで長年放映されている「サザエさん」の磯野波平さんは54歳で、年収は約1256万円だとされています。妻は専業主婦のフネさんで、他の家族構成も皆さんご存知かと思います。
高槻市の消防団員として勤務年数30年の波平さんが、団長として、火災の対応のために出動し、火災現場において職務遂行中に死亡した場合、ご遺族には、何円が給付されることになるのでしょうか?お答えください。
⇒補償額につきましては、お示しの条件以外にも、遺族の様々な条件により算定が異なるため、具体的にお示しできません。
<4回目>
いろいろと条件があると算定が困難なようですので、極めて単純な例でおききします。
会社を早期退職したために、高槻市の消防団の団長としての収入しかなく、年金も受給していない、勤務年数30年の、63歳の団長の方が、火災の対応のために出動して、火災現場において職務遂行中に死亡し、ご遺族は、専業主婦の60歳の妻しかいない場合、何円が給付されることになるのでしょうか?お答えください。
⇒お示しの条件による補償額は、他の条件により変動はありますが、基本的に遺族補償年金として、1年につき、約250万円でございます。
以下はAIに質問した結果です。
いろいろな条件があるので一概に言えませんが、消防団員等公務災害補償等共済基金(消防基金)のサイトの内容からすると、だいたい合っているのではないかと思います。ケースによっては金額が大幅に違うかもしれませんので、詳細を確認する必要がある方は、消防基金等にお問い合わせください。
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高槻ご意見番 代表 北岡隆浩(高槻市議会議員)
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