鈴木 けんぽう ブログ

不登校支援は中学卒業で終わっていいのか~雲南市おんせんキャンパスに学ぶ高校生世代支援~

2026/7/3

渋谷区議会議員の鈴木けんぽうです。

島根県雲南市の教育支援センター「おんせんキャンパス」を視察しました。

 

おんせんキャンパスは、雲南市教育委員会と認定NPO法人カタリバが共同運営する、不登校・不登校傾向の子どもたちのための支援拠点です。廃校となった旧温泉小学校を活用し、学習、体験活動、相談、保護者支援、家庭訪問などを組み合わせながら子どもたちの社会的自立を支えています。

今回、私が特に注目したのは、施設の雰囲気やプログラムの豊かさだけではありません。

特に重要と感じたのは、小中学生の不登校支援と、高校生世代の支援が地続きにつながっていることです。

中学卒業後に生まれる「支援の切れ目」

不登校支援は、どうしても小中学生を中心に考えられがちです。区市町村の教育行政も区立小中学校があることもあって基本的には義務教育である小中学校が中心になります。

しかし、子どもの困難は中学卒業と同時に消えるわけではありません。高校に進学しても学校になじめない、生活リズムが崩れる、人間関係でつまずく、進路が見えなくなる、などはよくあることです。

ところが、中学卒業後は支援の制度的な線が切れやすい時期でもあります。多様な進路がある上に、教育、若者支援、福祉の所管が分かれて支援の接続が難しくなります。区市町村から見ると、高校生~若手社会人の時期は何もなければ成人式くらいしか接点がなかったりします。

つまり、高校以降は生活が大変になるにも関わらず助けてくれる仕組みが手薄なのが大きな課題となっています。

小中の支援と高校生支援が地続きのおんせんキャンパス

おんせんキャンパスでは、この切れ目を埋めるために、高校生世代を対象とした「ユースサポート」に取り組んでいます。

中学生の時におんせんキャンパスを利用していた子どもが、高校進学後も必要に応じてつながり続けられる。以前から知っている大人がいて、安心して戻れる場所がある。この意味は非常に大きいと感じました。

不登校支援の課題は、「学校に戻るかどうか」だけではありません。中学卒業後も、誰がその子を見守り続けるのか。ここが大きな課題です。

さらに重要なのは、利用者が「おんせんキャンパスの卒業生」だけではないことです。視察時に質問したところ、高校生世代の利用者のうち半数程度は小中学生時代に施設を利用していなかった子どもたちとのことでした。

つまり、これは単なる卒業生フォローではありません。高校段階で初めて困難が表面化した子どもも受け止めているということで、極めて大きな意義があると感じました。

高校生世代の居場所づくりは、各地で広がっています。中高生が自由に過ごせる施設や、学習支援、相談支援の取り組みもあります。

その中で、おんせんキャンパスの特徴は、不登校支援の延長線上で、高校生世代の孤立予防までつなげている点にあります。小中学生の支援と高校生の支援を別々に切り分けるのではなく、一人の子どもの成長の線として見ているのです。

これは運営にあたったカタリバ側から提案があり、導入したとのことでした。行政だとどうしても「中学生までは区市町村、高校生からは都道府県」という発想があります。こういう切り分けにとらわれず有効な提案をできるところに官民連携の意義がありますね。

高校生が「支える側」にもなる

もう一つ印象的だったのは、高校生が「支援される側」にとどまらないことです。

週2回の公式なユースサポート活動日以外にも、高校生が自発的におんせんキャンパスに来て小中学生の活動を手伝うボランティアをすることがあるそうです。

年下の子に教える。サポートする。ボードゲームなどで一緒に過ごす。

これは、単なる居場所以上の意味を持ちます。

学校生活の中で自信を失った子どもにとって、「自分も誰かの役に立てる」という経験は大きな力になります。高校生自身が役割を持ち、年下の子どもたちとの関わりの中で自己肯定感や社会性を取り戻していく。年下の子たちは先輩たちの成長を見て刺激を受ける。異学年だからこそそうした循環が生まれている点も非常に示唆的でした。
サポートを受けている高校生がボランティアに回ることの価値は非常に大きいと思います。

渋谷区でも「義務教育まで」で区切らない支援を

渋谷区でも、不登校支援や子ども・若者支援は徐々に進められています。一方で、義務教育終了後の高校生世代までを、どのように地続きで支えるかという視点はさらに強める必要があります。

中学卒業後も戻れる相談先があること。高校生が単に支援されるだけでなく、役割を持って参加できる場があること。学校、別室、地域の居場所を柔軟に併用できること。

こうした仕組みは、高校中退やひきこもり、社会的孤立を未然に防ぐうえでも重要でしょう。

不登校支援を小中学生の間だけで完結するのではなく、中学卒業後、高校進学後、そして進路に迷う時期まで、支援の線を切らないことが必要です。雲南市おんせんキャンパスの取り組みは、基礎自治体が高校生世代の孤立をどう防ぐかを考える上で、大きな示唆を与えてくれました。


補論:学校か居場所か、の二択にしない

もう一つ、今回の視察で考えさせられたのは、利用の柔軟性です。

不登校支援を考える時、つい「学校に戻るかどうか」に目を向けがちです。しかし、本当に大切なのは、子どもが自分で選んだ道を進むこと、そして子どもを孤立させないことだと思います。

学校に毎日通う。別室に通う。週に数回だけ居場所を利用する。長期休暇だけ利用する。高校進学後にまた戻ってくる。おんせんキャンパスはこういう自由度があります。

渋谷区でも、チャレンジクラス、けやき教室、オンライン支援など複数の選択肢はあります。一方で、子ども本人がその時々の状態に応じて柔軟に行き来できる設計には、まだ改善の余地があります。

高校生世代への切れ目ない支援とあわせて、子どもが自分の状態に合わせて選び直せる制度設計も考えていきたいと思います。

 

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著者

鈴木 けんぽう

鈴木 けんぽう

肩書 渋谷区議会議員
党派・会派 無所属

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