田中 としかね ブログ

地域公共交通条例

2024/6/3

 岐阜県岐阜市「地域公共交通条例」

 今回紹介するのは岐阜県岐阜市で制定された条例です。岐阜市は岐阜県の南部に位置していますが、濃尾平野の中では北端にあたります。市の北部には山林を有し、南部には市街地が広がっているという地勢になりますね。市内を横切るように、北東から南西にかけては長良川が流れています。すなわち、山から平野に出てきたところに形成される扇状地が、岐阜市の市街地を形成しているということになるのですね。市の中心部よりも川の水面の方が高いところにあるという「天井川」でもありますからね。長良川は「日本三大清流」の一つと言われていますよ。ちなみに残りの二つは、高知県の四万十川と、静岡県の柿田川です。岐阜県の県庁所在地および人口が最多(約40万人)の市で、中核市に指定されています。
 気候としては、概ね太平洋側気候の特徴に該当するのですが、特筆すべき点は、冬の降雪量・最深積雪量が関東以西の太平洋側主要都市では最も多いということでしょう。なぜ「雪」が多いのか?これは、日本海側にある若狭湾からの距離が、太平洋側の平野部としては比較的近くなっているからなのです。そのため、冬型の気圧配置となって強い寒気が流れ込んだ際、日本海側で発達した雪雲が山地を越えて流れ込みやすいということがあるのです。日本地図で地形の特徴を確認してほしいのですが、伊勢湾と若狭湾が内陸へ入り込み、さながら日本列島の「くびれ」のように見える部分に注目してみてください。日本最大の湖である琵琶湖も位置していますよね。この「伊勢湾―濃尾平野―琵琶湖―若狭湾」のラインは「中部沈降帯」と呼ばれていて、これらの地形は地殻の沈降によって形成されたものなのです。日本列島の「くびれ」は、「へこみ」でもあったのです。季節風が流れ込みやすいという特徴には、地形的な理由があるのですよ。
 そもそも「岐阜」という名前が生まれたのは、戦国時代にさかのぼります。「美濃を制するものは天下を制す」と評されるほど、戦略的な重要性を持つ土地でした。この地を拠点とした織田信長が、これまで「井ノ口」と呼ばれていた地名を、中国の伝説上の皇帝である炎帝が本拠としたとされる「岐山」と、孔子の生誕地である「曲阜」から一文字ずつとって「岐阜」と改名したと言われています。ですから岐阜の織田信長への愛着は根強いものがあるのです。JR岐阜駅の前には「黄金の信長像」が、また岐阜公園の正門前には「若き日の織田信長像」が設置されていますからね。秋には「ぎふ信長まつり」も開催されます。昨年は俳優の木村拓哉さんが信長に扮して武者行列を行ったことから、46万人(岐阜市の人口を超えている!)という観客を集めたことも話題となりました。信長の政治といえば「楽市・楽座令」が有名ですよね。安土の城下町の商工業者に対して、市場の税を免除して自由に取引をできるようにしました。1577年のことです。実はこれに先立つ1567年に、岐阜(美濃)では「楽市場」が認められていたのです。その当時の繁栄の様子を、イエズス会宣教師ルイス・フロイスが「古代バビロンの混雑を思わせる」と書き記しているくらいです。岐阜公園は現在、「信長公の鼓動が聞こえる歴史公園」として再整備が進められていますよ。また岐阜公園には、別の人物の銅像が設置されていることも覚えておきましょう。明治政府の藩閥政治を批判し、国民が選んだ議員からなる国会を開設すべきだ(「民選議院設立建白書」)と、主張した板垣退助の銅像です。「板垣死すとも自由は死せず」という有名な言葉が生まれたのが、ここ岐阜公園での遭難事件でした。自由民権運動が広まったのでしたね。
 そんな岐阜市で公布されたのが「地域公共交通条例」です。正式名称は「岐阜市みんなで創り守り育てる地域公共交通条例」になります。2015年(平成27年)11月1日に施行されました。前文には危機感があらわれています。「岐阜市においては、自動車への依存の高まりにより、地域公共交通の利用者は、減少が続いている。人口減少や少子高齢化が進む中、地域公共交通の利用者がさらに減少し、その運行を継続することが困難となれば、私たち市民は必要不可欠な移動手段を失いかねない」と。そこで「将来にわたって持続可能な地域公共交通を創り、守り、育てていくため、この条例を制定する」とあるのです。この条例に基づいて、岐阜市では計画を進めています。
 岐阜市が力を入れているのは、バス交通を中心とした地域公共交通ネットワ―クの構築です。公共交通を軸としたコンパクトシティの実現を目指しているのですね。歩行者や自転車も安全で快適に移動でき、それぞれの交通手段が連携した交通体系へと転換を図ることで、誰もが自由に移動できる交通環境の実現に取り組んでいるのです。にぎわいのあるまちづくりに向けて、中心市街地と人々が暮らす地域を、バスによって緊密に結びつけていく計画です。ですから幹線バス路線では、より利便性の高い「岐阜市型BRT」が導入されています。BRTは「Bus Rapid Transit」の略で「バス高速輸送システム」と訳されたりしています。東日本大震災のあと、復旧の難しい区間で鉄道路線を廃止して、BRTが導入されたことでも注目されましたよね。専用レーンを走るので、交通渋滞の影響を受けにくいのです。二台の車体をつなげた赤い「連節バス」が目を引きます。さらに岐阜市では、「自動運転バスがいつも走っているまち」の実現を目指し、今年度から実証実験として「ギフハートバス」という自動運転バスの定期運行もスタートさせました。こちらのバスも鮮やかな赤い色をしていますので、岐阜市を訪ねた際には目にとまると思いますよ!

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著者

田中 としかね

田中 としかね

肩書 文京区議会議長 特別区議会議長会会長  
党派・会派 自由民主党

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